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紡績の国内工場/設備投資への意欲高まる/海外事業拡大にも不可欠

2016年10月19日(Wed曜日) 午前10時34分

 長らく大規模な設備投資が滞っていた紡績の国内工場だが、ここに来て将来に向けた設備更新への意欲が高まっている。既存設備の老朽化がいよいよ限界に達しつつあることに加え、高付加価値品へのシフトを進めるためにも設備の高度化が欠かせないとの認識が高まっていることが背景にある。さらに海外戦略の拡大のためにも、国内工場での技術開発と人材育成は不可欠となっている。

 国内工場で設備投資を進める動きは既に一部紡績で顕在化している。例えばニッケは一宮工場の紡績を岐阜工場に、染色整理加工を印南工場に移管・集約するなど国内工場の再編を進めてきたが、同時に設備投資も強化し、岐阜工場に最新鋭の自動ワインダーを、印南工場に高圧連続釜蒸絨機を導入するなど設備の高度化を進めた。

 同じ毛紡績では、東亜紡織も宮崎工場で精紡機を更新・増設した。綿紡績でも新内外綿が今年、生産子会社であるナイガイテキスタイルに村田機械の「ボルテックス」精紡機を新規導入するなど設備投資の動きがある。従来とは異なる方式の設備を導入することで商品開発のバリエーションを広げることが狙いだ。

 こうした動きは大手綿紡績や原綿メーカーでも同様だ。クラボウの北畠篤取締役執行役員繊維事業部長は「消費者を感動させる商品開発のために今後は設備投資も積極的に行う」と強調する。ダイワボウレーヨンの福嶋一成社長も「設備更新をどのように進めていくかが今後の課題。顧客のニーズに応えるために後工程への参入も検討する」と話す。

 こうした動きの背景には、紡績各社とも不採算品からの撤退で収益面が小康状態にあることや高付加価値品への特化を進めていることがある。高付加価値品の生産には、やはり最新鋭の設備が必要となる。シキボウの瀬島雄二常務繊維部門長は「紡績、染色加工ともに操業度、収益が堅調な今のうちに将来に向けた設備更新を進めなければならない」と指摘する。

 さらに国内工場の高度化を急ぐ理由に、海外戦略の拡大がある。生産の主力が海外工場に移ったからこそ、海外でも“日本品質”のモノ作りを可能にする技術と技術移管を担う技術者の育成が欠かせない。そのための「マザー工場」としての役割が国内工場に課せられている。

 シキボウの清原幹夫社長は「生産の中心が海外となるからこそ、国内工場の役割が重要になる。技術開発と人材育成のための準備を今のうちから整えておくことが必要だ」と強調する。こうした動きが今後、ますます加速することが予想される。