メーカー別 繊維ニュース

変化を読み解く/企業編

2016年07月25日(Mon曜日) 午後12時47分

〈東洋紡STC/商品の伝え方にも工夫/確かな機能、分かりやすく〉

 東洋紡STCは、機能の幅を広げつつ、機能の伝え方に工夫を凝らす。7月に大阪と東京で開催した「Tasty総合素材展」には各繊維グループのイチ押し素材が集結した。

 いまや快適性をうたう機能商品は店頭では当たり前になりつつある。吸汗速乾、抗菌・防臭、接触涼感……。しかし、その効果の程度や持続性はさまざまで、ピンからキリまである。

 そうした中、今回展のテーマは「かたる繊維」とし、素材へのこだわり、機能の確かさを伝えることに力を入れた。実験機材やパネルなどを用いて、独自の機能素材のこだわりを視覚と、触覚で体感できるコーナーを数多く設けることで、さらに充実した機能をアピールした。

 重点プロモート素材の一部を紹介すると、夏シーズンの新素材として「爽快COTTO(コット)」を初披露した。独自の紡績法で、吸水速乾機能、クリアな表面、ドライタッチ、汗処理機能、抗ピル性といった多機能を併せ持つ。

 オリジナル綿素材「メンデッセ」は、これまで一般テキスタイル用途では使われてこなかった原綿を混紡技術で工夫し一般衣料用途にも使えるようにした。ハリ・コシがあることや、発色性の良さが特徴だ。

 寝装素材からは新素材「スレンダーファイン」を打ち出す。0・6¥文字(G0-AC85)¥文字(G3-1005)の超ウルトラマイクロエステル「スレンダーシックス」と「マイクロレーヨン」「ハイマルチ糸」を超高密度で複合した素材で、柔らかさと軽さに加え、防ダニ機能を兼ね備える。

 「SUPLI(サプリ)」は酸・アルカリ調整機能に優れた素材で、汗を中和し肌を健康な状態にサポートする素材として打ち出す。

 スポーツ素材からは長短複合糸「マナード」にウールを複合した新素材「マナードウール」を新たに発表。ポリエステルの速乾性とウールの吸湿放湿性を両立させた糸構造が特徴だ。

〈クラレ/新規用途開拓に注力/グループ内連携を強化〉

 クラレの繊維カンパニー・生活資材事業部はグループ内連携を強化し、クラレの成形技術や特殊樹脂を活用した開発に注力している。不織布、面ファスナーとも特徴ある商品を拡充して事業構造を強化していることが背景にある。

 同事業部は、不織布では新規用途開拓、面ファスナーでは販売内容の改善に取り組んでいる。いずれも2014~15年の苦戦を受けて体質改善を進めており、今年度上半期はともに堅調に推移した。

 不織布はこれまで進めてきた新規用途開拓の取り組みが奏功し、スパンレースではカウンタークロスで食品工場向けや和食店向けなどが拡大したほか、化粧品用などの開拓も進んだ。スチームジェット不織布でも伸縮包帯などが着実に伸びており、さらに国内だけでなく欧州での展開も始まった。

 メルトブロー不織布も順調に拡大し、マスクやフィルターなどが拡大したほか、メルトブローとスパンレースを組み合わせたコスメ用複合シートなども伸びた。同社のメルトブロー不織布はポリプロピレンの比率が低く、クラレグループの特殊樹脂を使って特徴を出し、細かく用途開拓を進めているのが特徴となっている。

 「マジックテープ」を展開するクラレファスニングも、特徴ある商品を重点的に伸ばす方針だ。今後に向けては耐熱タイプの航空機内装材向けを伸ばすほか、自動車向けでも特殊な留め方をするタイプなどを拡大する。フックとループを一定間隔ごとに配したタイプや平地部分を袋状にした袋縫いタイプなど新商品の開発も加速する。

 成形タイプにも注力し、織製面ファスナーでできない用途を開拓していく。ここではクラレグループとの連携を強め、クラレの成形技術や特殊樹脂を活用した開発を重視する。

〈宇仁繊維/かたくなさと柔軟さ両立/新戦略も徐々に進展〉

 創業から17年を迎える宇仁繊維(大阪市中央区)は、いくつものこだわりの戦略を持つ一方、常に時代の変化に対応してきた企業である。かたくなさと柔軟さのバランスによって事業拡大を実現してきた。

 創業以来かたくなに守ってきたのは、「工業的発想」や生地への特化戦略、徹底した国産へのこだわりなどだ。業界の一般的な概念ではテキスタイルコンバーターという業態に分類されるであろう同社だが、宇仁龍一社長は「当社はメーカー」と言い切る。織機や染色機を提携する機業や染工場に貸与して占有ラインを構築するなど、メーカーとしての機能を強めている。

 最終製品に手を出さないというのも一貫した戦略であり、生地への特化戦略を鮮明にしながら国産にこだわるのも一貫した同社の主義だ。「日本のモノ作りを捨てて海外で作ってまで事業を拡大したいとは思わない」とかたくなだ。

 しかし、かたくなさだけでは目まぐるしく変化する時代に付いていけない。

 デジタルプリント機の導入、プリーツ生地の投入、大手ブランドからの別注獲得――などは同社が時代の変化を察知して自らを変化させた事例の一部だ。婦人服地を取り扱うだけにトレンドの変化や素材の変化には常にアンテナを張っている。その結果がデジタルプリントやプリーツ生地だった。

 多品種・小ロット・短納期というサービス機能を強みに不特定多数の顧客に生地を供給することが同社事業の根幹だったが、この手法だけでは今後の拡大は見込めない。この観点で推進するのが大手ブランドからの別注獲得だ。

 今期から始まったこの方針は既に一定の成果を出しており、来期以降はさらにアクセルを踏んでいく。

〈カイタックトレーディング/物流ビジネスを拡大/CNVと人材力で〉

 カイタックトレーディング(岡山市)の貿易事業部は、物流ビジネスの拡大に取り組んでいる。下家恵子執行役員貿易事業部長は「ベトナムの検品センターCNVと人材力によって、付加価値を追求した物流でグループ外(社外)の取引先を開拓していきたい」と話す。

 CNVはハイフォンにあり、従業員が約80人、責任者として日本人が駐在し、品質、納期面を徹底して管理している。昨年6月末に建屋を増床し、検品点数を月間平均12万点から、17万点に拡大。検針点数も12万点から20万点に増加した。検品は最大20万点まで可能。検針はスペースの余裕があり、設備を増設すれば、最大40万点まで対応できる。現状は自社OEM(相手先ブランドによる生産)によるユニフォームが中心だが、今後はカジュアル、靴、雑貨、寝具なども対応しながら点数を増やす。

 貿易事業部ではCNVで現地調達できる素材や活用できそうな工場の情報を収集しながら、社内の各事業部がその情報を生かすことで、生産の効率化によりつなげる取り組みも推進。下家取締役は「コストを落とすことも大切だが、今後もどうすれば満足してもらえるかをしっかり考える」と、CNVの活用と、細やかで迅速な対応ができる人材力の強みを生かしながら新規取引先の開拓につなげる。