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ITMA2015/IoT対応が加速

2015年11月17日(Tue曜日) 午前10時15分

 12日からイタリア・ミラノで開催中の国際繊維機械見本市「ITMA2015」。今回展で目を引くのがIoT対応だ。現段階では構想に止まるものがある一方で、部分的には実用化されているものも少なくない。その意味でIoT対応でも繊維機械の潜在力の高さを浮き彫りにした。(ミラノ=宇治光洋)

〈繊維産業の潜在力は高い〉

 村田機械は顧客サポートの統合管理システム「ムラテック・スマート・サポート(MSS)」を提案した。自動ワインダーの稼働データ管理システム「ビジュアル・マネージャー+」とボルテックス精紡機の稼働データ管理システム「V―ラボ+」をベースに独自開発の無線ネットワーク機器などを活用したものだ。TMTマシナリーも生産管理システム「IBIS」を紹介し、タブレット端末などによる生産管理を紹介する。

 織機では津田駒工業がユーザーの織機、準備機をネットでつなぎ、稼働状態などをモニタリングし、メンテナンス情報なども発信する「ツダコマ・インターネット・サポート・システム(TISS)」の構想を発表した。ピカノールも織機稼働をスマートフォンなどで遠隔管理する「ブルー・コネクト」システムを打ち出す。

 実用化されている技術も少なくない。ヤコブ・ミュラーの細幅ニードル織機は操作パネルを初めから搭載せず、専用モバイル端末1個で最大8台の織機を操作する。

 このため新規にシステムを開発するのではなく、すでに実用化しているハードとソフトを活用するケースが多い。欧州では「インダストリー4・0」が盛んに唱えられているが、すでに繊維産業は一定のIoT化が進んでいる。インクジェット捺染機の隆盛も今回のITMAの特徴だが、これもデジタル化の最先端とも言える。

 その意味で、あえてIoTを唱えずに最も潜在力を見せつけているのが豊田自動織機と島精機製作所かもしれない。ITMAで織物用トータルデザインシステム「APEX―T」を共同開発。織物設計と実際の織布工程がデジタルで統合管理できるようになった。

 さらに豊田自動織機は傘下にウスター・テクノロジーズを持つ。クリアラーなどを通じて紡績分野で圧倒的な情報を持つだけに、将来的には紡績から織布までの統合管理の可能性すら感じさせた。

 島精機製作所も生産性とデザインの汎用性が飛躍的に高まった新型ホールガーメント横編み機「MACH2XS」をデビューさせたことでデザインシステム「SDS―ONE APEX3」との融合で真の意味でトータルファッションシステムが完成した。

 繊維産業は労働集約型産業であるがゆえに、繊維機械は常に高生産性と省人化を追求してきた。その結果、ほかの分野に先駆けてIoTの原理となる考え方も存在した。近年、情報機器の性能向上とネットワークインフラの充実が、かつては構想だったものを実用化させた。その意味で繊維産業はすでにインダストリー4・0の世界に足を踏み入れているのかもしれない。