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スポーツ特集/登山市場、差別化とすそ野拡大へ

2013年08月05日(Mon曜日) 午前11時24分

人気は高機能ウエア

 アウトドアスポーツの人気が続く。健康志向を契機にスポーツ市場はプラス成長、矢野経済研究所は2013年のスポーツ用品国内市場規模(出荷金額ベース)を前年比102・4%の1兆3143億円と予測する。

 なかでも特徴的なカテゴリーは登山。約3年前の「山ガール」ブーム以降、参加人口は増加を続ける。本格的な登山だけでなくトレイルランのような新しい楽しみ方が浸透、家族連れで気軽に自然に親しむなどすそ野も広がる。富士山の世界遺産登録も好要因だ。

 スポーツメーカーはこの分野向けの企画を強化、国内大手と海外ブランドの新商品がしのぎを削る。高機能ウエアがシーズンごとに進化する一方で、タウンユース向けの企画も充実してきた。各社の14春夏商品計画ではアイテム数を絞る、ブランド設立の周年事業に伴う新ラインの投入などで差別化の動きを強める。併せてイベントの実施、直営店や自主管理売り場のリテール政策で需要を刺激していく。

ゴールドウイン/トレラン向け商品強化

 ゴールドウインのアウトドア事業は14春夏、「ザ・ノース・フェイス」で登山市場向け新規性を打ち出すとともにトラベル、ライフスタイル向けを強化。アウトドアブランドのミニマルデザインや機能の同質化に対し、新規のデザイン提案や用途開発で差別化を図る。

 トレイルランニングでは過去2回開催された「ウルトラトレイル・マウントフジ」の参加アスリートスタイルに基づき、高機能性ウエア、シューズを提案。未経験者には都市部から気軽に参加できる環境やウエアリングのサポートを実施し、ユーザーの取り込みを図る。

 「ヘリー・ハンセン」は既存のセーリング、アウトドア、ビーチに新カテゴリーを加え、アウトドアから日常での着回しまで提案幅を広げる。

 同シーズンからオリジナル素材「アルファドライ」を9ブランド縦断で展開。

 微多孔質活性粒子によって吸水速乾性を向上させるココナ社の「ココナテクノロジー」をベースに4種を投入する。

デサント/「マーモット」好調

 デサントのアウトドアマーケティング部は、アウトドアブランド「マーモット」の14春夏国内販売(商品量ベース)を13春夏比3%増で計画する。「ナノプロテクノロジー」など機能性に富んだ商品の投入と、ロングトレイルやトレイルランなど領域の拡大に注力する。

 14春夏のマーモットは「進化した運動性」をテーマに、インポートでは2・5層透湿防水のナノプロテクノロジーを使ったプレシップジャケットを投入。ライセンスでは高耐水圧・高透湿性の「フュージョンドライジャケット」、3D中わたとストレッチ素材を組み合わせストレッチ性と保温性の高い「3DeFX+ハイブリッドクイックスダウンジャケット」などを提案する。

 「デサントアウトドア」は、高速消臭「デオダッシュ」のアンダーウエア展開など商品の充実を図り、35%増で計画する。

13春夏からトレイルランや山登りに絞り、専門店チャネルを拡大中だ。

モンベル/世界“最軽量”ダウン

 アウトドアメーカーのモンベルは14春から「プラズマ1000ダウンジャケット」(2万6800円。)の販売を本格化する。重量わずか132グラム、世界最軽量(同社調べ)を実現したモデル。7月11日にドイツで開催された見本市「アウトドアショウ2013」で「アウトドア・インダストリー・アワード」にノミネートされたことを受け、同シーズンの目玉商品とする。

 同商品はオリジナルの極薄シェル素材「バリスティックエアライト」に1000フィルパワー・EXグースダウンを封入。従来のキルティングパターンでは縫い目部のダウンの量が少なくなり「コールドスポット」ができてしまうが、独自のパターンで中わたの偏りを防ぎながらコールドスポットを最小限に抑えている。

 アウターでは保温性とロフト(かさ高)復元力、速乾性に優れた「U・L・サーマラップジャケット」、「トラベル&カントリー用インシュレーション」などをラインアップする。

コロンビアスポーツウェアジャパン/新感覚素材で差別化

 「コロンビア」はロングトレイルとトレイルランニングをメーンターゲットに、プロモーション素材として接触冷感の「オムニフリースゼロ」を前面に出す。2~3月に靴とバッグ、3~4月にロングトレイル用ウエア、4~5月は「ファミリー・アウトドア」としてメンズ、ウィメンズ、ユース3ラインを押す。

 オムニフリースゼロは組織内の微小な冷却材が汗に濡れることで生地全体の温度を下げる。効果はロングトレイルなど長時間のスポーツ中に持続し、ドライで快適な着心地を実現している。

 バリエーションはダブルニットジャージ、コットン高混率の「コットン・ブレンド・ジャージ」、ソフトな肌触りの「ソフティー・ストレッチ・ジャージ」。ジャケットやインナーで展開する。

 「3年前の『山ガール』ブームに比べメンズ、ウィメンズの伸び方は同水準になり、明確な傾向が見えにくい」とコロンビアスポーツウェアジャパン。「アウトドアを身近に楽しむシーンそのものの提案が必要となる」と流通面の強化も検討する。

ホグロフス・ジャパン/新ライン「リム」発売

 スウェーデン発のアウトドアブランド「ホグロフス」は14春夏コレクションで、ブランドコンセプトである「レス・イズ・モア」の頭文字を冠した「LIM(リム)」シリーズを打ち出す。無駄をそぎ落としたシンプルなデザインと高機能素材を組み合わせ、トレッキング、トレイルランニング、登山をコアターゲットに訴求していく。

 構成アイテムはトレッキング用のアクティブジャケット(5万4600円)、パンツ(2万8400円)など。軽量なプルーフジャケット(19950円)はバイクウエアなどにも提案を広げる。ショートパンツ「インテンスショーツ」はスピードを追求するトレイルランニング向け。チェックのカジュアルシャツは9000~1万円代。

 14年はブランド誕生100周年にあたり、14秋冬からアニバーサリー・モデルやキャンペーンが予定されている。

ミズノ/「ラン」で女性向け伸長

 ミズノのランニング分野は、13春夏向け売上高が微増、13秋冬向け受注が前シーズンを上回っている。特に女性向けが伸長しており、13秋冬では受注の約5割を占める。女優の柴咲コウさんを起用し、機能性タイツ、アパレル、フットウエアの3点セットを提案するプロモーションが拡販につながっている。

 機能性タイツでは「BG」シリーズで、13秋冬向けに軽量性、吸汗性を高めた「BG8000EX」、長時間利用しても足が楽な段階的圧力設定の「BG3000R」を新たに展開する。またこれまでランニング分野では扱いが少なかった肉厚ニットやフリースも提案し、エントリー、ミドル層を取り込む。

 14春夏向けも女性を意識したウエアに重点を置く。エントリー、ミドル層のニーズを踏まえたデサインやシルエットを重視するとともに、芯部に特殊なポリプロピレンを使った「ソーラーカット」など機能性を高めたウエアを展開する。

村田機械/「ボルテックス」/スポーツで採用広がる/ポリエステル100%で

 村田機械の過流精紡機「ボルテックス」による紡績糸「ボルテックス」がスポーツウエアに広がりを見せている。

 採用する1社であるデサントは「デサント」や「アリーナ」ブランドのスエット、Tシャツ、パーカーなどのアスレチックウエアに、ポリエステル短繊維100%によるボルテックス糸を使用している。

 デサントブランド統括部アスレチックマーケティング部の杉浦剛アスレチックMD課長は「綿の表面感があり、スポーツウエアに必須の速乾性を実現するためボルテックス糸を採用した」と話す。

 通常のポリエステル100%紡績糸では問題となるスナッキングや毛玉の発生が少ないことから採用アイテムも増加。14春夏向けデサントブランドでは、Tポロやハーフスリーブシャツなどに使用する。

 同時に、スエットなどに使用した場合、通常のポリエステル100%紡績糸よりも向上しているものの、スナッキングや毛玉の発生が起こるケースがある。「抗ピル性などがさらに改善すれば使いやすさは増す」と杉浦課長は指摘する。