店舗数を5年で3倍に拡大/印リライアンス、提携先を厳選

2016年10月03日(Mon曜日) 午前11時26分

 「エルメネジルド・ゼニア」「ブルックス・ブラザーズ」「ケネス・コール」など数々の世界的ブランドをインドに招き入れた地場小売り大手リライアンス・ブランズ。現在、海外の20ブランドと合弁設立などで提携し、国内総店舗数は220店舗に上る。消費者からの信頼の厚い外資ブランドとの提携を通じて、向こう5年以内に新規を含め600店舗にまで引き上げる考えだ。ダルシャン・メータ最高経営責任者(CEO)に事業戦略を聞いた。

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  ――インドの高級・高価格帯市場は勃興期ともいえる。勝算はどこにあるとみているのか。

 世界でインドほど有望な市場はない。新興国のBRIC(ブラジル、ロシア、インド、中国)を見ると、ブラジルは過去数年の不況、ロシアは通貨危機、中国は経済失速が投資家を遠ざけている。その中で、次に注目される市場としてCIA(中国、インド、米国)が挙げられるが、インドも含まれている。

 インドは12億人余りの人口と成長基調にある経済が魅力となっているが、われわれが展開するファッション・雑貨市場では英語とインターネットが強みとなっている。

 インド国民は半数が英語を話せるといわれ、例えば、米ニューヨークで発信されたファッション情報は言葉の障壁なく、ほぼ同時にインターネットで知ることができる。最新のファッションを即座に知る環境にあるというわけだ。これは中国とは大きく異なる点で、インドの優位性だ。

 中国ではフランスの高級服飾・雑貨ブランド「ルイ・ヴィトン」とイタリアの高級紳士ブランド「エルメネジルド・ゼニア」がいずれも1999年に進出した。だが、それぞれ黒字化までに11年、12年を費やした。インドは中国に比べ10年遅れているとされるが、ブランドが消費者に浸透する速さがある。

  ――インド人消費者は価格に合理性を求める傾向が強い。

 インドの消費者は商品に対して、価格のみならず、価値にも敏感だ。価格と釣り合った、またはそれ以上の価値を求める。ただ、インドに限らず、どの国でも消費者に同じことが当てはまるのではないか。消費者の購買行動が成熟している米国では、価格への強い意識が通常価格よりも割安の「アウトレット産業」を生み、より安価で提供するネット通販が浸透した。

 インド人にとって高級・高価格帯商品とは、「特権性」や「上流層」を意味する。限られた者が特定の商品にアクセスでき、所有できるということだ。そして、ブランドがいかに高級であるかは伝統や信頼性、技術力などで判断される。

〈「顧客からの確かな信頼」など提携の鍵〉

  ――リライアンスにとって、どのような外資ブランドが理想的な相手なのか。

 われわれはブランドごとに特定の消費者層をターゲットにしているわけではない。現在、合弁などを通じて、外資企業20社と提携しているが、展開するブランドは「ラグジュアリー」「プレミアム」「メーンストリーム」にまたがる。商品群も紳士服、婦人服、靴、アクセサリーと多岐にわたり、英国の玩具販売大手「ハムリーズ」とも手を組んでいる。

 パートナーシップを組む上で重要なのは、そのブランドが顧客から確かな信頼を得ていることだ。さらに、合弁を立ち上げる相手企業が提携を主導する場合、契約期間が長期的であることが鍵を握る。

  ――インド進出に当たって、外資がリライアンス・ブランズと組む利点は。

 外資企業はインド市場が有望だと認識しているが、一方で複雑な市場であることも熟知している。われわれがインドの小売市場でリライアンスという巨大な力と専門知識を持った企業であることを考えると、最良のパートナーの選択肢として自然に浮上するのだろう。

  ――インドでの商機、また攻略のヒントは。

 インドは若年層の厚さ、英語力、安定した民主主義、消費者の上昇志向などが好条件となって、世界の多くのブランドが最後に残された巨大市場と受け止めている。だが、インド市場は多様性に富み、複雑だ。生産性やコスト構造は先進国に比べて良いとはいえず、短期的には参入コストが高くつく。新規参入を検討する際、強力な現地パートナーを探し、長期的な展望と忍耐を持って事業展開していくことだ。〔NNA〕

【会社概要】

 リライアンス・ブランズ=複合企業(コングロマリット)リライアンス・インダストリーズ(RIL)の小売部門。西部マハラシュトラ州ムンバイに本拠を置く。過去3年度(2013~14年度から15~16年度まで)の売上高は9億9788万ルピー、18億918万ルピー、21億2684万ルピーと堅調に増加。15~16年度の部門別売上高はアパレルが10億9917万ルピーと全体の約52%を占めた。靴が7億4280万ルピー、アクセサリーが2億8487万ルピー。