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日系生地商の中国内販/市況低迷の影響鮮明に/新規開拓が業績左右

2016年12月21日(Wed曜日) 午後3時37分

 日系生地商の中国内販が曲がり角を迎えている。昨年まで売り上げを順調に拡大してきた各社だが、今年はアパレル市場の低迷の影響を受け、伸び率が鈍化したり前年割れしたりするところが多い。与信管理の難度が高まる中、新規開拓の継続の可否が業績を左右するポイントになった。(上海支局)

 中国アパレル市場の減速感が強まっている。中国国家統計局が発表する「全国社会消費品小売総額」の衣料品(衣類、靴、帽子、ニット品)は1~11月、前年同期に比べ6・9%増ながら、2015年通年に比べ伸び率が2・9ポイント縮小した。一方、インターネット通販を含まない、百貨店中心の「全国重点小売企業100社」(中華全国商業情報センター調べ)の衣類はほぼ横ばいで推移した。双日ファッションの長田峯雄社長は「2、3年は調整期が続く」とみる。

 11年からアパレル市場の伸び率が縮小しているにもかかわらず、日系生地商の内販はここ数年、円安やローカルブランドの高付加価値志向の高まりの恩恵を受け、2桁%増収も珍しくなかった。ところが今年は売り上げの伸び率が鈍化したり、前年割れしたりするところが目立つ。

 瀧定名古屋の現地法人、瀧定紡織品〈上海〉は昨年、生地内販が2桁%の大幅増収だったが、今年は伸び率が鈍化。「百貨店のミセスラインを中心に、オーバーストアが深刻で在庫調整に入っている」と瀧健太郎総経理は話す。

 ヤギの現地法人、譜洛革時〈上海〉貿易の生地内販の売り上げは前年割れを見込む。メンズ市場の不振が続く中、昨年からメンズからレディースに顧客を入れ替え、対日製品向けに開発した婦人服地を販売してきたが、今年の秋冬向けが顧客ニーズとマッチせず、苦戦した。

 田村駒〈上海〉紡織品も、市況の低迷により顧客の与信リスクが高まる中、「与信審査を従来よりも厳しくした」(劉健総経理)ことから、伸び率が鈍化した。

 一方で好調を維持したところもある。スタイレムは5年連続増収増益を達成し、双日ファッションも売上高が前年に比べ約1割増える見通し。

 両社に共通するのが、新規開拓に継続して力を入れたこと。市況の低迷で与信管理の難度が高まっているが、トップがリーダーシップを発揮し、「新規顧客の開拓の手を緩めなかった」(スタイレムの安田季隆・中国総代表)ことが功を奏した。双日ファッションは今年のカットオーダー以上の新規顧客が、例年を上回る400社に達する見通しだ。

 今年、売り上げの伸び率が鈍化あるいは、前年割れした各社は、現地でのモノ作りや短納期・小ロット、現地向け企画の精度向上など、それぞれの強みを磨くことで来年挽回を図る。ただ、相対的に元気が良く、日系生地商の顧客になりつつあるネット通販専属ブランドなどは、企業情報が少なく、与信の難度は高い。こうした顧客とどう相対していくのか――。新規開拓が今後も業績を左右するポイントになっていきそうだ。