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特集

染色加工

繊維産業の未来は染色加工場が担う

2010年07月30日(Fri曜日)


 インナーやカジュアル衣料にも機能化の波が押し寄せてきた。ファッションの同質化、低価格化が指摘される市場で、消費者に差別化を明確にアピールするためには機能の提案が通用しやすい。一方で、欧州を中心とする高級海外アパレルでは日本製生地の高い評価も定まってきた。次代の変化に対応するには、染色加工場、染料・薬剤メーカーともに、ぶれない軸を持った自社独自の戦略が求められる。


受注は回復気配も“国内回帰”とは別

 今年の4月以降、国内の染色加工場に受注が戻り始めた。企業によって差はあるものの、1月から3月にかけてが、加工ラインの稼働率も含めた“底”で、そこからは比較的、堅調な推移が続いているケースが多い。

 しかし、秋口まで続くような長期的な受注案件は少なく、短期かつスポット的な受注でラインが埋まっているという話が多い。また、受注内容では新規は一部で、1~3月まで生産調整されていた感のある既存品のリピートが多く、中国での生産コスト上昇に伴う国内回帰が始まっているとは言えない。

 むしろ、大和染工の撤退や東海染工の事業再編に起因する加工場切り替えなど、日本国内の事情の変化によって新規受注を得たケースが散見される。もっとも、それらは加工量で見た場合、大きな単位とは言えず、各社の業績を将来的に大きく押し上げる要因にまでは至っていない。

 しかし、染色加工業の中では、このような厳しい景況を悲観するムードが薄らいできた。まずは、とりあえずの形でもラインが稼働していることの安心感もある。加えて、このような外的要因ではなく、自社や所属するグループの力を生かし、自律的に受注拡大を目指す動きが本格化し、事業の方向性が定まってきたことが大きい。

 国内の染色加工場に要求されるのが、他社への置き換えのきかない技術の構築だ。大阪染工の真空プラズマ加工機など特別な設備による独自加工の打ち出しが分かりやすい例だが、このような加工技術そのものだけでなく、納期の厳守、材料ごとの品質の安定、ニット染色では縮率の管理など、一分野の高いノウハウ蓄積も工場の付加価値になりえる。

 そのほか、原料メーカーや商社などのグループ内の染工所も工程の一部を担当するだけでなく、原料から製品までを見越した染色加工事業を進める動きを強めている。

 また、人材育成の重要性を改めて指摘する声も目立ちはじめた。今年の初頭など、加工ラインが休止していた際に、講習会や研修などを開く機会が増え、社員のスキルやコスト意識が急激に向上したと指摘する声が多い。

 省力化が進められる加工ラインでも、温度や湿度など変化の激しい外的要因に対応するには熟練した作業員のノウハウが必要になる。その意味では作業員のスキルが品質に強く反映されることになり、人材育成によるメリットはより強く出るといえる。

 繊維産業の中では、すでに国内の染色加工場に対して“量”を求める時代は終わった――との見方が支配的だ。今後は“質”の追求が中心となるが、最終商品からでは見えにくい、モノ作りの“商流の中での付加価値”をいかにアピールしていくかが、今後の染色加工場の展開の大きなウエートを占める。



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