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ITMAアジア+CITME2014レビュー/出展、来場とも過去最高

2014年07月29日(Tue曜日) 午後3時2分

次回16年は新会場へ

 6月16~20日、上海市浦東新区の上海新国際博覧センターで繊維機械見本市「ITMAアジア+CITME2014」が開かれた。同展は2008年から隔年で開催され、今回で4回目の今回、出展者数、展示面積、来場者とも過去最大となった。次回の16年はさらに発展させるため新会場での開催となる。同センターの13ホールを使用し、前回比15%増の総展示面積15万2200平方㍍に同22%増の約1600社が参加。出展面積では中国が最も多く、以下ドイツ、日本、イタリア、スイスと続いた。

 来場者は102カ国・地域から前回比7%増の10万人強が訪れた。全体の20%超が海外からの来場者。国・地域別では中国大陸からの来場者がもっとも多く、海外ではインド、日本、台湾、韓国、インドネシア、トルコの順。次回の16年はさらに多くの出展ニーズに応えるため、時期と会場を移す。16年10月24~28日、国家会展覧センター(上海)で開く予定だ。

紡績関連機器編/差別化糸の生産へ

 主力機械を前面に、さらなる拡販を狙った紡機メーカー。すでに納入実績があり、その性能の高さが知られているだけに、来場者の注目度も高かった。

 「Challenge for the next ~ Progress~」をテーマにボルテックス精紡機「ボルテックスⅢ870」、自動ワインダー「プロセスコーナーⅡQPRO」などを実演アピールした村田機械。ボルテックス精紡機の第3世代として、これまで培ってきた紡績ノウハウを凝縮した「ボルテックスⅢ870」。同精紡機はレーヨン紡績の分野で広く活用されてきたが、ここ数年、増えているのがポリエステル紡績。中国では国内の綿花価格が高止まり、代替としてポリエステルの需要が伸びている。こうした背景もあり、同機はさらに市場を拡大しつつあり、その汎用性と有用性を訴求するため、日替わりでレーヨンやポリエステルなど素材を切り替え、実演した。同機は最新の紡績技術が盛り込まれているだけに、展示の方法にも工夫を凝らした。誰でも見られるようなオープンな設置は避け、ブース内に実演ルームを設けた形だ。

 また、同社と共同ブースの形で、TMTマシナリーが独自技術を取り入れた延伸仮撚機とテイクアップワインダーを大型ディスプレーで紹介し、好評を博した。延伸仮撚機の「ATF―1500」は最新鋭の高速自動機。1台=384錘という多錘化による高い生産性と高速化・自動化を実現。ディスプレーでは実際に工場で稼働するシーンをビデオで流し、その性能を分かりやすくアピールした。共同ブースによる相乗効果もあり、多くの来場者がブースを訪れた。

 他方、ツルッツラーと共同開発したTCO12をアピールしたのが豊田自動織機。サーボ技術や振動低減ノウハウをコーミング技術に応用。ツルッツラーのドラフトヘッドと融合させた。また、従来のインジェクションスラブ装置を改良することで、よりファンシーな意匠糸の紡出を可能にしたリング精紡機「RX300」も注目された。

 紡機以外ではAIKIリオテックが糸加工機を出展。多様なスラブ糸の生産が可能な「ATS―600」を紹介した。これまで、スラブ糸の生産には種類ごとに違う機械が必要だったが、蓄積した技術の組み合わせにより、1台で様々な種類への対応が可能となった。来場者からも関心が高かったという。

 プロトタイプながら注目され、多くの商談に至ったのが、日本ノズルが新開発したノズル自動検査装置「レッドスキャン」だ。同装置はノズルメーカーならではの視点を取り入れ、ユーザーにとって利便性の高い装置に仕上げたのが特徴。ノズルの検査装置は検査機メーカーから市販されているものもあるが、対象ノズルの情報を打ち込んだり、セッティングの方向が決まっていたりと、操作が簡単ではなく、検査にも時間を要する。これに対し「レッドスキャン」はセッティングの方向を定める必要もなく、対象のノズルを検査トレイに置くだけ。後は自動でノズルホールをスキャンする。600ホールのものでも、およそ2分で検査が完了するなど、検査時間も短く、結果も分かりやすくモニターに表示される。

日本繊維機械協会専務理事・萬井正俊氏/知的財産権への対応を評価

 今回展については前回に比べ、知的財産権に対する対応が随分と良くなりました。繊維機械では長年、技術やノウハウのコピーが問題になっていますが、今回は対策室が設けられ、知財権に関するヨーロッパの専門家や地元中国の専門家、さらには行政機関の人材などのスタッフをそろえ、きっちりと対応していました。展示会中、自社の知的財産権を侵害するブースがあれば、これを訴える申請用紙に記入し、特許証の写しなどの正当な権利を持っている証明書と合わせて、対策室に提出。受理されると、ただちにスタッフが対象のブースに確認に行き、24時間の弁明期間を与え、その回答を受けて本格調査をし、処分するというシステムでした。

 例えば、日本のパーツメーカーが訴えたのを聞いていますが、いずれも24時間を待たず、対象のメーカーはその商品をブースから撤収しました。訴える手続きが煩雑では無く、きちんと対応したうえ、結果も付いてきた形です。一定の実効性が担保されたのは評価できます。これまで、模倣品が野放しの状態になっていましたが現在、中国自身が国を挙げて知財保護に取り組み始めていることもあり、この業界でも知財に対する意識が高まってきています。

 このなかで、今回展は展示床面積のうち、およそ7割が中国の企業で、2割がヨーロッパ、日本も含めその他が1割です。いくら世界一の繊維の生産基地とはいえ、中国の機械サプライヤーは過剰気味ではないでしょうか。知財権の問題もあり、中国の繊維機械業界も整理淘汰のフェーズに入っていくのではないでしょうか。残るメーカーは技術や企業体力を持つしっかりしたところになります。

 そういうところが、自社にない技術をライセンス契約するようになれば、模倣品の問題も改善していく可能性があります。