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生地商社の2017年/「不確実性の時代」/新商品開発で現状打破

2017年01月17日(Tue曜日) 午前10時41分

 「不確実性の年」「何が起きるか全く分からない時代」――。生地商社のトップは今年の景況見通しについて例年以上に視界不良が強まっていることを強調する。国内産地や染工場の技術力に下支えされながら、企画開発力や備蓄力、提案力などを強みに生き残ってきたのが現在の生地商社。各社トップの声から2017年のテキスタイルビジネスを占う。

 服地販売で国内最大のシェアを誇るスタイレムをグループ傘下に持つ瀧定大阪の瀧隆太社長は「今年もさまざまなことが起きるだろうし、既存の枠組みが変わっていくだろう」と予想する。しかし、「変化は歴史の必然」であり「変化に対応してきたのが当社」とし、「慌てず騒がず本質を研ぎ澄ます」ことに精力を傾ける。本質とは原点回帰とも言い換えることができるが、「回顧主義ではなく未来志向」であることを強調する。事業部制の導入などでともすれば弱まっていたかもしれない「企画・リスク・提案」という同社の“原点”をもう一度見直し、同時に時代とともに自らを変革しながら「徹底した行動力」によって難局を乗り切る考えを示す。

 同じく原点回帰という言葉を今年のテーマに据えるのが、コッカの岡田洋幸社長。プリントを軸とした生地の企画販売から製品OEM、小売り展開まで多角的に事業を進める同社だが、「原点回帰をキーワードに力が分散しないよう少し事業を整理整頓し、その余力を新規事業に向ける」。

 英国の欧州連合(EU)離脱、トランプ政権の誕生など「何が起きるか分からない」と強調するのはコスモテキスタイルの斑目寿明社長。その中で「変化への対応力とぶれない姿勢が大事」だと説く。毎期しっかりと不良在庫を処分するなど堅実な企業体質が変動の時代を乗り切るための武器になりそうで、その中で「次の一手(新規事業)が課題」と認識を新たにする。

 北高の高山茂也社長は「為替を含めて変化が大きすぎ、右肩上がりの方針を打ち出す時勢ではない」と強調。昨年に引き続き「量より質」を重視しながら、円安に乗って昨年はやや苦戦を強いられた海外販売の拡大を改めて狙う。

 宇仁繊維の宇仁龍一社長も「円安は当社にとって強い追い風」として、引き続き強気の姿勢で輸出拡大に挑む。

 昨年9月のパリ「プルミエール・ヴィジョン(PV)・ファブリック」に初出展するなど輸出拡大に本腰を入れ始めた柴屋の奥野寿一社長も円安を「追い風」とし、PV9月展の提案の刈り取りを進めながら2月の同展でも海外顧客開拓を加速する。そのための人材としてこのほど、日本語、英語、イタリア語、フランス語、スペイン語に堪能なスタッフも採用した。

 澤村の清水民生社長は「不確実性の時代」と今年をみる。ただ、変化をマイナスとは捉えず、「ある意味で面白い年になるかもしれない」とむしろ歓迎。「悪い市況を打開するために新しいものを作って提案することがわれわれの使命」との言葉は全ての生地商社トップの共通認識でもある。