マーケットは世界/トルコ・ホームテキスタイル紀行(中)「メードバイ・デニズリ」を世界へ

2013年05月23日(Thu曜日) 午前11時51分

 「デニズリはトルコのホームテキスタイルにおける首都」。デニズリ輸出協会のスレイマン・コジャサート会長は、こう表現する。世界貿易でのトルコのシェアは0・8%程度だが、ホームテキスタイル分野は約5%で世界第4位の輸出国。その半分を支えているのが、デニズリ製だからだ。

 渓谷に囲まれた肥沃な大地が広がるトルコ南西部の街、デニズリ。4000年前から盛んな綿織物業を主体とする貿易で発展してきた歴史もある。タオル関連を中心とするホームテキスタイルの輸出産業が発展してきたのは1980年代だ。

 セリン・テキスタイルやカラヤニ・テキスタイル、ABCテキスタイル、ゾルル・テキスタイルなど大半の工場が、整経、織り(編み)、染色、加工(刺繍)、縫製、検反の工程を持つ。また、オザンテックスなど同一敷地内に紡績まで備える工場や、エゲン・テキスタイルのように「GOTS」認証を取得したオーガニックコットン専用ラインを持つ工場もある。

 今年、設立20周年を迎えるデニズリ輸出協会では、近年、銅線や観光、大理石、ドライフルーツ、機械など、新たな業種も著しい成長を見せる。それでも輸出の主力は、44%を占めるホームテキスタイルやアパレルだ。

 欧米著名ブランドや大手小売業PBなどのOEMで培った、品質とファッション性のバランス、小ロット、短納期といった「フレキシブルな優位性を最大限に発揮できる」(スレイマン会長)と、日本市場にアピールする。

 では、課題は何か。現地での商談と工場視察を終えた日本企業からは、「商品自体、またサイズなど柔軟な対応力はいい」としながらも、課題として、納期や検針、そして日本市場でトルコ製品の認知度向上――という声が多く聞かれた。

 納期の問題は、物理的な距離だけではない。日本へ直行する船積みはなく、アジア各国を回った後に到着するため、通常3~6カ月はかかると言う。ファッションほどのスピード感は不要にしても、サンプルの修正や商品に問題が生じた場合、納期遅れの不安がつきまとう。

 検針に関してはまだ不十分と言えるだろう。先に挙げた欧米向け輸出が大半を占める大手工場でも、検針器を持つところは少ない。客先の要望に応じて実施している工場も、他の工程と隔離した環境での検針ではなく、精度に疑問が残る。

 “遠くて近い国”と言われる、トルコと日本。観光地としてのトルコは有名でも、トルコと聞いて思い浮かぶモノは、一般的に食以外では難しい。デニズリとなるとなおさらだ。同輸出協会では設立20周年を機に、「メードバイ・デニズリ」のプロモーションを打ち出した。近い将来、デニズリ製の様々な製品を結集して世界展開すると言う。やはり、ヒストリーとストーリーを絡めたブランディングが重要だろう。