メーカー別 繊維ニュース

2014秋季総合トップインタビュー機械編/TMTマシナリー理事営業本部長・四宮 進一郎氏

2014年10月24日(Fri曜日) 午前10時57分

夢を与える機械を提案/ITMAで新機種もアピール

 中国での旺盛な合繊設備増設を背景に好調が続いたTMTマシナリー。だが今年後半から状況が一変した。TMTマシナリーの四宮進一郎理事営業本部長は「今後は、ユーザー企業に夢を与える機械を提案することが重要」と強調する。来年にはイタリア・ミラノで国際繊維機械見本市「ITMA2015」も開かれる。「そこで新しい機種をアピールする」との計画だ。

  ――繊維機械の市況に変調が見られます。

 当社が扱う合繊機械は納期が非常に長いこともあり、今年も上期までは受注残もあって堅調に推移していました。ところが下期に入ってからは、売り上げ計画を2度も下方修正するなど大苦戦です。通期では黒字を維持できるでしょうが、非常に厳しい市況となっています。とくに主力市場である中国で大幅に受注が減少してしまいました。L/Cが開いていても出荷が延期になるケースが増えていますし、成約自体がキャンセルとなるケースも出ました。

 背景には、習近平政権が進める腐敗撲滅政策があります。腐敗撲滅政策の影響で土地開発が停滞しています。土地開発の遅れから合繊プラント建設に遅れが生じ、紡糸設備・テークアップワインダーの荷動きも止まってしまいました。また、中国の合繊メーカーの多くは不動産事業も展開しており、金融機関からその融資も受けているのですが、不動産価格の下落から一部の金融機関が貸しはがしのような動きをしているとも聞きます。そうなると不動産事業の収益が悪化した合繊メーカーがリストラを余儀なくされることになり、繊維の設備投資が難しくなる場合もあります。仮撚り機に関しても過剰設備が顕在化したことから受注が鈍ってきました。

  ――今後の見通しは。

 当面は非常に厳しいと思います。合繊プラントは中国の増設ブームを背景に、これまで極めて旺盛な設備投資が続いていました。当然、いずれはピークアウトし、淘汰の時代になることは分かっていましたが、それでも当初は少なくとも2015年までは受注が続くと予想していました。ところが今回の事態でファイナルステージが早まったと思います。おそらく15年よりも前にピークアウトすることになるのではないでしょうか。

 ですから今期は当面、我慢のときです。2015年にはミラノで国際繊維見本市「ITMA2015」が開かれますから、そこで新しい機種をアピールします。中国の合繊メーカーも今後、差別化品の生産比率を高めるといった形で事業ポートフォリオの見直しを迫られるでしょう。そういったニーズに対してTMTマシナリーとして独自の差別化が可能な機械を打ち出すことが大切です。大きな切り口としては、まず省エネ。今回のITMAにはテークアップワインダーの実機も出展します。スローガンは「トリプル30」。省エネ性30%向上、生産効率30%向上、省力性30%向上という意味ですが、インパクトのある機械でないと、これだけ設備投資が行われた後の市場では通用しないでしょう。そのほか、既存設備の改良で省エネ性を高める機構の開発も進めています。

 2011年のITMAバルセロナで発表したインディヴィジュアル・オートドッファー機構を持つ仮撚り機「ツインパック」も改良版を披露します。ユーザーが強みを発揮できる機械を開発・提案していかなければなりません。

  ――中国以外の市場については。

 台湾はナイロン関係が引き続き好調。POYやDTYは台湾の合繊メーカーが各国のお手本となる存在です。トルコは差別化仕様の仮撚り機で大口受注がありました。差別化の原糸を国内で生産していることが強みでしょう。また、北米も受注が堅調です。こちらは台湾や韓国のメーカーが進出しているためです。

  ――今後の戦略をお聞かせください。

 テークアップワインダー、仮撚り機ともに、やはりユーザーに夢を与えることのできる機種を提案することが重要です。その機械を導入することで事業のポートフォリオを大きく変えることのできるような機械ですね。POY、FDY、DTYといったレギュラー品ではなく、高強力糸に対応した機種なども必要でしょう。やはり産業資材分野は期待できます。例えば250から500クラスの産資用糸の加工機械はあまりありません。こういう機械ができれば、恐らく市場で幅広く受け入れられるでしょう。

  ――複合材料関連の事業にも力を入れています。

 複合材料関係は順調に立ち上がっています。グループ会社である神津製作所と連携しながら、いろいろな取り組みがあります。おそらく来期は大口の案件もあると期待しています。

 しのみや・しんいちろう 1982年村田機械入社。2002年TMTマシナリーの発足に伴い第一営業部長(中台アセアン管轄)として転属、2012年から営業本部長。

お薦めの1冊/筋の通った論理に納得

 「この1冊というわけではないが、出た本はほとんど読んでいる」と四宮さんがお薦めするのが小宮一慶氏の著作。ほぼ同世代の人気コンサルタントの言葉は四宮さんにとっても「筋の通った論理に納得することが多い」とか。その小宮氏の愛読書は松下幸之助著の『道をひらく』(PHP文庫)。四宮さんも小宮氏の著書を読んだのがきっかけとなり松下幸之助翁の著作をひもとくようになった。日々の仕事のなかで、視野がつい局所的になってしまうのは万人の悩むところだが、松下幸之助翁や小宮氏の著書を読むと「一段高いところからの目線で物事を見るようになれるところが素晴らしい」と話す。