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足元固める検査機関/コストアップへの対応も

2014年04月26日(Sat曜日) 午後3時41分

 ここ数年、アセアン地域への新たな拠点作りを進めてきた検査機関。顧客の中国からアセアン地域への生産地シフトに応じた形だ。とはいえ、中国の存在感が薄れたわけではない。円安、さらに人件費を含めたコストアップに対応しながら、中国事業を推進する。各検査機関の今年度の方針は、新規拠点の模索よりも、足元を固める方向にある。

カケン/内外の営業力強化を図る/調査・情報提供も強化

 カケンテストセンター(カケン)の長尾梅太郎理事長は2013年度の業績について「堅調だった。前年比で3~4%の増収」を見込んでいる。とくに海外事業の伸びが大きかったようだ。しかし、14年度は「厳しい環境にあり、内外合わせても微増程度」と慎重な見方を示す。

 国内は消費増税の影響で市場環境は厳しくなるとみる。また、これまで好調だった機能性試験も従来の増勢が一服しそうだ。中国も「チャイナ・プラスワンに加え、中国国内の消費が一段と厳しくなる」とし、試験機関の競争激化も予想する。

 その一方で、海外の人件費上昇を含めコストアップは否めない。「輸入産業が厳しいように、円高時代の裏返し。抜本的対策はない」情勢である。

 そうしたなかで昨年12月に大阪事業所堀江ラボを新設。関西のファッションエリアであり、デザイナーなどの相談も受ける試験室としてサービス体制を整えていく。また、神戸インフォセンターでも試験検査の受け付けを行う。

 中国では5拠点を設けるが、「上海科懇検験服務の分公司化を終えた。営業力強化が目的で、新規顧客を拡大する。また、無錫試験室は中国人がトップとなり、現地での営業力が増す。今後も良い人材で現地化を進める」考えだ。

 インドネシア・ジャカルタに開設したカケンインドネシアは、「売上高は3倍となったが、まだ水面下にある。14年度には黒字化したい」と、地元での知名度を高めながら現地での実績を積み上げ、事業の安定化を図る。バングラデシュでは韓国のKOTITI試験研究院との進出を検討するという。

 調査・情報提供では「海外で販売する顧客への対応を強化」しており、提携先からの情報提供、現地調査などを通じてデータを収集して、総合力をアピールする。

QTEC/営業力強化、情報提供も/タイに新たな拠点設ける

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)の中島重雄理事長は「今後、営業力の強化は重要。専門家も入れ、組織を強化している。また、情報提供も積極的に行っていく」という考えだ。

 コストアップと競争激化の中国だが、「中国は大きな収益源。上海総合試験センターを中心に今後も注力する。既存拠点で機能性試験などを拡充していく」方針は変わらない。

 上海総合試験センターは増床し、抗菌、消臭、生活用品の試験にも対応していく。アゾ染料の試験も可能になった。青島試験センターはCNAS、CMAの資格を再取得し、生地に加えて製品を含めたGB試験ができるよう内容を充実させた。無錫試験センターは一般試験のほか、羽毛試験も行う。深試験センターは生活用品として靴、傘、バッグの試験に対応。試験室も増設した。

 アジア地域では2010年に開設したバングラデシュのダッカ試験センターに続き、新たなアセアン地域の拠点として「QTECバンコク試験センター」(QBTC)を開設した。これはタイ国繊維試験所(THTI)との繊維製品試験業務のための技術協力・支援提携によるもの。

 QBTCは日本向けの生地検査、製品検査のほか、ミャンマー、カンボジア、ベトナムなどアセアン地域の情報収集や指導、調査も行っていくことで、顧客サービスを一層充実させる。

 国内では東京総合試験センターがファッション雑貨や生活用品の試験を行っているが、食品衛生法で規制されている金属などの有害物質についても試験できるよう準備を進める。

 また、消防庁から防炎ラベル表示の登録確認機関として認められており、とくに品質管理体制やトレーサビリティーなどで評価が高い。

ニッセンケン/3事業の有機的連携を/健康・安全事業に特徴

 ニッセンケン品質評価センター(ニッセンケン)の駒田展大理事長は「国内、海外、健康・安全に関する事業。この3事業を有機的に絡めた事業運営を推進」を今年度方針にする。また、人材やIT関連投資に重点を置く。

 ニッセンケンは昨年11月、インドネシアにソロ検品センターを開設し、検品業務を開始した。これにより、2012年に開業したニッセンケンジャカルタラボと併せ、インドネシアでの試験・検査のワンストップ体制を構築した。また、物流会社との連携で、輸送を含めた一貫サービスも提供している。

 ソロ検品センターは、アセアン対策として昨年10月に開設したミャンマーのヤンゴン検品センターに続くもの。主な業務は出張検品で、各工場にスタッフを派遣し、全数検品・抜き取り検品・A品抜き取り検品のほか、検針にも対応する。

 好調のヤンゴン検品センターは衣料品だけでなく、バッグやファッション小物など雑貨も扱う。このため、検針機に加えて、X線検査機も装備。ミャンマー国内の検品専門業者としてX線は初の導入である。「ミャンマーは引き合いが多く、すでに150人体制」になった。

 一方、中国では01年に南通事業所を開設。以後、崇川、上海、南通人民路、煙台事業所と広げ、試験だけでなく、中国での検品業務も進める。国内では2000年にエコテックス国際共同体に加盟し、日本で唯一のエコテックス認証機関として「エコテックス規格100」の認証活動を推進。さらに東京事業所立石ラボでは、抗菌防臭・制菌から光触媒消臭・抗かび性やモラクセラ菌、抗ウイルス試験にも着手。高視認性評価測定を中心に防災・安全評価試験ができる体制だ。上海事業所でも抗菌試験、消臭加工試験に対応し、内外で健康・安全の事業を拡大する。