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テキスタイル商況/求められる対応力と突破力/低価格要求 再び

2016年07月26日(Tue曜日) 午前11時21分

 生地商社のテキスタイル販売事業は店頭の衣料品販売が振るわない中でも堅調な推移を見せている。ただし、「再び低価格品への要求が強まっている」(複数の生地商社や産地メーカー)ことへの懸念は強く、生産調整による数量減の傾向とともに、今後を不透明にさせている。

 アパレルやSPAから低価格品への要求が強まっている背景には、15春夏、15秋冬の店頭が天候不順や買い控えを要因に低迷したことがある。ここで「安くしないと売れない」と判断したアパレルやSPAが、生地値の抑制に動いた。

 服地業界ではここ2~3年、リーマン・ショック後に加速した低価格品一辺倒からの揺り戻しが起きていた。低価格品一辺倒の際に顕在化した商品の同質化を避けるためと、小売価格を引き上げるために生地からの付加価値化を求める声が力強く台頭し、円安やインバウンド需要も加わって国産品推奨機運が高まった。この傾向は、産地の生産統計や生地商社のテキスタイル販売事業が堅調から好調に推移していたことからも明らかだ。

 これに伴い、付加価値化、差別化でしか国内の生地生産、生地販売は守れないとの意識が高まり、川中各企業の方針はこの方向でほぼ一致した。

 各社が機能や風合い、デザインなどで工夫を凝らしながら技術力を発揮、国産ならではの付加価値品を開発し、市場にも生地から差別化された製品が並んだ。しかし、15春夏、15秋冬の店頭が振るわなかったため、再び低価格品の必要性を訴える動きが強まった。

 それに対し、ある大手生地商社の幹部は「本当にそれでいいのですか?」と商談時に念押ししている。以前の低価格一辺倒時代に消費が喚起されなかった事実があるからだ。むしろ、安易に低価格路線に追随したことにより自分の首を自分で締める結果になったアパレルやSPAも多かったはず。その反省が生かされていないのではないかという危機感がこの言葉の背景にある。

 生地商社だけでなく産地企業からも「低価格品を必要とする声が数年ぶりに高まっている」との声が聞かれ、産地各方面からは「また価格競争か……」とのため息が漏れる。

 川中各社の対応は、「あの手この手で付加価値品を提案し、できるだけ価格競争を避けるしかない」(スタイレム)、「付加価値品と定番品のバランスが大事。市況は悪いが顧客開拓、用途開発を強めていく」(サンウェル)、「価格要求が厳しくなっているが、開発力や生産性向上など自分のすべきことをするだけ」(小松精練、丸井織物)、「守りながら攻めへの準備を整える」(福井経編興業)――といったもの。