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中国 染工場への環境規制/“G20ショック”へ警戒感/突発的規制が事業リスクに

2016年01月15日(Fri曜日) 午後12時11分

 今年9月に中国・浙江省杭州市で開催される20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて、周辺の染工場は操業停止や生産調整を強制される模様だ。工場を活用する日系生地商などへの影響は大きく、警戒感が強まっている。突発的な環境規制が中国事業の足かせになりつつある。(上海支局)

 中国政府はこれまで、「北京五輪」や「上海万博」など国の威信を懸けた大型イベントの度に周辺工場へ操業規制を実施してきた。14年11月の「アジア太平洋経済協力会議(APEC)」では開催地の北京市周辺の工場の操業停止や車両規制で深刻な大気汚染を抑え”APECブルー”を演出した。

 “G20ショック”が取り沙汰されるようになったのは昨年7月のこと。地元メディアが杭州市から300キロ圏内の染工場がG20首脳会議に合せて3カ月操業停止になるとの噂を報じた。反響は大きく、市政府は「3カ月のような長期ではない」と火消しに努める一方、1週間はあり得るとした。

 その後、11月に江蘇省蘇州市で開催された「中国・中東欧諸国首脳会議(16+1)」と、浙江省嘉興市で開かれた「世界インターネット大会」では、染工場などへの操業規制が実施された。蘇州市郊外で合繊長繊維テキスタイルの染色加工を行う小松精練〈蘇州〉は、「地元政府から稼働率を落としてほしいと依頼があり、生産調整した」(米谷俊泰総経理)。白衣用生地などを周辺工場で委託生産する一村〈上海〉貿易も影響を受けた。竹内弘二総経理は、「江蘇省蘇州市呉江区などの工場がストップし、どうしようもなかった」と説明する。

 こうした前例から、G20首脳会議のタイミングでの操業停止や生産調整は確実というのが業界関係者の一致した見解だ。今のところ政府の正式発表はないが、どのくらいの期間と範囲で実施されるかに関係者の関心は移っている。

 各報道によれば、対象範囲は杭州市から200~300キロ圏内になるとみられている。同エリアは染色業のメッカで、全国シェア3~4割だ。杭州市から約150キロの浙江省寧波市でレース編みと染色を行う寧波武田紡織の川幡真吾副総経理は、「2週間程度の操業停止命令を想定する必要がある」と警戒感をあらわにする。

 対象地域の工場を活用する瀧定紡織品〈上海〉は、G20ショックを早期発注で乗り切る考えだ。鈴木伸也副総経理助理は、「備蓄機能を生かし、早期発注することでお客に迷惑がかからないようにする」と話す。

 懸念されるのが「こうした突発的な規制の常態化」(前出の米谷総経理)だ。国際会議の度に操業を停止していては正常な企業活動に支障をきたしかねない。環境法を厳守する日系企業が不満を募らせるのは当然のことといえる。突発的な環境規制は中国事業の足かせになりつつある。