メーカー別 繊維ニュース

特集 スクールユニフォーム(5)

2016年09月30日(金曜日) 午後4時45分

〈制服市場で“存在感”を発揮し続ける学生服アパレル〉

 制服市場はここ数年、学校や消費者が求める制服のデザイン、機能性など、求めるニーズの多様化によって大きく変わりつつある。新たな連携によって、制服業界にこれまでなかった発想やアイデアを取り込み、少子化で縮小する市場の中でも、アパレルとしての存在感を発揮し続けることで、シェアを維持する。

〈菅公学生服/“先陣切る覚悟”決める/社長 尾﨑 茂 氏〉

  ――2016年7月期決算の見通しは。

 計画していた売上高340億円、経常利益5億円に着地しそうです。3年前初めて開いたソリューションフェアなど、企業としての取り組みが理解され、ブランド、企業力が評価されたことが結果につながってきました。

 学生服はモデルチェンジ(MC)校の獲得が校数、獲得率とも前年を上回ったことに加え、店頭商品についても、洗濯耐久性に特化した詰め襟学生服「カンコードライウォッシュ」などの販売が広がりました。スポーツも「カンコー×ファイテン」「アディダス」など順調に販売を伸ばしました。

  ――生産面も増強しています。

 学生スラックスを生産する高城工場(宮崎県都城市)の近隣への移転増設を進めており、11月末には開所式を予定しています。裁断センターの建設も着手し、来年には稼働させます。工場の自家比率が高いだけに、コストアップになりやすいですが、技術革新を進め、生産基盤をしっかり持つ強みを発揮していきます。

  ――今期も果敢に新たな取り組みに挑戦しています。

 今月22日に、3店舗目となる直営店「カンコーショップ原宿セレクトスクエア」を東京都渋谷区神宮前にオープンしました。今年4月にパートナーシップ契約を締結したストライプインターナショナルと共同開発した「アースミュージック&エコロジー カンコーレーベル」を中心とした通学関連用品を販売するとともに、感度の高い街ですから、そこで新たな制服を発信していきます。

 アイドルグループ「乃木坂46」などの衣装デザイン・スタイリング担当の米村弘光氏との共同プロジェクト「世界にひとつのみんなの制服 スタイリング・バイ・ヨネムラヒロミツ」も、昨年発表したばかりですが、3校ほどが既に採用しています。

 これまで業界にはない取り組みが多いですが、先陣を切る覚悟を決めて、新たなモノ作りにしっかり取り組んでいきます。

  ――今期の見通しは。

 MC校の獲得やスクールスポーツも順調に新規採用を獲得しつつあり、売上高350億円を想定しています。

 ただ、売上高はあまり意識していません。売り上げの多さは、ファンの多さだと思っています。少子高齢化の現実をしっかり受け止めながら、できることをしっかりやっていきます。

〈トンボ/ファーストコールカンパニーの実現へ/社長 近藤 知之 氏〉

  ――2016年6月期決算を振り返って。

 売上高が前期比4%増の265億円、経常利益が26・4%増の17億円と増収増益となり、売上高、経常利益とも過去最高でした。スクール(学生服)は初めて売上高が200億円を突破しました。

  ――今期から3カ年の新中期経営計画をスタートします。

 以前からの指針となりますが、引き続きお客さまにとっての“ファーストコールカンパニーの実現”を目指していきます。19年6月期の最終年度の売上高300億円を目標に、「事業戦略の強化と創造」「組織体制の進化」「経営基盤の強化」「環境・CSRの実践」の四つの基本方針を掲げています。

 事業戦略の強化と創造では、新ブランド「イーストボーイ」を学校別注用途に初年度10校の採用を目指しています。スポーツでは自社ブランド「ビクトリー」のロゴを刷新し、来春に向けてウオームアップウエアとして新たに「ピストレ」を導入するなど、新商品の開発や発信を積極的に進めています。

 今年創業140周年を迎え、すでに昨年から「トンボ140thアニバーサリーマーチャンダイジング」プロジェクトを実施してきました。その一環にもなりますが、東京五輪に向けてスポーツへの関心が一段と高まることから、7月には東京で元トップアスリートを招いた特別企画「ビクトリースポーツフォーラム2016」を開きました。今後も市場開拓につながる動きを強めていきます。

  ――組織体制の進化では前期にMD本部を立ち上げました。

 7月から、MD(マーチャンダイジング)機能をより強化するため、MD本部にあった商品開発部の機能を同じMD本部にあるスクール、スポーツのそれぞれの部署に配置しました。

 さらにMD本部に新商品を発売する前に、縫製やパターン、着用試験などによって検証する「製品開発研究室」を新設し、工場とも連動しながら、品質の向上を図り、アパレルとしての機能を高めます。

 経営基盤の強化では新しい会計システムの導入で、業務の簡素化や決算の早期化を実現します。新入社員の採用にも力を入れ、専門的な知識を習得した専門学校生から採用も拡大していきます。

 さらに環境・CSRでは以前からの「真庭トンボの森づくり活動」といった環境保護の活動に加え、残業低減など働きやすい職場環境の実現などにも取り組みます。

〈明石スクールユニフォームカンパニー/新たな企業風土育てる/社長 河合 秀文 氏〉

  ――事業持株会社の明石被服興業の2016年5月期決算は、売上高、利益とも過去最高でした。

 学校別注、制服店頭商品、スポーツ、企業向けユニフォームの4事業部とも健闘した結果です。

  ――製販分離の体制になり1年がたちました。

 顧客から今までの企画、販売、生産の一体感が失われるのではという心配をされましたが、現状は何の問題も起こっていません。むしろ社名から何をしている会社かすぐに分かり、親しみをもってもらいやすくなったことからリクルート面が強化されています。

 これまでのトップダウンの体制から、人材育成も強め、若手に任せる場面も増えてきました。協力工場など現場に足を運び、直接自分の目で見る機会を作るなどで、自分なりの課題を見つけて取り組む企業風土が育ちつつあります。

  ――企画も若手が中心となり、新たな取り組みが増えてきました。

 昨年、AKB48グループの衣装制作など手掛けるオサレカンパニーと共同企画の制服「O.C.S.D.(オサレカンパニー・スクール・デザイン)」を打ち出しました。17~18年度の新入学生対象の制服として既に中学校・高校で6校の採用が決定しています。公式ブランドサイトを作り、これらも新制服導入を検討する学校や、入学希望の生徒への発信を強めます。

  ――設備投資では詰め襟服を中心に生産してきたアクシーズソーイング(沖縄県糸満市)を拡充しました。

 7月に第2工場が立ち上がり、営業拠点を集約、事務所や倉庫も併設し、既存工場に比べ1・5倍以上の大きさで、自動裁断機(CAM)も導入しています。将来的にジャケットなどのアイテムも生産できるようにしていきます。

 さらに東海地方の市場拡大に対応するため、名古屋支店も自社ビルを建設し、事務所棟と物流棟を設けました。

  ――今期は売上高255億円を目標に掲げています。

 来入学商戦に向け、制服、スクールスポーツとも順調にモデルチェンジ校の獲得が進んでおり、この数字は達成可能と見ています。

 ただ、売り上げを伸ばすことが目標ではなく、きっちりと納品してきた結果が売り上げにつながってきたと考えています。少子化で生徒数の減少によって環境は厳しくなるでしょうが、制服の価値を追求する企業としての役割を果たしていきます。

〈瀧本/引き続き学校支援行う/社長 高橋 周作 氏〉

  ――2016年6月期決算はいかがでしたか。

 正式発表は後日行いますが、売上高は前の期に比べて約3%増加しました。利益面も黒字転換しました。制服、スクールスポーツウエアともに増収でした。要因は学校別注の獲得と価格見直しが奏功したのだと思います。自社オリジナルブランドはもちろんですが、「ミズノ」「カンゴール」といったブランドを前面に出しています。初年度のため業績へのインパクトは次年度からとみていますが、確実にステップを踏んでいると評価しています。期待しているブランド商品です。

  ――17春入学商戦の進展は。

 例年通りの商況になると予想します。ただ、今後2年、生徒数の減少は避けられず、減収要因となるでしょう。それをカバーできるような商戦を迎えたいと考えています。モデルチェンジ獲得は例年通りありますが、全体の傾向としてはフルモデルチェンジからマイナーチェンジが増えています。派手な変化が感じられず、全国的に落ち着いているといった印象です。

  ――スポーツブランドの導入が業界で顕著です。

 当社では「ミズノ」ブランドで店頭販売向けの詰め襟制服や学校別注向けのブレザーを扱っています。ミズノのスポーツウエアで培った機能素材に当社の学生服の生産で培ってきた技術の融合ですが、既に採用校もあり、問い合わせも続いています。

  ――生産面での改革は。

 一部人材は残しますが、自社の徳島工場の「技術部隊」10人を大阪本社に今期に入って呼び戻しました。徳島に集中しがちだった人材を、他の協力工場を含めて横に広げ、生産自体は変わりませんが、戻ったスタッフは販売にも目線を落とし、意見を聞き、コミュニケーションする。制服についての報道が話題になっている中、価格に見合う価値のあるモノ作りを追求していく必要がありますね。

  ――学生服アパレルとして今後どのような意識で臨まれますか。

 専業として、引き続き学校支援ですね。私達は“コミュニケーションパートナー”と言っています。相談相手側となり、何かを返していくことが役目の一つであると考えています。今期は、これまでと大きな変更はありませんが、大きな二つのブランドを、どう広げるかが重要になります。