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宇仁繊維/「大手深掘り戦略」本格化/素材品種の多様化も課題

2016年08月31日(Wed曜日) 午後3時33分

 宇仁繊維(大阪市中央区)は2017年8月期、別注獲得を核に大手アパレルの深掘り戦略に引き続き取り組むとともに、編み地やウールの取り扱い拡大を視野に入れる。

 同社は色数を含めてオリジナル生地約3万点を備蓄、それを小ロットから販売することで業績を拡大してきた。国内外の展示会に積極的に出展して顧客を開拓、その結果として備蓄販売の比率が同業他社と比べても相当に高いのが特徴だった。

 今期の重点戦略に掲げたのが、大手アパレルの深掘り戦略。単体売上高で100億円を狙うに当たって、大手アパレルからの別注獲得が必要だと判断した。宇仁龍一社長によると同戦略は一部アパレルで大幅に売上高が拡大するなど一定の成果を見たが、全体としては「本格化はこれから」の状況。来期も引き続きこの戦略を進める。人材の登用や小まめな提案が実り始めており、急拡大にも期待が持てるという。

 ただ、「大手アパレルが求める生地の全てを当社が取り扱っているわけではない」として、17年8月期は生地品種の拡大を検討する。同社の主力生地はポリエステル薄地織物の無地とプリントで、綿織物や編み地は少しずつ増えているが、ウール関係は極端に弱い。この弱点を補完するために現在、仕入れ先の調査や選定を進めている。

 グループ売上高の拡大に向けて、昨年1月の丸増に続くM&Aも検討しているという。

〈16年8月期/売上高は4.7%増の70億円/国内、海外とも伸び率鈍化〉

 宇仁龍一社長によると、宇仁繊維の2016年8月期決算は、売上高が前期比4・7%増の70億円、経常利益が前期比半減の1億8000万円になる見込みだ。

 地域別売上高では海外向けが15%増、国内向けが2%増だった。これにより輸出構成比は15%となり、宇仁テキスタイルと中国現地法人による中国市場向けを含めると20%超になる。

 グループ各社の売上高は、中国向けを軸とする宇仁テキスタイルが16・2%増の11億円、買収後実質初年度だった丸増が4億円、小物雑貨販売の宇仁繊維ファッションが微増の5000万円で、上海と北京の中国現地法人2社が横ばいの5億円(12月期)となり、グループ合計売上高は90億円となった。

 創業以来17期連続の増収決算だが、近年その伸び率は鈍化している。今期も期初には売上高77億円を目指していたが、届かなかった。国内では問屋向け販売が減少、その補完として取り組んだ大手アパレルからの別注獲得戦略も「今一歩進まなかった」。輸出は今期も伸ばしたが、伸び率は前期の51%増から今期は15%増と大きく鈍化。分母が拡大したことに加え、欧州アパレル市場の停滞感や円高が影響したとみられる。

 今期は単体売上高で10%増の77億円を目指しながら、グループ売上高を100億円の大台に乗せることを目標とする。