マーケットは世界/トルコ・ホームテキスタイル紀行(上)/日本進出と日本との協働

2013年05月22日(Wed曜日) 午前11時31分

 かつて、世界の繊維製品生産において“東の中国・西のトルコ”という構図があった。しかし2005年の輸入割当制度撤廃以来、トルコの繊維産業は中国製品に圧迫される。ホームテキスタイルも同様だ。が、中国との競合を機に、一格上の商品開発とブランド戦略に注力。主力の欧米に加え、ロシアや中国などの富裕層向けを主体に輸出を拡大している。

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 純白の棚田のような景観が幻想的な、トルコ西部のパムッカレ。世界中から多くの観光客が訪れる、この世界遺産が、トルコ有数のホームテキスタイル産地・デニズリ県にあることを知る日本人は少ないだろう。パムッカレとはトルコ語で“綿の宮殿”という意味。この辺りが古くから良質な綿花の一大生産地であることに由来する。

 デニズリのホームテキスタイル産業は、タオルを中心に、バスローブやバスマット、ベッドリネン、一部いす張り地などで構成される。約1000社から成るデニズリ輸出協会の7割は、これらホームテキスタイル関連企業が占めている。

 2012年、デニズリ製ホームテキスタイルは約150カ国に輸出され、世界シェアはタオル8%、バスローブ15%を誇る。主な輸出先はドイツを主体とする欧州だが、近年の欧州経済停滞により、12年の欧州連合(EU)27カ国への輸出額は、タオルやバスローブ、ベッドシーツとも前年比で減少した。代わって、ロシアや中東、中央アジア向けなどが伸びている。

 デニズリ輸出協会のスレイマン・コジャサート会長は、「欧州同様、高い品質とファッション性を求める日本市場にも“メイドバイ・デニズリ”の製品はマッチすると信じている」と、日本への輸出拡大に期待する。一部企業で大手GMS向けにオーガニックコットン・タオルを展開するものの、日本向けはごく一部にとどまる。

 また、世界的な“チャイナ・プラスワン”の動きを見据え、日本のホームテキスタイル製品企業のトルコ・デニズリへの生産拠点誘致も視野に入れる。「米国やカナダの企業もトルコへの関心を強めている。海外市場拡大を目指す日本企業にとって、今が絶好の機会」と積極的だ。

 日本とトルコは昨夏、EPA(経済連携協定)交渉に向けた共同研究開始に合意。これに絡めて、遠く離れたトルコからの物流・納期の問題解消に努めるとともに、欧州・中東・北アフリカ・アジアをつなぐトルコの地政学的な強みを背景に、日本と協働で世界への発信力を高めたいとの意図もうかがえる。