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ミラノからの手紙/「ITMA2015」報告(15)/インクジェット捺染 前/シングルパス方式が普及の兆し

2016年01月12日(Tue曜日) 午前11時47分

 「ITMA2015」の大きな特徴として、“捺染機械”が独立したカテゴリーとして新設されたことが挙げられる。進化が加速するインクジェット(IJ)捺染機を中心に革新的な機械が登場している。とくに大きな話題となったのが、シングルパス方式IJ捺染の普及が進みそうな兆しを見せていることだ。

 IJ捺染は、水使用量が大幅に削減できることや、柄設定がデジタルデータ入力なので版作製・交換の必要がないことから革新的な加工プロセスとして注目されてきた。一方で従来のIJ捺染機は、生地上をノズルヘッドが往復運動してプリントするスキャン方式が一般的だったことから加工スピードに限界があるとされた。このため、あくまで多品種・小ロット品を効率的に加工する機械であるというのが一般的な認識だった。

 こうした認識を一変させたのが通常のフラットスクリーン捺染機やロータリー捺染機と同じように固定したノズルヘッドの下に生地を流してプリントするシングルパス方式の登場である。これによりIJ捺染機でもロータリー捺染機に匹敵する加工速度が可能になる。版製作・交換が不要な分、稼働効率を含めた生産性ではスクリーン・ロータリー捺染機をしのぐ可能性すら秘める。

 前回の「ITMA2011」では、MSがシングルパス方式のIJ捺染機「ラリオ」を映像で発表して大きな話題となったが、今回のITMA2015では実機を展示した。最速で毎時8640平方メートルのプリントが可能だ。

 コニカミノルタもシングルパス方式の「ナッセンジャーSP―1」を披露した。捺染速度は毎時6400平方メートルだが、最大の特徴は革新的なプリント補正機能だ。シングルパス方式はノズル詰まりなどによるインク射出不良がプリント欠点に直結するが、ナッセンジャーSP―1は射出不良ノズルをセンサーで感知し、プリント不良が発生した場合に周辺ノズルがインク射出量を自動的に変更してプリント欠点を補正する。カメラセンサーも搭載し、各プリントヘッドのプリント濃度を監視・補正する機能も搭載する。

 そのほか、SPGプリンツもシングルパス方式のIJ捺染機「PIKE」を発表した。ヘッドは富士フィルムとの共同開発。標準モードで毎時4440平方メートルの加工能力を持つ。

 シングルパス方式IJ捺染機は、その高生産性から、とくにファストファッションなど大ロットかつ商品切り替えのスピードが速い用途で威力を発揮しそうだ。設備投資額の大きさやインクコストなどに課題はあるものの、日欧3メーカーがシングルパス方式IJ捺染機をラインアップしたことで、今後の普及に弾みが付きそうだ。それは捺染の工程が抜本的に革新することを意味するだけに、今後の動向が注目される。