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ユニフォーム総合特集(8)/メディカル・介護ウエア編/拡大市場に熱提案続く

2016年11月29日(火曜日) 午後3時39分

 医療機関向けのメディカルウエア、介護福祉サービス用のウエアは成長市場、今年も次々新商品が開発され、大手を中心に前年増の商況。メディカルは診療報酬のマイナス改正の影響は少なく、看護師の増加を背景にナースウエアの進化が進む。介護は人材や財源の課題はあるが、メーカーの模索と競争により新しいスタイルが生まれつつある。

〈メディカルウエア/大手中心に堅調/ターゲットは細分化〉

 最大手のナガイレーベンは前年比微増で堅調に推移。「市場は比較的安定しており、4月の診療報酬のマイナス改定の影響は軽微」として、17年度は報酬の改定予定もないため市場の継続を予測。

 今年は1月に「ハイブリッドチュニック」、10月に医療・介護向けの新ブランド「プロファンクション」を意欲的に発売。「機能性や感性を追求し、市場を深堀することでまだまだ売上増が期待できる」と見込む。

 「KAZEN(カゼン)」ブランドを展開するアプロンワールドはナーススクラブが好調。暑さ対策、従来のナースウエアより低価格なのが支持の理由。

 住商モンブランは春夏、秋冬とも大幅増、医療・介護分野のウェアが業界トップシェアの主力である食品・食品工場とともに売り上げを伸ばしており、引き続き拡販に注力する。

 オンワード商事はメディカルウエアカタログ「ラフィーリア」の6号目では優しい印象の乳白色を前面にして、「デザイン、シルエット、素材、パーツとも好評」と感触が良い。

 サンペックスイストは「トリンプ ナースセンセーション」を、女性用インナーの役割や機能性をユニフォームに置き換え、独自色を高める。

 「スクラブ」を主力アイテムにするフォークはワコールとの共同企画やライセンス生産の「ディッキーズ」などバリエーションを拡大。介護向けの発信も強化した。

 ヤギコーポレーションは今年、医療機関向け展示会「国際モダンホスピタルショウ2016」に初出展。本社のある石川県で少しずつ実績が増えているという。

 東京商工リサーチが実施した「看護師向け通販市場調査」では14年度の看護師向け通販の市場規模は前年度比3・8%増の138億円。かつては靴などの消耗品が買われていたが、ウエアも増えている。通販大手のベルーナの子会社のアンファミエは売上高60億円、ナースリーが17億円。大口の総合病院だけでなくクリニックや歯などターゲットは細分化しており、今後は製品での差別化に加え、買いやすい販売チャネルの開拓も課題だろう。

〈介護ウエア/たゆまぬ“進化と深化”/「新しい定番作る」〉

 新規参入が続いていた介護用ユニフォームだが、16年は一段落、企画の見直しを進めるメーカーもある。介護保険制度開始から16年がたち、低価格、スポーツウエアの機能性、高級感、家庭的な雰囲気の演出などさまざまな商品が流通しており、自社商品のポジションを再確認し、差別化を図る意向だ。

 学生服メーカーが台頭する。生産力と企画力、マンパワーが強みだ。明石スクールユニフォームカンパニーは「ルコック スポルティフ」ブランドのメディカル・介護ウエアが快進撃を続ける。新商品は脇ポケット付きのニットシャツ、ストレスフリーの立体裁断パンツが好調。「人手不足が深刻化する中、イメージアップや着用感などの要望が増えている。競争は激化しているが、確実に拡大が見込める。市場のピークといわれる2030年に向けシェアアップを目指す」と力強い。

 トンボは介護、コンフォート(入居者用)、メディカルの全分野で増収、特にコンフォートが良く多くの施設で採用されたという。9月に発売した商品はエプロン不要の撥水機能入浴介助Tシャツ、ハーフパンツが好調。「市場もユニフォーム採用に積極的に転じた」と読む。

 企画の見直しを考えているというアプロンワールドは今年から介護向けカタログ「アンサンブル」を発刊。「ニーズはつかみにくいが『万人向け』ではなく機能性、価格、用途などセグメントして提案を行っていく」方針。カーシーカシマは「ハートグリーン」で機能性と感性を兼備した「トロンプルイユニッティ」などスタイルを打ち出す。1年ほど売れ行きが伸び悩んでいたが「介護にもCIの要素や施設との調和も強くなってきた」と、進化した介護ウエアに拡大の余地を感じている。ボンマックスも「ナチュラルスマイル」を17年からリブランディングする予定だ。

 介護保険制度スタート時は「どんなユニフォームを作るか」で業界に試行錯誤があった。メディカルウエア、スポーツ、カジュアルウエアからの転用が多かったが、これらの分野との競争となり、売り上げは振るわなかった。現在の新商品はこの10年ほど、メーカーがユーザーの要望をくみ上げ形にしてきたものばかりだ。少子高齢化に人材・財源の不足という課題は依然続くが、各社の提案に「新しい定番商品を作りだす」という意気込みを感じる。

〈注目企業/五輪向け150億円目指す/新ブランドの展開強化/住商モンブラン〉

 住商モンブラン(大阪市中央区)は、2012年から16年までの直近5年間、着実に売り上げ規模を拡大してきた。15年1月に長尾孝彦新社長が就任し、16年5月期の売上高は106億円と初の100億円突破を果たした。東京五輪の2020年には150億円を目標に掲げる。

 近年は医療・介護分野でブランド展開を強化している。15年には、英ホームファニシングブランド「ローラアシュレイ」の看護・医療ユニフォームを発売、初年度は販売目標を大幅に上回ったという。動きやすさなど機能面で優れた「アシックス」ブランドのシューズ、かばん、靴下といった関連商品の販売にも力を入れる。

 今年9月には東京の営業拠点を移転・拡大し、新たに「JUNKO KOSHINOプレミアムドクターコート」を発表した。デザイナーのコシノジュンコ氏と共同開発した新プレミアムシリーズで同社の最高級ブランドとして育成する。