メーカー別 繊維ニュース

環境ビジネスを支援する 検査機関

2013年12月09日(Mon曜日) 午後2時27分

 繊維製品には環境にかかわる商材も多い。その製品の評価をどう行うか、試験方法は――という取り組みは現在進行形である。4検査機関の環境に向けた取り組みを紹介する。

カケン/内外で試験体制充実図る

 カケンテストセンター(カケン)は、環境関連商品の分析・試験を行う。防寒商品としてダウンコートは定番品だ。羽毛試験ではこのダウンやファイバーの混合の割合を測定する。また、規定の条件で測定したときの単位質量当たりの体積(膨らみ)、羽毛の清浄度、羽毛以外のものによる増量の有無なども測定する。

 国内では西部検査所に接触冷温感の試験設備を、京都検査所では恒温恒湿室を増設し、吸水速乾試験機を新設した。現有の保温性、遮熱性、吸湿発熱性、UVカットなどを含め機能性評価試験機を充実させている。

 こうした衣料品だけではなく、ハイテク分野に至るまでグローバルに対応するのがカケンの特徴。中国に5拠点を設けるほか、香港、韓国、台湾、タイ、ベトナム、インドネシアに拠点を有する。また、「グローバルコミュニケーション戦略室」を設置し、海外情報を集約、発信する。

 さらに、カケンの東京事業所本所では、労働安全の防護服などの試験を行う。欧州では雇用者が安全の確保を法律で義務付けられ、指定製品には「CEマーキング」を貼付する。この指定製品には電磁波関連、医療機器などがあるが、PPE(個人保護具指令)として防護服も含まれる。高視認性、熱と炎、化学物質、機械的リスク、生物的リスクといった項目についての試験である。

QTEC/花粉、VOCなどに対応

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)は、環境関連の試験、分析を行う。特定芳香族アミン類の分析は、国内だけでなく、上海総合試験センターでも今年から開始した。また、同センターでは接触冷温感試験機を導入しており、接触冷温感、保温性、熱伝導率の測定も行い、安全性、機能性についても中国で対応できる体制にしている。

 福井試験センターはカーテンなどリビング関連の遮光・遮熱の特殊試験で定評がある。防炎関連の燃焼試験にも対応する。

 もはや国民病といえる花粉症対策も環境対策の一つである。原因となる花粉を室内に持ち込まないことがポイントになる。そのためメーカーは衣服に花粉が付着しにくく、落ちやすい生地の開発を進める。この花粉リリース性試験(QTEC法)を開発し、その性能を評価する。

 建材などから放出されるVOC(揮発性有機化合物)は、住宅室内の空気を汚染する。いわゆるシックハウスの発症問題は、現代の環境問題のひとつである。VOCは建材や合板のほか、カーテンやタイルカーペット、アパレル製品のプリントから発生する場合もある。QTECでは、JIS A1901によるVOCとホルムアルデヒド、カルボニル化合物の放散量測定を行う。さらにHBCD(ヘキサブロモシクロドデカン)の分析試験にも対応する。

ボーケン/環境商材を評価する

 ボーケン品質評価機構(ボーケン)は、環境商材を評価するための化学分析・機能性試験を行う。欧米を中心にREACH規制やROHS規制などで、使用禁止物質が定められている。ボーケンは業務提携先のSGSとも協力しながら、こうした情報提供を迅速に行う。

 特定芳香族アミンを発生するアゾ染料の分析でも、東京、大阪、上海の3拠点で対応。欧州、中国の法律、日本の自主基準とすべての試験方法を網羅しており、世界中の市場への対応が可能だ。

 機能性試験も国内外で試験体制作りを進めてきた。東京事業所では抗菌試験室が11月から営業を開始し、短納期化を進める。国内事業所では開発段階の製品の評価を支援、海外事業所では製品になった後の量産品検査など、顧客の利便性を考慮した試験対応である。

 海外では11月にタイ(バンコク)、ベトナム(ホーチミン)にも事務所を開設。また10月には「海外リサーチ&アドバイザリー室」を東西に設置し、海外情報を提供する。

 安心・安全の評価でも公的基準にない試験・評価に関するアドバイスを実施。新しい製品評価・試験方法の開発ではボーケン法も策定し、ISO提案や企業の品質基準にも取り入れられた。こうした取り組みが評価され、11月に経産省の製品安全対策優良企業表彰の特別賞を受賞した。

ニッセンケン/「エコプロ2013」に出展

 ニッセンケン品質評価センター(ニッセンケン)は12日から開催される環境展示会「エコプロダクツ2013」に出展(ブース番号2―049)する。検査機関として初めて。「一般消費者に向けて、繊維産業と試験・検査機関の環境配慮について訴求したい」という。

 同展ではクールビズ、ウオームビズに向けた保温性機能生地、接触冷感機能生地を試験するため、赤外線サーモグラフィー、サーモラボⅡ試験機を会場に持ち込み、来場者は実際の感覚と数値で試験体験できる。また、摩擦試験機Ⅰ型で、繊維製品の基本性質を測る定番の摩擦試験で、染色堅ろう度試験の体験も実施する。

 さらに再帰性反射素材と、何も加工されていない生地を比較し、安全に関する機能もアピールするほか、パンフレット「試験員が考える試験を通じたエコ貢献」も配布。繊維産業全体を通じた良いモノ作りのための取り組み、消費生活の中で試験・検査がどのような貢献を果たしているかを発信する。

 欧州基準(EN471)の「高視認性衣服」がISO規格となり、近い将来、JIS化、GB化が確実になりそうだ。ニッセンケンでは立石ラボで再帰性反射素材、蓄光素材など高視認性衣服の試験体制を整えた。また、透湿素材の評価を行う試験機「発汗ホットプレート」を導入し、消防服などの快適性も試験する。