メーカー別 繊維ニュース

繊維機械 特集/機械はユーザー利益のために/ITMA11への助走始まる

2010年11月25日(Thu曜日) 午後1時42分

 2008年の“リーマンショック”以降、世界的な設備投資減退によって未曽有の危機に直面していた繊維機械業界だが、2010年は一転して急回復の年となった。中国を中心とした新興国が再び積極的な設備投資に動き出したからだ。一方、日本国内においては依然として厳しい環境が続く。いま繊維機械メーカーに求められているのは、ユーザーの新規販路や用途開拓を支援する機械といえる。今回の特集では、そういった各メーカーの最新機種・ソリューションを紹介する。

 日本繊維機械協会のまとめによると、今年1~8月までの全国繊維機械生産額は1304億円となり、前年同期比倍増以上の数字となっている。輸出額も1412億円となり、やはり前年実績から倍増した。とくに回復が著しいのが織機だ。生産量、輸出ともには前年同期の4倍となった。その他の機種も軒並み増加している。復調に向けた動きが強まる。

 一方、国内に眼を向けると、設備投資は依然として低調といわざるを得ない。中国での生産環境悪化を背景に、国内の産地はある程度の受注量を確保しているが、これも海外で新たな生産拠点が整備されるまでの一時的な現象に終わるのではないかという懸念がぬぐえないからだ。

 こうした状況下、繊維機械メーカーに求められているのは、機械のユーザーの利益に直結する機種である。新たに設備を導入することで、新規販路や新規用途開発につながることが求められる。「その機械でしか生産できないものがある」「いままで作れなかったモノが生産できるようになる」「新しい受注につながった」――こういった声に応える機械の存在が切に望まれているといえよう。それだけにメーカー各社にとって、開発の重要性が一段と高まった。

 来年9月にはITM11がスペイン・バルセロナで開催される。4年に一度の国際見本市に向けて、メーカー各社は開発を加速させている。今後、様々な新提案が登場することになるだろう。ITMA11への助走が始まった。繊維機械の新たなステージに向けて、各メーカーの今後の動きから目が離せない。

ITMA2011/950社強が出展申し込み/素材・原糸部門も新設

 国際繊維機械見本市「ITMA2011」が来年9月22日から29日までスペイン・バルセロナの展示会場「フィラ・デ・バルセロナ・グラン・ヴィア」で開催される。すでに35カ国・地域から950社強の出展申し込みが集まっている。12月1日にはブース割り当てが発表される。

 ITMA11では、新たに素材・原糸部門も新設された。主催の欧州繊維機械製造連盟(CEMATEX)・ステファン・コームス会長は、新部門設立の目的として「バイヤーはすべての調達ニーズを満たせる革新的なワン・ストップ・ソリューションを求めている。また、繊維素材・原糸を出展品目に含めて欲しいという要望が大手ファイバーメーカーやITMA来場者から多く届いていたからだ」と説明する。新部門設立で、ITMAが素材から製造機器・ソリューションまでをトータルに扱うプラットフォームになった点で注目といえるだろう。

 ITMAは、4年に一度開催されることから繊維機械のオリンピックといわれ、最新テクノロジーや新機種の披露の場として大きな存在感がある。ITMA11でも多くの繊維機械メーカーが新機種を発表する予定で、全世界から繊維関連機業が多数来場する。

村田機械/採用広がる「ボルテックス」/ポリエステル100%紡績にも挑戦

 村田機械が展開する特殊渦流空気精紡機「ボルテックス」が、世界的に採用が広がってきた。今年9月段階で出荷台数は700台に達し、25カ国・地域に100社を擁している。出荷台数の31%を東南アジア、27%を中国が占めており、両地域合わせて58%になるという。

 採用の多くはレーヨンやリヨセルなどセルロース系繊維の紡績を得意とする企業だ。ボルテックス糸はリング糸と異なり、ハリ・コシ感と抗ピリング性に優れる。このため、従来は難しかったセルロース系繊維による構築的デザインのアウターが、ボルテックスによって始めて可能になったという評価すらある。

 最近ではポリエステル100%紡績への要望も多い。しかし、油剤脱落による可紡性低下など課題もあることから、同社では油剤メーカーと共同でポリエステル100%紡績が可能になる特殊装置の開発を進めている。早ければ来年中には発表する見通しだ。ボルテックスの可能性が、さらに広がる。

 一方、自動ワインダー「No.21」も絶好調。中国内需で自動ワインダーによるパッケージの糸の需要が高まったことが要因だ。現地の人件費高騰も自動機導入への追い風になっている。インドでも同様の動きだ。

 ITMA11バルセロナにも大々的に出展する計画だ。

TMTマシナリー/中国需要が爆発的拡大/全自動機のニーズ高まる

 TMTマシナリーの合繊機械がテークアップワインダー、延伸仮撚り機ともに昨年後半から需要が急回復した。中国を中心としたアジア地域で合繊の大増設が進められているためだ。とくに仮撚り機では全自動機のニーズが爆発的に拡大している。

 同社によると、中国では旺盛な内需を背景に2013年までにポリエステル重合が700万トン増設されると予想されており、それに合わせてテークアップワインダーの需要が拡大した。このため成約は2013年まで満杯の状況だ。

 仮撚り機では全自動機の需要が拡大したのも特徴。同社は昨年、高速延伸仮撚り機「ATF1500―4」を開発した。単糸繊度0・5~1デシテックスの糸を毎分1100メートルで処理する高速性、オートトラバースと単錘駆動方式採用による全自動化が最大の特徴だ。1台384錘のため加工効率もきわめて高い。中国では人件費高騰が深刻化しているため、現在の受注はすべて全自動機となっている。

 同社では急激な回復に対する反動も警戒しながら、引き続き開発を強化する。来年のITMA11では、テークアップワインダーの新型を披露する計画だ。