メーカー別 繊維ニュース

事例研究4/「女子力」が会社を変える/女性活躍意識する経営者

2016年07月26日(Tue曜日) 午後12時27分

〈新たなビジネスに不可欠?〉

 女性の進出が遅れていると言われてきた繊維業界でも、女性が取締役や部門長などの幹部になる事例が出てきた。積極的に女性を活用、あるいは活用しようとしている繊維企業の事例を追う。

 石川産地の有力繊維企業グループであるカジグループでは、最近になってブランド推進室長、メディカル事業の責任者、東京事務所長などに女性を配置した。重要ポジションへの女性登用が目立ちつつあるが、それには「女性に活躍してもらうことを意識している」(梶政隆社長)というトップの方針が関係している。

 福井産地の福井経編興業(福井市)では同社70年余りの歴史の中で初となる女性取締役が誕生した。社員の4割弱が女性で編み立て現場にも若い女性が多くいると言うが、今後も引き続き、「女性の能力を引き出す環境作りを進めていく」(高木義秀専務)。

 カジュアルテキスタイル全般を取り扱う産元の菱友商事(広島県福山市)は女性の採用を積極的に進めている。既に30人の社員のうち8人が女性。「まだまだ繊維業界は男性中心なので、自らこれを打破する必要がある」(花田充民社長)と、女性を戦力に育てることで新たなビジネスや社内の活性化につなげようとしている。

 実際、女性の繊細さがジーンズのモノ作りにも欠かせない。坂本デニム(同)の分繊工程では女性が活躍する。糸切れが発生しやすい工程だけに糸をつなぐ作業が頻繁にあるが、「女性の方が圧倒的に器用」(坂本量一社長)と言う。坂本デニムに限らず、洗い加工でも最近、女性の姿を目にすることが増えてきた。新たなモノ作りを志向していく上でも女性の力は今後ますます重要になってくるだろう。

〈ユニフォーム採用女性が決定権握る〉

 ユニフォーム業界では、女性目線による企画が最近増えている。チクマ(大阪市中央区)のアルファピア事業部の岩崎敦史事業部長は、「男女別のユニフォーム企画の場合、女性向けを先に提案し、通ればそのまま男性向けも採用が決まるケースが多い」と話す。例え女性が少なく男性が多い職場であっても、その傾向は強いと言う。

 同社の男女ペアウエア「ザ・フェローズ・バイ・ザ・ジャケット」では実際、女性向け企画の好評を受け、そのデザインに合わせた男性向けを投入する。そういった事例もあり、企画そのものが女性目線を意識したものに変わってきた。

 ワークウエア業界も女性の社会進出に合わせ、女性向けユニフォームの企画を充実している。従来は男性向け企画で、SSサイズは女性向けと、男女共通パターンが当たり前だったが、女性に合ったパターンを採用し、商品開発を進める動きが強まっている。

 サンエス(広島県福山市)は、昨年春夏物から“ドボジョ(土木系女子)”をテーマに女性向けの企画を強化。女性専用パターンを採用し、カーゴパンツでは着用感の良さだけでなくシルエットをきれいに見せる工夫を取り込んだ。

 「女性目線の企画開発を増やしている」(伊藤崇行常務)というアイトス(大阪市中央区)は、女性向けをメーンとしたワークウエアを開発した。仕事に限らず、プライベートに着ても、おしゃれに見える、まさに女性が選びそうなデザイン、シルエットを追求している。

〈宇仁繊維 常務 宇仁 麻美子 氏/女性の地道さは武器〉

 海外現地法人を含めグループで総勢250人の社員を抱える宇仁繊維(大阪市中央区)のおよそ3分の2は女性だ。その“まとめ役”も担う宇仁麻美子常務に、その狙いや女性であることの長所、短所を聞いた。

  ――女性社員比率が高いことが貴社の特色の一つです。

 実は狙ってそうしたわけではなく、以前から募集をかけると応募が女性ばかりだったというのが実態です。ただ、当社は主に婦人向けの服地を取り扱っており、「自分で着たい生地を作る」ことを重視していますので女性に向いている職場なのかなとは思いますね。

 ダイナミックな切った張ったの世界ではなく、コツコツと地道に作業を積み重ねていく仕事なので、その点でも女性のほうが適していると言えます。

  ――小口販売を強みとしていることにも関係して地道な作業が多いという意味ですか。

 そうです。当社は小口のお客さまに幅広く対応することで業績を拡大してきた会社です。だから相対的に細かな作業が得意とされる女性の方が向いていたわけです。

 ただ、今期(2016年8月期)からは大方針として大手ブランドからの別注を伸ばそうとしています。この方針に関して言えばダイナミックな動きができる男性社員が優位になるかもしれません。もちろん一概に言えないのは承知していますが、最近はこの方針にも関連して男性社員を意識的に採用することにしています。

  ――きめ細やかさの他に、女性ならではの特質はありますか。

 男性は女性に比べて体面を気にする傾向が強いですよね。例えば男性社員は上司への報告でも大げさに自分の成果を強調したり、誇張しがちです。女性社員はそうした意識が希薄ですし、正直にありのままを報告してくれます。これは上司としてはありがたいことです。

  ――逆にデメリットを感じることは。

 やはりまだ日本は男性社会だなと感じる場面は多いですね。女性だからと軽く見られる傾向はまだまだあるのではないでしょうか。とはいえそこに大きな不満があるとか、不自由さを感じているわけでありません。男女に関係なく優秀な人は優秀ですし、そうしたマイナスの男女差を感じさせないようなビジネスを進めていきたいですね。