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「MUを振り返る」(6)/第二部 日本勢の動向/提案早期化は世界的潮流

2016年09月23日(Fri曜日) 午前10時50分

 「ミラノ・ウニカ」(MU)の開催時期は毎年2月と9月。「プルミエール・ヴィジョン・パリ」(PV)や「ミュンヘン・ファブリック・スタート」といった他の欧州服地見本市もほぼ同様の時期に開催されているが、来年のMU9月展は7月に前倒して開催される可能性が高まっている。

 日本コーナー「ザ・ジャパン・オブザーバトリー」(JOB)の出展者の反応は、「問題なし」(スタイレム、齋栄織物など)、「大歓迎」(小松精練、青文テキスタイル、八木通商、熊澤商事など)と一様に前向きなものだった。

 MUは昨年からプレビュー展として「プリマMU」を本展の2カ月前に開催、今年7月のプリマMUには日本企業にも門戸が開かれ、伊藤忠商事、西村レース、スタイレム、瀧定名古屋、宇仁繊維、八木通商が出展した。同様にPVも「ブロッサムPV」というプレビュー展を開催、日本からも数社が出展を果たした。

 服地見本市の開催時期早期化は世界的なトレンドと言える。早期化の理由は、2月、9月では主要ブランドの生地選定が既に終わってしまっているためだ。日本企業からも「9月では遅すぎる」(八木通商など)といった声が以前から相次いでおり、こうした出展者の意向をMU、PVの事務局がくみ取った格好だ。とりわけレディース分野よりも生地選定タイミングが早いとされるメンズ分野を主体とするMUには以前から「9月でいいのか」という問題提起があった。

 MU事務局は今回展の会期中に開いた記者会見で、プリマMUとMU本展との再統合を表明。その上で次々回の開催時期を7月か9月の二者択一にすると発表した。先述の通り日本企業の反応は概ね前向きなものだったが、早期化によって「モノ作りは大変になる」(熊澤商事、東レ合繊クラスター、エイガールズなど)のは確実で、もしそうなれば企画、生産サイクルの見直しも不可避になる。

 日本国内でもここ数年、瀧定名古屋やスタイレム、サンウェルなどが個展の開催時期を大幅に前倒ししたことによって、早期提案の傾向が服地市場に浸透した。早期提案には、そのシーズンの顧客ニーズを事前に把握し本生産までに改良を加えることで確度の高いモノ作りが可能になるというメリットがある。さらに、迷いが見られるアパレルを主体的にけん引しようという狙いもある。

 国内でも海外でも提案の早期化は大きな流れ。「全体の流れに抗うことはできない」(エイガールズ)のは間違いなく、逆に言えばこの流れに乗ることができれば、さらなる輸出拡大の道が見えてくる。

 次々回のMUが7月に前倒しされるのか、9月に据え置かれるのか。その決定は今月中に下される。

(ミラノで吉田武史)

(おわり)