メーカー別 繊維ニュース

日常の安全を守る 検査機関

2013年08月30日(Fri曜日) 午後3時7分

 9月1日は防災の日。台風、津波、地震など災害に備える日だ。しかし、災害は天災だけではない。日常にも様々な危険は潜む。火災、交通事故、ウイルス感染などである。検査機関はそうした日常生活の安全を守るための試験活動を行っている。

カケン/防護服などの試験充実/欧州に遅れる労働安全

 「日本で感じる安全安心と、欧州が求める安全安心とは異なる」と、カケンテストセンター。カケンの東京事業所本所では、労働安全の防護服などの試験を行う。欧州と日本の労働安全に対する考え方には、大きな開きがある。欧州は雇用者が安全を確保することを法律で義務付けている。その一方で、日本はいまだ自己責任の域にある。

 「CEマーキング」とは、欧州で販売される指定製品に張り付けを義務付けられた基準適合マークのこと。このマークが張り付けされた製品は、必須安全要求事項を満たしており、EU域内で自由な販売・流通が保証される。この指定製品には電磁波関連、医療機器などがあるが、PPE(個人保護具指令)として防護服も含まれる。

 その基準となるのがISO/TC94(個人用保護具)で、SC13が一般保護具、SC14が消防隊員用だ。さらにその下には高視認性、熱と炎、化学物質、機械的リスク、生物的リスクのワーキンググループがある。

 カケンではこうした項目についての試験を行っているが、「手袋、服、ヘルメット、靴それぞれが一体となって部位の接合性を向上させる」適合性追求の傾向が強まっているようだ。

 京都・福知山市の花火大会事故のように日常にも危険は潜む。「欧州のような強制法でなくても、ガイドライン的なものが日本にも必要」な時代だ。

QTEC/防炎ラベルを発行/リーズナブルなコストで

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)は2001年から、消防庁施行規則に基づく登録認証確認機関として、防炎ラベル表示事業者に対する確認業務を行っている。これは日本防炎協会とQTECのみで、12年度は約330万枚の防炎ラベルを発行した。

 QTECの同業務は消防庁の法的義務のほか、一般家庭向けカーテンが多い。これはリーズナブルなコストで防炎ラベル表示が可能なためだ。また、福井試験センターで防炎試験を定期的に行い、防炎ラベルに試験番号などを付記し、品質保証のトレーサビリティーを確保しているのも強みである。

 また、JISマークの登録認証業務も行う。繊維製ロープ、搬送用のベルトスリング、ラウンドスリングの強度試験など安全性にかかわる製品を認証する。ISO/IEC17065(製品、プロセス及びサービスの認証を行う機関に対する要求事項)に適合し、QTEC認証工場などの審査システムに活用する。さらに、EN14862に準じた子供服の安全性に関するJIS規格作りも進める。

 安全面では抗ウイルス試験も行う。QTEC、繊維評価技術協議会、バイオメディカルサイエンス研究会の3機関共同で「国際標準共同研究開発事業:繊維製品の抗ウイルス試験方法に関する標準化(ISO化事業)」を11年度から実施している。

ボーケン/幅広い生活品の安全試験/短納期化を的確にサポート

 ボーケン品質評価機構は、繊維製品の各種評価試験に加え、服飾雑貨、日用雑貨、家具類の評価も充実している。大阪事業所だけでなく、東京事業所では生活用品試験センターを増床。海外では中国の上海浦西試験センター、広州試験センターでも服飾雑貨、家具の試験ができ、グローバル対応と品目拡大に注力する。

 ボーケンは生活用品の試験品目の多さが特筆される。「SGマーク」で知られる製品安全協会が認証する試験品目の実に39品目の試験を行う。乳幼児用品、福祉用具からスポーツ・レジャー用品までSG認証試験に対応できる。服飾雑貨の靴でも耐水性、ヒールの疲労や衝撃、滑り抵抗、耐屈曲性、つま先剥離など試験項目は多い。マイナス40度の環境下での性能をみるため、低温恒温恒湿器も導入した。

 また、火災時に役立つ防炎加工、作業服に用いられる制電加工などの身近な安全を確保する機能をはじめ、抗菌・抗カビ・防臭など安心・清潔関連の機能についても幅広く試験を実施。こうした試験は東京、大阪、上海の機能性試験センターを中心に対応しており、短納期化を進めながら、的確なアドバイスで商品価値を高めるサポートを行う。

 最近はアパレルから新しい試験方法の相談も増えており、生活雑貨類を含めて新たな評価方法、基準の策定にも協力していく考えだ。

ニッセンケン/高視認性試験がスタート/品質評価センター

 ニッセンケン品質評価センターは高視認性試験を充実させる。このほど衣料分野における高視認染色と再帰反射素材に関するISO規格が発効し、日本でも運用が始まる。ニッセンケン品質評価センターでは、これらISO対応の高視認素材・製品に対する試験をスタートさせる。

 日本では従来、高視認性に関する規格は標識などを対象としたJIS規格しかなかった。一方、欧州ではEU規格「EN471」として安全作業服などを対象に早くから普及している。これをベースにISO化が進められ、今年には衣料用の再帰反射材と蛍光染色に関する国際規格「ISO20471」が発効した。WTOのTBT協定により、日本でもISO20471に整合したJIS規格が11月には発効する予定だ。

 ニッセンケン品質評価センターは以前から標識を対象とした高視認性試験を実施してきた実績がある。これを生かし、新たに作業服など衣料品分野でもISO対応の高視認性試験として蛍光測色試験と再帰反射素材試験を立石ラボで実施する計画だ。また、ISO規格では安全作業服に使用する蛍光染色素材と再帰反射材の使用面積などを規定するデザイン規格も含まれるが、この点に関しても規格に適合しているかを確認するためにCADによる算出試験が可能だ。

 ISO化に伴い、高視認素材の需要拡大も予想され、ニッセンケン品質評価センターでは、試験を通じてISO対応の高視認素材の普及を支援する。