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特集 清潔・衛生と繊維/検査機関/試験体制を高度化・拡充

2013年10月30日(Wed曜日) 午後1時19分

 抗菌、消臭、抗かび、そして抗ウイルスと生活・衛生関連の機能加工・製品が注目を集める一方、素材や製品の性能や信頼性を担保するうえで欠かせないのが公平・正確な機能試験だ。その役割を担う検査機関では近年、試験体制の高度化と拡充が進められている。ここでは有力検査機関と取り組みを紹介する。

カケンテストセンター/個別の試験内容にも対応

 カケンテストセンターは現在、大阪事業所の分析テストラボで消臭試験や化学分析、生物テストラボで抗菌、抗かび性試験などを実施している。クライアントの要望に応じて個別の内容の試験にも可能な限り応じることを目指しており、新たな試験の採用にも積極的に取り組む。

 消臭試験のほか、特定芳香族アミン(アゾ染料)や重金属の検出など化学分析を担当する分析テストラボでは、やはり臭気やフレグランスに関する試験依頼が増加傾向だ。消臭試験も汗臭だけでなく加齢臭や部屋干し臭に対する試験要望が増加している。カケンテストセンターでは要望に応え、取り扱い試験項目の延長線上で従来は実施していなかった試験に関しても柔軟に対応する体制をとっている。

 一方、生物テストラボでも部屋干し臭の原因菌であるモラクセラ菌を対象にした抗菌試験などの依頼が増加した。さらに抗ウイルス性試験の実施に向けて設備を導入するなど準備が進む。10月からは、マスク用フィルターなどを対象にウイルスの捕集効率を調べるバリア性試験もスタートさせた。

 カケンテストセンター大阪事業所には研究室が設置されていることから、先端の分析・試験技術の導入に強みを持つ。素材開発の中心体である大阪をベースに求められる試験の充実を進める。

ボーケン品質評価機構/海外にも広がる試験拠点

 ボーケン品質評価機構は、抗菌性や消臭など機能性に関する試験を大阪だけでなく東京と上海でも実施する体制を整備した。大阪事業所では新たに抗ウイルス性試験の実施に向けた設備導入を行うなど準備が進んでおり、試験項目の拡大を積極的に進めている。

 これまで大阪事業所で実施していた抗菌性・消臭試験だが、東京事業所でも実施できる体制を整備しており、すでに消臭試験は2011年からスタート。抗菌性試験も13年度中には試験受付を開始する予定だ。

 海外で機能性試験を行えるのもボーケンの強み。上海では11年に上海機能性試験センターを開設して抗菌・消臭など機能性試験を開始し、12年にはボーケングループの上海愛麗服装検験修理の抗菌試験室を増強し、日系検査機関では初めてCNAS認定を取得することでJIS規格と中国のGB規格両方の試験に対応できる。13年には海外で初めて繊技協のSEK抗菌性指定検査機関にもなっている。最近ではモラクセラ菌を対象とした抗菌試験の受付も開始した。中紡標〈北京〉検験認証中心(CTTC)との業務提携によって日中間の技術交流にも熱心だ。

 試験項目の拡大にも取り組む。大阪事業所では抗菌、消臭、抗かび性試験に続いて抗ウイルス性試験の実施に向けた準備が進む。今後、抗ウイルス性試験方法のISO化やJIS化を踏まえ、試験受付を開始する。

ニッセンケン/抗ウイルス試験にも対応

 ニッセンケン品質評価センター(ニッセンケン)の東京事業所立石ラボでは、昨年10月から抗菌防臭・制菌・光触媒消臭・抗かび性試験や話題のモラクセラ菌試験にも対応している。この4月から抗ウイルス試験にも対応できる体制となった。こうした抗菌関係の試験は従来、大阪で行っていたが、短納期対応のため、昨年10月から立石ラボでも実施、試験依頼も増加している。

 立石ラボはBSL―2(仕様は3レベル)の試験室を設け、抗ウイルス試験にも対応していく。「最近はモラクセラ菌の試験が増えている。抗カビ試験では赤カビなどカビ種を増やしている」ようだ。今後についても「O―157、O―111も検討したい。バクテリアバリア性も検討しており、防護服といった分野で生かしたい」と言う。

 立石ラボでは「消臭ではないが、ホルムアルデヒドの試験は自動車内装材などで今も継続している。アンモニアや酢酸といった試験も多い」。

 一方、中国の上海事業所では抗菌試験を行っているが、この11月から消臭加工試験も行う予定だ。また、ニッセンケンは国内唯一のエコテックス規格の認証機関として、安心・安全の繊維製品試験をエコテックス事業所で行う。特定芳香族アミンなど製品の安全性問題は、厚生労働省も有害物質規制の法制化に向けて取り組んでいる。

QTEC/神戸に微生物試験室

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)は神戸試験センターに安全性の高いBSL(バイオセーフティレベル)―2(仕様は3レベル)の微生物試験室を昨年2月に設置した。1年半を経過したが、「ウイルスを扱えるということで仕事量は増えている」ようだ。

 微生物試験室では抗菌性・抗ウイルス性の各種試験に対応する。JIS(日本工業規格)の繊維製品の抗菌性試験、プラスチック製品等の抗菌性試験、光触媒抗菌加工繊維製品の抗菌性試験のほか、繊維評価技術協議会の抗かび性試験や消臭性試験、日本衛生材料工業連合会の抗菌性試験などに対応する。

 また、国、繊維評価技術協議会とQTECによる抗ウイルス性試験も進められ、ISO化に向け審査中だ。ISO国際会議では抗ウイルス性試験のプレゼンも行っている。

 最近、注目されるのが制菌加工(一般)のオプション菌であるモラクセラ菌。部屋干しのときの悪臭の原因菌ともいわれ、インナー関係での試験が多い。「PM2・5、原発問題、花粉症など生活環境の変化で需要増」となった。こうした試験だけでなく、試験商品の効果が出ないときに適切な開発アドバイスを行うのもQTECの特徴だ。「レベルの高い機能を追いかけることで、全体の底上げになる。クリーンで安全な機能試験を追求していく」という。