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探訪 学生服の現場から/自主独立で人間性磨く/学校法人九州電機工業学園 希望が丘高等学校/社会の即戦力育てる

2016年05月30日(月曜日) 午後12時47分

 九州電機工業学園・希望が丘高等学校(福岡県中間市)は1969年、九州電機工業学園高校として創立され、98年に希望が丘高校として、学科を総合学科に改編、九州の私学として最初の総合学科校となった。創立当初から建学の精神をノヴァ・フロンティア(新開拓者精神)・自主独立と定め、その精神を脈々と受け継いでいる。

 筑豊電鉄「希望が丘高校前」駅から徒歩3分、閑静な住宅街を歩き、校門前まで来ると、吹奏楽部が奏でる音や、スポーツの練習で元気な生徒たちの声が聞こえてきた。校門を入ると、生徒たちが礼儀正しく「こんにちは」とあいさつしてくれ、近隣の住民たちに親しまれていることが容易に想像できる。

 「元々やんちゃな子供たちが多かったんですよ」と話すのは、総務広報主事の中西康暢教諭。今の素直そうな生徒たちの様子からは全く感じられないことだが、ここ10数年で大きく変わったのだという。その理由の一つは総合学科にも設定される「スポーツ系列」がある。

 卓球、サッカー、駅伝、相撲、硬式野球の5競技から専門種目を選択。スポーツに特化した独自カリキュラムを通じて、インターハイや国際大会を目指しながら、社会で必要とされるチームワークとコミュニケーションスキルなど身に着ける。各競技では実業団の駅伝監督や元Jリーガー、世界ライセンスを持つ監督などプロフェッショナルが指導する。

 「何かスポーツで一番を目指せるものはないか」。そのなかで最初に取り組んだのが卓球の強化で、今ではインターハイでの優勝の常連校として全国に知られ、ナショナルチームの強化選手も輩出するほどだ。最近では、ほかのスポーツでも強豪校として実績を出しつつある。

 総合学科はスポーツ系列のほか、少人数クラスで大学進学を目標にする「進学系列」、ビジネス社会のスキルを身に着けることができる「総合ビジネス系列」を設置。国際エステティックライセンスを持つ講師陣が直接指導する「トータルビューティー系列」、プロ演奏家が指導する「音楽系列」を含め、総合学科として特色を持つ5つのコースがある。

 専門的な学科としては「自動車学科」、自動車学科を卒業後2年間さらに学べる「自動車専攻科」も設置。自動車学科では三級整備士を100%の生徒が取得し、早い段階から基礎的な知識を身に着ける。専攻科では自動車メーカーによる企業奨学金制度があり、自動車メーカーへの内定も決まりやすく、就職率は100%。まさに社会に出て即戦力となる人材を育てている。

〈在校生もうらやむ制服に〉

 現在の制服は採用からすでに10年ほどたっていた。元々ビジネス系の学校だったため、「社会人を目指してもらいたい」という意味からスーツタイプで、高校生が着用してもおかしくないものだった。

 ただ、「時代の流れもあって、新しい方向性を持った制服に変えたい」と思い、昨年からプロジェクトチームを立ち上げ、新制服の導入を検討し始めた。

 そこで学生服アパレル4社にコンペをしてもらうことになった。「4社には、全くどんな制服がいいかも言わず、当校にとって“これだ”と思うものをとにかく提案してほしいと言いました」

 そのなかで選んだのが、明石スクールユニフォームカンパニー(明石SUC)がAKB48グループの衣装制作など手掛けるオサレカンパニーと共同で企画した「O.C.S.D.」の制服だった。「著名な会社がかかわっているからというよりも、何か“光るもの”があったから選んだんでしょうね」

 実際、服装のセンスがいい男子2人、女子4人の生徒を選抜、明石SUCのショールームに足を運び、10点ほどのサンプルを改めて作成。そのサンプルを学校へ持ち帰り、全校生徒にアンケート調査を実施した。調査をもとに新しい冬服、夏服を決定した。「生徒の感覚でどういう制服を着たいかを作り上げました」

 冬服はネイビーのジャケットで、襟とポケットに白いラインが入り、スタイリッシュな印象。男子は濃いグレーにチェック柄が入ったスラックス、女子も濃いグレーが主体だが、白とブルーのターンタンチェックでおしゃれなイメージをより際立たせる。男子の赤のネクタイ、女子の赤のリボンも胸元を引き締める。

 夏服は男子がシャツ、スラックス、女子はブラウスと明るめのグレーにタータンチェックが入った涼しげな色合いのスカート。ブラウスの襟とリボンはスカートと同じ柄で、「まさに女子がかわいいと思う制服に仕上がった」。来年の新入生から着用を開始する。

 生徒のなかには「今の制服の方がいいという子もいます。しかし、本当は来年の新入生が新しい制服を着用することに対して悔しいんだと思います」(笑)。

〈“新しい自分”発見する〉

 校舎を出ようとすると、吹奏楽部の生徒たちがいすを並べ、コンサートを開く準備をしていた。近隣の住民たちを招き「ゆうぐれコンサート」を開くと言う。近くのモールでも定期的に演奏会を開き、住民との交流も年々深まってきた。

 毎年2回、何かをやり遂げた人、挑戦している著名な人を学校に呼び講演をしてもらっている。最近では近隣の中学校とも連携しながら講演者を呼び、地域全体で心豊かな生徒を育む取り組みも始めつつある。「学校での経験を通して“新しい自分”を発見し、人間性を磨いていってほしい」。一人ひとりの生徒が生き生きしているように見えるのは、そんな自主独立の気風が育まれてきた結果なのかもしれない。