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繊維機器メーカーのアジア戦略

2011年03月29日(Tue曜日) 午後3時58分

 世界の繊維産業の発展を支え続ける日本の繊維機器メーカー。アジア市場がより付加価値の高い生地を求め始めた今、その存在感が一段と増している。世界市場で活躍する繊維機器メーカーのアジア戦略を紹介する。

津田駒工業/WJLの伸び続く/性能優先の動きに的確に対応

 津田駒工業のウオータージェット織機(WJL)のアジア市場への販売は、合繊織物市況好転を受けて2010年春から大きく伸びた。今後も、順調に推移すると見込んでいる。

 一方で、エアジェット織機(AJL)の販売台数は、綿花の高騰などによる先行き不安を反映してか、低迷したまま推移している。ただしインド向けについては、政府の技術革新基金(TUF)の復活が確認されれば回復に向かうと同社は予測する。

 WJLについてもAJLについても、過去10年ほどは中国からの需要が中心で、価格優先のニーズに対応する必要があった。しかしここに来て、性能を優先するニーズが出ている。同社は、このような市場の変化に敏感に反応し、ユーザーからの要望に的確に応える方針だ。また、各市場のサービス拠点を充実させ、現地と日本の両面からビフォアー、アフターサービスの要望に応える。

 AJLについては「ZAX9100」の拡販に注力している。専用機としてタオル用「ZAX9100T」、ガラス用「ZAX9100G」、タイヤコード用「ZAX9100TC」もラインアップし、高付加価値織物の生産が可能なことと高い生産性をアピールし、それぞれの専門分野への売り込みを図る。

 WJLについては、「ZW408」と「ZW8100」の並行販売となるが、高付加価値織物分野では徐々に新機種である「ZW8100」への需要が高まっている。また、今年度から中国で生産する「ZW408G」では、中国産機として中位クラスのユーザーからの需要に応える。

 また、T-Teck Japan社の長繊維用サイザーである「TSE」シリーズのほか、新しい機能を搭載した短繊維用サイザー「TTS」シリーズの拡販も目指している。

豊田自動織機/省エネ技術をアピール/ユーザーの悩み解消

 豊田自動織機の2010年度のアジアへの織機販売は、織物市況が大幅回復した中国向けや、国内需要が拡大したインド向け、欧米向け織物輸出が回復したインドネシア、パキスタン向けなど、多くの市場で好調だった。

 エアジェット織機(AJL)については、「JAT710」の提案に注力している。同機は発売以来、世界トップシェアを守り続け、アジアの二大市場、中国、インドにおいてもトップシェアを確立しているという。従来の機種に加え、AJLの可能性を極限まで広げることを狙った同社オリジナルの新型電子開口装置「E―shed」の良さを「AJLを使ったことがないユーザーも含め、多くの顧客に実感してもらいたい」とする。

 ウオータージェット織機(WJL)については、過去40年の技術の集大成にAJLの革新技術を融合させ、高級織物を製織するユーザーから支持されている「LWT710」の高速性、信頼性のアピールに力を入れている。

 紡機については、アジア各国の紡績会社の活況を受けて、11年度の紡機生産枠に対する受注も好調に進行している。

 今後は、顧客が抱える人件費、原料費、紡糸コスト上昇という問題に対し、同社の省エネ技術を積極的に提案する。高い基本性能を誇る精紡機「RX240」の“EST・”コンパクト装置は、7~240番の幅広い種類の高品質コンパクト糸の紡出を実現し、“E―draft”装置は、独立した3ローラ制御により、マルチスラブ、マルチツイスト、マルチカウントの様々なファンシー糸の紡出を可能にする。この「RX240」によって、多様化する顧客の紡糸ニーズに対応する方針だ。

村田機械/「ボルテックス」好調/ファン作りで一段の普及へ

 村田機械の渦流精紡機「ボルテックス」の販売が好調に推移している。ボルテックスの月産能力は30台。昨年前半は生産能力ほぼ一杯の稼働状態が続いた。その後も今年3月まで20~25台の月産規模を維持。「4~9月も25台で推移する見込み」(野村貫則営業部長)だ。

 中国、インドネシア、ベトナム、インド、トルコなどからの引き合いが旺盛なことが好調につながっている。実績がなかったバングラデシュの有力企業1社も、ボルテックスを導入した。この動きを見て、同国の同業他社からの引き合いが増えている。パキスタンでも有力企業1社が導入を決めた。

 同社は、“ユーザーの顧客”であるアパレルメーカーに、ボルテックスで作った糸の良さをアピールする活動にも力を入れている。たとえば昨年、生地の展示会である「インターテキスタイル上海」に出展。ユーザーが作ったボルテックス糸使いの生地をアパレルにアピールした。11月には、上海市の上海世貿商城で、中国内外のアパレルメーカーを招き、ボルテックス糸使いのファッション・ショーも開催した。今年5月には、上海世貿商城で、ボルテックスの常設ショールームがオープンする。ボルテックスショールムとしてはこれが世界初だ。

 ボルテックスを導入する企業が増えているのは、柔らかさが適度で、かつ抗ピリング性が高いレーヨン紡績糸の生産に適するからだ。ここに来て、光沢(高級感)のあるポリエステル製品を生産するうえでもボルテックス糸が適しているとの評価が高まっており、同社は同紡績糸を安定した品質で生産できるようにするための改良を急ピッチで進めている。

山東鐵工所/新型PVA回収装置開発/導入コストを大幅に低減

 山東鐵工所は、2010年11月に新型のPVA回収装置「NEO―PERCLER」(ネオ・パークラー)を開発、中国の先染め最大手へ1号機の納入を決めた。

 PVA回収装置は経糸糊剤として使用されるPVAを回収・再利用する装置で、環境負荷の低減に役立つだけでなく、再利用によるコスト削減にも大きく貢献する。

 同社では、これまでもPVA回収装置「SS―PERCLER」を販売してきたが、ほぼオーダーメードに近い形での納入、設置となるため、導入コストが高いことがネックとなっていた。

 今回発表した「NEO―PERCLER」は、従来の性能を維持しながら、機械本体の汎用性を高め、基本部分を共通化させることで価格を抑えた。納期も従来に比べ大幅に短縮でき、さらにコンパクト化したことで、設置スペースが小さくなり、幅広い生産現場に対応できる。

 同社では機械の性能面だけでなく、使用している経糸糊剤を使用している製造現場ごとに最適な回収ノウハウを提供できる点も強調。中国のほか、アジア諸国から染色加工工場の排液がサンプルとして集められており、それぞれ、どの程度のPVAが回収できるかを提示した上で営業活動を行っている。

TMTマシナリー/中国市場で大きな存在感/インドも大手中心に受注

 化合繊機械メーカーのTMTマシナリーは、活発な需要がある中国の合繊機械市場で大きな存在感を発揮している。とくに多エンドのテークアップワインダーが高い評価を得た。インド市場でも大手合繊メーカーから受注が拡大中だ。

 同社によると、中国では旺盛な内需を背景に2013年までにポリエステル重合が700万トン増設されると予想されており、それに合わせてテークアップワインダーの需要が拡大した。このため成約は2013年まで満杯の状況だ。とくに最大24エンドの多エンド機「ATi―MANTA」の評価が高い。また、仮撚り機では全自動機の需要が拡大した。高速性とオートトラバースと単錘駆動方式採用による全自動機が人気。1台384錘のため加工効率もきわめて高い。

 中国では人件費高騰が深刻化しているため、現在の受注はすべて全自動機となっている。また、省エネルギーへのニーズが急速に高まっていることから、同社では開発テーマを省エネルギー機能の研究に集中させる考えだ。

 一方、インド市場でも大手合繊メーカーからATi―MANTAの受注が拡大。やはり多エンド機へのニーズは高い。インドでは大手合繊メーカーへの納入実績が市場に大きなインパクトを与えることから今後の受注拡大に期待がかかる。そのほか、タイでは日系メーカーへの仮撚り機販売が中心。最近では多エンド化など改良ニーズも増えている。ベトナム市場も大手合繊メーカーへのアプローチを強化している。

福原産業貿易/インドなどの開拓に注力/技術サポートも拡充

 福原産業貿易はインド、バングラデシュ、インドネシアなどのアジア市場の開拓に注力する。3カ国とも販売代理店を持つが、同時に日本からの技術サポートも適時行うことで、販売拡大を目指す。

 「中国のコスト上昇や人材不足が顕著であり、チャイナ・プラスワンの動きが加速している」(植村聡社長)こともアジアへ注力する背景でもある。現在、3カ国向けの販売比率は25~30%だが、「FTA(自由貿易協定)/EPA(経済連携協定)の進展に伴い、ビジネスチャンスが広がる」とみる。

 同社によるとバングラデシュは量産型最新鋭機、インドは電子柄編み機など高級機を求める傾向が強いと言う。

 一方、最大市場だった中国向け比率はピーク時の6割から3割に減った。ベーシック機で中国、台湾企業との競争が激しいためだ。しかし「省力・省エネにつながる高生産機への要望が強まる」として、販売機種のシフト、既存機の改造などに力を入れる。

 また、中国は上海と香港の子会社で技術サポートを行うが、今年半ばには広東省にある香港会社の子会社を、上海会社の分公司に変更。人員も増強し、技術サポート体制を拡充、販売拡大の基盤を作る。

松原リード/高性能筬の高い技術/産業資材織物分野が注目

 松原リードは、金属ワイヤメッシュ、製紙機材用プラスチックワイヤー、工業用プラスチックメッシュなどの産業資材織物用筬で高い技術力を有することで知られる 。

 同社のリードは、リードの基本性能である筬羽の均一性、精密性、耐磨耗性に優れているだけでなく、13ミクロンという細い繊維や、製織が難しいとされるモノフィラメントにも対応できる汎用性が特徴だ。筬羽の素材も特殊鋼メーカーと連携して開発。とくに耐磨耗性に優れる。また、筬羽の切断面も独自のノウハウで研磨することで均一性を確保している。