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17春夏ボディ&レッグファッション/素材メーカー編/市場を支える素材の力

2016年12月14日(水曜日) 午後2時53分

 ノンワイヤーブラなどが伸長しているボディファッション市場。しかしながら、高機能性をうたったアイテムは、肌着を中心に、16春夏でピークアウトしたという声もあり、マーケットの先行きには不透明感も漂う。そうした状況を打破するには、やはり素材の力が不可欠になる。素材メーカー各社は、高機能かつストーリー性を持った素材を提案し、ボディ&レッグファッション市場を支える。

〈機能素材中心に堅調推移/東洋紡STC〉

 東洋紡STCのインナー事業部の本年度上半期(4~9月)は、売上高が前年同期比横ばいで増益となった。機能素材を中心に高付加価値品の販売が順調に推移したほか、コスト削減なども寄与した。

 上半期はGMSやSPA向けで除湿や消臭などの機能素材が拡大し、NB向けでは天然系のこだわり素材などがけん引した。NB向けでは特に綿花からこだわり、富山事業所の紡績技術を組み合わせて付加価値を高めた商品が順調に推移した。

 下半期は高付加価値素材の開発を加速し、増収増益を狙う。中国と東南アジアを中心に、顧客の要望に応じて縫製品で対応できる体制も強化する。

 春夏向けでは特殊紡績技術で爽快な清涼感と夏に求められる機能性を両立させた綿100%素材「爽快コット」、綿改質などで一般的な綿花の約2倍の水分率を持たせた綿素材「潤い綿(うるおいコット)」などを重点的に拡大する。秋冬ではバルキーアクリルを特殊紡績した超断熱・保温素材「エアロバル」などに力を入れる。生体情報計測ウエアに適した機能素材「ココミ」の新規用途開拓にも力を注ぐ。

 海外市場の開拓にも取り組む。今期から事業部内のネットワークを充実させて海外販売の体制を強化しており、丸編みだけでなく経編みを含めて市場開拓を加速する。

〈独自の表現力で存在感/栄レース〉

 レディースインナーを上品で華やかに演出するのがリバーレースだ。レースといえば近年は、海外メーカーが供給する量産に適したラッセルレースが市場を席巻しているが、高級インナーや感度の高いドレスでリバーレースは依然として高い需要がある。

 栄レース(兵庫県宝塚市)はそのリバーレースで世界シェアの約7割を占める世界最大手で、知る人ぞ知るこだわりのリバーレースを世に送り出している。タイと中国に主力生産拠点を持つ。2017年1月には現在主力のチェンマイに加え同じタイ国内のメソートに新工場を開設する。新工場は将来的なタイでの従業員不足や災害といったリスク分散の役割を担うとともに、生産能力の増強、生産コストの削減にもつなげる。

 現在、同社の売上高全体の9割がインナー用途で残りがアウター向けだが将来的には、アウター向けのレースの販売を増やし、5年後には現在の3倍程度を実現する。このため同社では意匠撚糸使い、最終加工業者と開発した箔加工、金銀のフィルムを使った和風柄など新たなリバーレースの開発を加速している。

〈高機能レーヨンが進展/オーミケンシ〉

 オーミケンシが展開する「クラビオン」は、甲殻類から採れるキチンを独自製法で再生し、レーヨンに練り込んだ高機能素材。天然系成分のキチン・キトサンの効果による消臭や抗菌防臭などの機能を持つほか、洗濯耐久性や低刺激といった特徴も保有する。

 発売20年を超えるロングセラーとなり、幅広い用途に用いられているが、最近ではサニタリーショーツでの採用が広がってきた。インナー需要の取り込みを狙う流通業が販売しているアイテムに採用されているものだが、拡販の武器になる差別化素材として評価を獲得している。

 クラビオンをはじめとする機能レーヨンに加え、後加工群も提案。花粉などの微小粒子物質の付着をブロックする「ダストブロック」は、特殊親水性ポリマーで機能を付与しており、インナーに必要な吸水性とソフト風合いも兼ね備える。屋外干しの悩みを解決するものとして、17春夏で一部採用が始まっている。

 そのほか、部屋干し対応の「インドアフレッシュ」、香りが持続する「マイフレグランス」、温泉加工など機能レーヨンの付加価値をさらに高める加工を増やしている。

〈柔らかさアピールへ新測定/レンチング〉

 ボディファッションの分野でも、あらゆるアイテムに採用されているレンチングの素材。

 とりわけ、最高の柔らかさ実現した「レンチング・モダール」はその快適性と、エレガントな表現力、環境に配慮した生産方式などの特性から、人気が高く、有力ブランドでの採用も多い。

 同社では柔らかさについて「衣類の快適性を左右する重要なパラメーターの一つが、テキスタイルの柔らかさ。快適であるためには柔らかさは基本的な必須条件」と位置付け、ドイツの計測器メーカーと共同で、柔らかさを測定する新しい方法を開発した。これで柔らかさを数値化し、より分かりやすく訴求できる形となった。

 レンチング・モダールのプロダクトマネージャーのクラウディア・モマー氏は「これでレンチング・モダールの量が多いほどテキスタイルが柔らかくなることを実証できる。

 この試験方法を用いることで、レンチング・モダールを用いたファブリックの柔らかさを困難なく表現できるようになり、お客さまにとっても販売の際に柔らかさを伝えやすくなるはず」と言う。

〈高級補整インナー 実績上げる/ヴィオレッタ〉

 ガードルや女性のスタイリングを美しく補整するファンデーションインナーに欠かせないのがストレッチラッセル編み地だ。大手メーカーのヴィオレッタ(大阪市城東区)はとりわけ高級品での採用実績が多い。特有のキックバック力に加え、独自の編み技術による多彩な柄出しに定評がある。

 近年は、インナーの売れ行きが低調なことや、これまで主力となってきたガードルの着用者数が年々減少していることもあり、カジュアルジャケットやレディースパンツなどのアウター向けの素材開発も進める。

 ただ、アウターへの供給量はまだ少なく、テキスタイル見本市「プレミアム・テキスタイル・ジャパン」(PTJ)などを通じてアパレルにアピールを強めている。今年11月のPTJには5回目の出展で、柄や素材のバリエーションが広がってきた。こうしたアウターへのチャレンジがきっかけで収益力のあるインナーの新素材も生まれている。

 2017年2月期決算は前期比5~10%の増収となりそうだ。主力取引先の受注回復が主因。利益面ではロスの削減、生産効率の向上で引き続き改善する見通し。