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トップインタビュー(29)/宇仁繊維 社長 宇仁 龍一 氏/今期を「100億円元年」に/大手アパレルの深掘り図る

2016年10月26日(Wed曜日) 午後3時31分

 2016年8月期決算を、創業以来の17期連続増収で終えた宇仁繊維。国内向けは微増と前期に続き伸び率が鈍化したが、輸出はおおむね好調。子会社や海外現地法人を含むグループ全体の売上高は90億円となり、大台の100億円超えも目前だ。今期をグループ全体で100億円を達成する期と位置付け、その次のステップとして単体100億円も思い描く。宇仁龍一社長に戦略を聞いた。

  ――2016年8月で第17期が終了しました。

 単体売上高は前期比4・7%増の70億円で、営業利益は11・1%増の2億4100万円、経常利益は35・7%減の2億2900万円、純利益は51・5%減の1億2700万円でした。グループ各社の売上高は、中国向けを軸とする宇仁テキスタイルが10・9%増の10億5000万円、買収後実質初年度だった丸増が4億3000万円、小物雑貨販売の宇仁繊維ファッションが微増の5000万円で、上海と北京の中国2社が横ばいの5億円(12月期)となり、グループ合計売上高は90億円になります。

  ――国内向けの伸び率が鈍化する一方、輸出は順調な拡大が続いています。

 単体の地域別売上高は海外向けが15%増、国内向けが2%増でした。これにより輸出構成比率は15%となり、宇仁テキスタイルと中国現地法人による中国市場向けを含めると20%超になります。

  ――今期の重点方針を。

 単体売上高を77億円に設定、グループ全体で100億円超を狙います。

 重点方針としては、別注獲得を核に大手アパレルの深掘り戦略に引き続き取り組むとともに、編み地やウールの取り扱い拡大にトライします。当社は色数を含めてオリジナル生地約3万点を備蓄し、それを小ロットから販売することで業績を拡大してきました。国内外の展示会に積極的に出展して顧客を開拓、伴って備蓄販売の比率が同業他社と比べても相当に高いのが特徴です。

 前期からは少し戦略を変更し、大手アパレルの深掘りを進めました。単体売上高で将来100億円を狙うに当たって、大手アパレルからの別注獲得が必要だと判断しました。前期も一部アパレルで大幅に売上高が拡大するなど一定の成果が出ましたが、全体として本格化はこれからの状況です。

 大手アパレルが求める生地の全てを当社が取り扱っているわけではありませんので、今後は生地品種の拡大が必要です。当社の主力生地はポリエステル薄地織物の無地とプリントですが、綿織物や編み地も少しずつ増えています。現状、ウール関係は極端に弱いので、この弱点を補完するために、仕入れ先の調査や選定を進めています。

  ――昨年1月の丸増買収に続き、丸増と同じ京都の老舗生地商社、ウインザーの商権を引き継ぎ、出資比率100%の子会社を設立しました。

 今回の新会社設立は、以前から国の機関とウインザーの双方から依頼されていたものです。株式の買収ではなく宇仁繊維が新会社を設立し、そこに旧ウインザーの商権と人員の一部を引き受ける形としました。旧ウインザーの人員7人を新ウインザーで引き受けるとともに、社長には私が就任し、取締役営業部長に宇仁麻美子・宇仁繊維常務兼丸増社長が就きました。

 旧ウインザーの直近の売上高は約3億円。商い自体に大きな問題を抱えていたわけではなく、不動産などで経営が苦しくなっていたようです。今後は一人当たり売上高の拡大や商品企画兼営業など“宇仁繊維流”を注入していきます。

  ――5年後の繊維産業を見通してください。

 期待も込めて言えば、日本発のアパレルブランドが育っているのではないでしょうか。逆に言えば育っていないといけない。「良いものは国内で」という機運が今以上に高まり、生地と製品の融合によるメード・イン・ジャパン製品が世界に打って出ている姿を想像します。そのためにも、若いデザイナーの登用や育成をバックアップするような体制を業界全体で考えていく必要があると思います。

〈好きな街/関西三都物語〉

 播州織産地の中心地、兵庫県西脇市出身の宇仁さんが思い出に残る街として挙げるのも同地だ。生まれてから24歳までを同地で過ごし、「もう業界からリタイヤした友人も多い」が、今でもつながりは深い。昨年秋に同産地の機業に織機4台を購入して敷設したのも、産地を残したいという宇仁さんの思い入れが背景にあった。24歳で大阪に職場を移して以降、大阪での仕事は55年を超えた。住まいは兵庫県芦屋市が長い。西脇、芦屋、大阪、これが宇仁さんにとっての三都物語。

〈経歴〉

 うに・りょういち 1999年桑村繊維を退職後、44年余りの経験、実績を基に一部商権と商品を引き継いで同社を創業。