メーカー別 繊維ニュース

「活路は外需」が共通認識/テキスタイル販売/国内の視界不良続く

2016年11月01日(Tue曜日) 午後3時40分

 「生地商各社の成長戦略は外需の獲得にある」と言い切って差し支えない。国内服地市場のシェアが高いところほど、この意識は強い。国内市場は少子高齢化によるマーケット縮小が不可避な上、衣料品など繊維製品の消費が今後、劇的に上向く要素も見当たらない。各社が輸出拡大に活路を見いだすのは必然の流れだ。

 フランスの「プルミエール・ヴィジョン」(PV)、イタリアの「ミラノ・ウニカ」(MU)に出展する生地商社は今や枚挙にいとまがない。PVは以前、基本的にメーカーだけが出展できる見本市であったし、MUは欧州以外の国に出展門戸を開いていなかった。数年前からPVが事実上、商社の出展を条件付きで認め、MUが2年前に日本への出展門戸を開いたことが、生地商各社の海外提案を後押ししたことは間違いない。しかし、それもきっかけの一つに過ぎない。海外拡大志向の背景にあるものは、国内市場が縮小することへの危機感だ。

 この海外拡大意欲は、円高局面を迎えた今年に入っても全く衰えを見せない。瀧定名古屋は、以前はゼロだった輸出事業をこの10年間で構築、25億円の規模にまで成長させた。今期は同事業初の減収を見込むが、「3年後50億円」を必達目標に掲げ、その先には製品事業も絡めて100億円の大台突破をもくろんでいる。

 スタイレムでも輸出の好調が続く。特に中国向けの拡大が際立っており、本年度上半期(2016年2~7月)の上海現地法人経由の中国向け輸出は前年同期比40%増と大きく伸びた。欧州や米国向けも各拠点を活用しながら伸長しており、今後も海外で成長戦略を描く。

 宇仁繊維の16年8月期売上高では国内市場向けが2%の微増だったのに対し、輸出は15%増だった。今後も停滞中の中国向けのてこ入れを図りながら、全世界的視野で展示会出展を軸とした提案強化を図り、輸出拡大を加速する。

 サンウェルでも計画は未達ながら輸出事業は拡大しており、このほど迎えた創業50周年を起点に「輸出で50億円」という新たな目標も設定した。

 全てではないものの多くの生地商社が輸出拡大を志向し、成果を上げている。しかし何も、外需獲得は海外市場だけに当てはまるものではない。インバウンド需要はその一つであり、その先の可能性として、外国人移住者をターゲットにした国内消費の維持拡大というものもある。「消費力の維持という点で、外国人居住者を増やすための国の施策は今後絶対に必要になる」との持論を展開するのは双日ファッションの長田峯雄社長。少子高齢化による国内消費の冷え込みはもはや、外国人の受け入れでしか解消できない。今後の国の施策や法整備、国民感情に大きく左右されるものとはいえ、純粋な輸出、海外拠点を活用した外・外ビジネス、インバウンド需要などとともに、「日本に居住する外国人」という新たな外需の可能性を注視していく必要はありそうだ。