メーカー別 繊維ニュース

見直される分業体制/我ら産地と共にますます関係強化/生地商編

2016年07月28日(Thu曜日) 午後12時24分

〈サンウェル 社長 今泉 治朗 氏/取り組み深耕で即納機能〉

 当社はこのほど、生地の即納サービス「おまたせしま10(テン)」を立ち上げました。幅広い生地を備蓄することを強みとする当社ですが、受注が特定品番に偏った際に一時的に欠品が発生することもあります。その改善を協力関係にある染工場との取り組みによって図るというのがこのサービスです。

 欠品していても10日以内に必ず出荷するというのがおまたせしま10で、現在は8品番ですが徐々に対象を拡大していく計画です。少量をすぐに欲しいという顧客をターゲットにしていますが、早速受注増にも寄与しています。

 このサービスの実現には国内染工場の協力が不可欠です。当社はコンバーターであり、直接的に設備を保有しません。企画デザインを除く直接的な生地作りはメーカーに任せ、当社はそれを備蓄する。この密接な分業体制が今後も重要になっていきます。

 国内外の顧客がスピード感を重視しています。しかし一方で産地や染工場のスペースは限られてきています。その改善には我々のような備蓄型コンバーターとモノ作り企業が深く取り組むしかありません。

 当社は多くの国内産地、染工場と取引があり、海外生産も一部ありますが、全体として国内外で大きな変動は見られません。ただし、個別で見るとあります。その違いは信頼関係です。

 当社をメーンに扱ってくれるところにはやはり当社も力を入れて発注します。信頼関係を前提とした「取り組み方」が今後もポイントになるでしょう。

〈双日ファッション 副社長 由本 宏二 氏/安定発注が最大の責務〉

 産地を取り巻く環境は刻々と変化していますが、当社のモノ作りへの姿勢に変化はありません。昔も今も、当社が認識する産地への最大の責務は「安定的な発注」です。

 当社の事業は仕入れの面でも販売の面でも国内あってこそ。仕入れ先は、綿無地の生機は約7割が海外製ですが、その染色加工は99%が国内です。プリントも99%が国内。先染めと合繊関連は国内と海外がほぼ等分。ジャージーとウール関連は100%が国産です。

 販売先も国内が圧倒的な主戦場ですが、少子高齢化などを背景に今後は輸出拡大に取り組む必要があります。それにより国内繊維製造業の存続にも寄与できると考えています。中国、米国、欧州などそれぞれの国・地域で可能性を探っており、徐々に当社の強みである「適価、適時、適品」という機能を理解してもらいながら実績を積んでいます。

 国内産地や染工場へは、安定発注を今後もしていきたい。そのためには一定の数量が必要になり、その確保のためにも海外市場の開拓を続けていきます。

 産地や染工場の規模は縮小しています。まずは個々のプレーヤーが成すべきことを成すことが重要だと思いますが、そこから足りないものを補完する関係性や、業界全体を俯瞰(ふかん)して見渡すような視点が大事だと思います。当社は当社の責任をまずは果たします。そして今後も日本のモノ作りと共に発展したいと考えています。

〈澤村 社長 清水 民生 氏/北陸支店 順調に事業拡大〉

 当社は昨年5月に北陸支店を開設しましたが、1年と少しを経過して同支店の事業は順調に拡大しています。現地採用の常駐者もこれまでの2人から3人に増員しました。強みのトリコットだけでなく、ジャージや織物でも産地との取り組み深掘りしていきます。

 元々トリコットの取り扱いが先行していたのですが、支店開設によってジャージの拡大が顕著です。トリコットは全体としてやや苦戦していますが、新規としてドレス・カジュアルシャツ向けに期待が持てますし、ランジェリー分野でも再興を目指します。基本的にはこの2つが当社のトリコットの拡大対象になります。

 2002年から当社を発起人とする形で「オーシャンニット会」というトリコットの普及振興に向けた会を結成しています。現在の加盟企業は当社を入れて18社。合繊メーカー、商社、染工場、ニッターなどです。これまでは親睦会の色合いが濃かったのですが、来年の結成15周年に向けては小冊子の作成や総合展示会の開催を計画します。展示会は来年7月を予定し、これらによりトリコットの需要拡大を狙います。

 北陸産地はトリコット、ジャージ、織物のいずれでも固有の技術を持っています。それを活用させていただき、また一緒に技術を引き上げながら発展するのが当社の役割です。今後も支店を軸に取引拡大を狙いますが、場合によってはアセアンなどでの海外生産を当社と産地企業が一体となって進めていくような必要も出てくるかもしれません。

〈宇仁繊維 社長 宇仁 龍一 氏/一貫化、自立化進めるべき〉

 当社は産地の機業や染工場に自社で購入した織機や染色機を貸与し、占有ラインの構築に努めてきました。良いものを安く作るという創業時からの方針を実現するための手法です。

 現在、例えば北陸産地では撚糸工程が、例えば播州産地では経通しの工程がボトルネックになっていますが、本来は大手機業がこの改善に向けて設備を導入するべきだと思います。当社による設備投資はそれまでの過渡期措置だと位置付けられます。

 織布準備工程には小規模な事業者が多く、設備投資も難しい。一方で北陸などには大規模機業が存在し、一定の資金力もある。こうした構造からしても、産地を守るには大手機業や当社といった周囲の理解と支援が必要不可欠です。それが自社を守ることにもつながります。

 産地では徐々にではありますが、自立、自販の機運が高まり、成功例も出てきました。皆が皆というのは難しいでしょうが、本来はこうした動きがもっと強まってもいい。少なくとも機業が生機ぐらいは自社で販売する機能を持たないと、完全な賃織り形態ではなかなか将来は開けません。その自立化の過程を当社が支援させていただくという手法も考えられます。

 為替も変動しており、産地景況も良い状況ではありません。消費を盛り上げるような商品を開発することが当社の役割です。それによって産地にも活気が出る。そう信じてこれからもまい進していきます。