デザイナー×産地 共生の道を探る(22)

2010年06月23日(Wed曜日)

「DEVOA」(デヴォア)デザイナー‥西田大介 氏

人体の構造に沿ったパターンが特徴の注目の若手

 中毒性の高い洋服を作る人である。メディアを通しての露出は皆無だが、ブランドにほれ込んだ全国の取扱店を通して、熱狂的な信者をシーズンを重ねるごとに増やしている。

 デヴォアの洋服へのアプローチは、他の大勢のブランドと少し異なる。「研究は人体の可動域を理解することから始まる。動作に対しての皮膚、筋肉、骨格の動きをパターン構築 。長い年月を経て表裏一体である進化と退化を続けていく人体。デヴォアが考える仮説と進化論によって服を表現」――。洋服を第2の皮膚と捉え、人体の構造と動きに沿った立体的な洋服を提案している。

 西田氏は学生時代にレスリングに打ち込み、その後はスポーツ医学、人体力学、解剖学を学んだ経歴を持つ。学校で服飾を学んだ経験はないものの、独学で歴戦の兵のバイヤーをとりこにしてしまうほどの服を作り上げた。パターンを担当する武田氏は、西田氏のアイデアに自身の感性と経験を加え、唯我独尊の線を引く。できあがった作品(こう呼びたい)は、ぱっと見は「リックオウエンス」や「ユリウス」と似ているものの、袖を通せば全く新しいジャンルの服を創造しているのが分かる。

 10秋冬はこれまでの人間の身体に沿った独特のデザインに加え、医学的なアプローチを強めたものとなっている。“キコリの靴”のような形状のブーツはその象徴的な存在で、インソールには2層構造の免震ソールを採用。これに足の傾斜を補正しかかとを安定させる効果のある「エムソルドパッド」を組み合わせ、安定感のある夢のような履き心地を実現した。

 10春夏から提案している「AOAパターン」は、上腕三頭筋・ひじ関節・手首関節の3つの部分を細く成形し、手首部分にしわを作ることで、着用者に合わせて袖丈を服が調整するというもの。「身長差があっても、くるぶしから地面までの距離はほとんど差がない」ことに着目して開発したパンツは、足首部分で生地を止めることで、ウエストが同じ寸法なら160~190センチの人まで裾上げなしで対応できるという。

 もちろん素材にも大いにこだわっており、組織と色出しにこだわった素材を、日本の機業と協業して開発している。緯糸にレーヨン、経糸にウールを使い、柔らかい質感と高い強度を両立させたシャツ地は、オフィスくに(愛知県一宮市)で製作。細川毛織(大阪府泉大津市)で織ったウール・カシミヤの梨地織りのストールは、エレガントで柔らかい質感が特徴となる。

 国内の卸先は、西田氏が全国のショップを訪ね歩き、「置いてほしいと思った」11店舗で展開。すでにパリでも展示会を行っており、10秋冬の海外の受注額は前年比40%増と好調に推移している。なお、今期からwjkから独立しワンスを設立。パターン以外のすべての作業をデザイナー1人でこなしている。

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08秋冬から「デヴォア」をスタート。卸先は国内11件、海外8件。ホームページはhttp://www.devoa.jp/