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産地の現在・過去・未来(28)
教訓生かし未来を展望
2010年07月28日(Wed曜日)
新規開発とブランドで活路 泉州産地〈中〉
泉州産地の小幅機業は近年、中国からの製品輸入の増大と需要そのものの減退によって厳しい情勢が続いていた。今春以降はこのダブルパンチに、糸値急騰という大きなマイナス要素が降りかかった。
泉州織物工業協同組合の小幅委員長を務める高橋金織布工場の高橋幸造社長によると、中国品の流入は5年ほど前から本格化し、現在は業界全体の3割が中国品に置き換わっていると見られる。需要減退も深刻な状況で、小幅織物の主用途である浴衣や布オムツ、手ぬぐいなどが軒並み生活様式の変化や代替品の台頭によって苦戦を強いられている。
糸値は昨年と比べて1コリ当たり約2万円上昇。月に50コリの糸を使った場合、月間で単純にコストが100万円上がることになる。この額は零細企業の多い小幅機業に甚大なダメージを与える。
同産地の受注形態は基本的に問屋など需要家からの工賃仕事。価格改定交渉を続けているが、織れば織るほど赤字を垂れ流すという状況のなかで組合内部では「思い切って一斉に織機を止めてしまったほうがいいのでは」という大胆な案すら出ている。用途開拓や新素材開発など、一部で前向きな動きも活発化しているが、こうした動きが霧散してしまうほど、泉州小幅機業の置かれた状況は過酷だ。
設備老朽化も大きな課題だ。小幅織機は旧式力織機が中心。需要開拓のための商品開発には新しい小幅織機を開発するべきと指摘するのは産地の長老である平山繊維の平山恭二相談役。「国内で小幅織物がなくなれば、伝統工芸である注染もなくなる。それは大変な文化的・社会的問題ではないか」とし、行政が織機開発のための支援を行うべきと主張する。
一方、広幅も課題は多い。シャトル織機中心の機業では従来、切り売りプリント生地用生機などに加えて、中東向けサテンなどの生産が多かった。とくに中東向けサテンは、印僑の貿易商などが発注しており、産地の生産を下支えしていた。ところが09年の“ドバイショック”で注文が激減し、現在でも回復していない。
エアジェット織機中心の機業も、これまでの産地縮小の過程で集約が進み、紡績からの委託生産中心に安定していたのだが、“リーマンショック”後の紡績の海外生産拡大で先行きが不透明だ。新規の受注獲得が重要になっており、例えば最大手の飯田産業などは、主力の寝装に加えてユニフォーム地など新規受注拡大に力を入れている。
こうした苦境を打開するためにも重要になっているのが地域ブランド「和泉木綿」の振興だ。とくに小幅織物は最終製品に近いことから、ブランド活用への期待が高い。現在、組合の地域ブランド振興特別委員会で具体策を議論している。こうした取り組みを早期に実行することが極めて重要だ。
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