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10夏季総合
「連携」で互いの強みを生かせ
2010年07月12日(Mon曜日)
「緩やかに回復している」と言われる日本経済。しかし、国内の繊維製造業に目を向けると、回復傾向どころか、崩壊の危機にひんしている観さえある。分業で成り立っていた国内生産体制の所々にほころびが目立ち始め、それが生産システム全体を壊してしまいかねない状況だ。この深刻な状況を打開するための選択肢は、そう多くはない。その中の一つが「連携」だ。本紙は今日からの3日間、海外市場開拓、繊維製品の新用途開拓、そして日本ファッションを文化産業の中心的担い手とするための方策を、「連携」というキーワードを軸に探る。
現地企業との取り組み目立つ 中国市場開拓の動き加速
策を講じなければ、毎年50万人ずつ労働力人口が減っていくとされる日本。その日本市場で、国産繊維製品の需要拡大を図ることは容易ではない。繊維企業の目は当然のように海外、中でも中国へ向う。
事実、中国では高級品が売れ始めている。日清紡〈上海〉は中国で、「CHOYA」シャツ店舗を40ほど展開している。品ぞろえは、9000円前後(1元=13円で換算)の「エクゼクティブ」を中間に、上は13000円以上の「モデルノ」、下は6500円以下の「SMC」。この商品構成で09年は、前年比2割増の約4億5500万円を売り上げた。
中国の消費市場は沿海部を中心に、日本の付加価値を受け入れることができるほどに成熟している。この市場を「連携」によって開拓しようとする動きが既に出てきた。
エドウインは中国市場に本格参入するために、豊田通商などと組んで、エドウイン〈上海〉を設立。8月に、上海の新天地時尚に直営1号店を開業、5年以内に200店舗以上を目指す。商品は当面、全量を日本から輸入し、「メードイン・ジャパン」を前面に押し出す。小売価格1万7000円弱で中国向けオリジナル企画も投入する計画だという。
とはいえ、文化も商習慣も異なる海外市場を開拓するのは容易ではない。この課題をクリアするために、現地企業と連携する事例も目立つ。
伊藤忠商事繊維カンパニーは、資本提携関係にある杉杉集団や、持分法適用会社とした大連雅文内衣のプラットフォームを活用するほか、長年の友好関係にあるヤンガー、ベッケングループとの関係強化などで中国内販を拡充する。豊田通商も、香港の大手靴メーカーと組んで中国での小売展開を目指す。
「連携」をテコに中国内販に取り組んでいるのは、大手だけではない。奈良県繊維工業協同組合連合会は、中国の百貨店約30店舗で、同県産の靴下を「ナラ・サクラ」ブランドで販売している。中国の販売代理店との連携が、それを可能にした。
中国が市場としての魅力を増すなか、このような連携は一段と加速するだろう。
最高水準の技術を生かせ 新規用途の開発に不可欠
日本の繊維技術が世界トップレベルにあることは間違いない。その技術を応用して開発された炭素繊維や水処理膜は、世界市場で高いシェアを誇っている。
このような事例を増やすことも、日本の繊維産業がめざすべき道だろう。この道を探るうえでも、連携は有効だ。すでにいくつかの企業は、連携によってその道を歩み始めている。
ダイワボウノイは、肌に優しい繊維「アレルキャッチャー」製品の販売を通じて関係が深まった医薬品メーカー、医薬品卸と連携して、除菌剤「スザク」を開発した。生産は富山県の医薬品メーカーに委託する。販売は、アレルキャッチャー製品の販売を通じて連携している医薬品卸とも協力して行う計画だ。
タオルメーカーの上脇(愛媛県今治市)は信州大学と共同で、炭素繊維を使った燃料電池の研究を進めている。この研究は炭素繊維を使った織物に、メタノールなどを主燃料にした電池を貼り付け、様々な分野での軽量燃料電池の利用を可能にしようとするものだ。「タオル生産の技術を生かし、他ではできないモノを世に出したい」との思いから同社が、今回の企画を同大に持ち込んだ。炭素繊維が織れるよう織機を改造して臨んでいる。
未知の用途を開拓するうえで、連携は必要不可欠の策だといえる。今後も、様々な形の連携が登場するだろう。
期待と戸惑いが交錯 日本文化の一体発信
経済産業が設けた「今後の繊維・ファッション産業のあり方に関する研究会」(以下では「あり方研」)は、今後の支援の方向として、「東京などの若者のファッションなど幅広いジャンルのファッションに着目しつつ、マンガやアニメなどのコンテンツ、日曜品などのデザイン、日本食、文化芸術、観光など、わが国固有の感性・文化産業とともに一体的に発信することによりビジネス展開を促進する」ことを打ち出した。
これまでにない発想だと言っていい。繊維産地の企業を観光資源として活用する試みは既にあるが、「あり方研」がいうような試みはこれまでなかった。
業界からも、「マンガやアニメのように、既に世界的評価を得ている分野のノウハウを吸収し、連携して、企画・発信することは有意義」「好評を得ているクール・ジャパンにあやかることは有効な対策」など、期待する声が多く上がる。
ただ、これまでにない発想なだけに、「日本固有のコンテンツとファッションを関連付けて発信する具体的施策が思い浮かばない」との戸惑いの声も少なくない。どう具体化するかが、今後のカギを握る。
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