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未来の繊維を目指して(4)/東洋紡「COCOMI」/快適性評価も駆使し提案

2017年01月17日(火曜日) 午前10時52分

 東洋紡が2015年8月に発表した「COCOMI(ココミ)」は導電材料を使ったフィルム状の機能性素材だ。電子材料用導電ペーストの技術を応用して開発した。センサー用電極材や配線になるココミは(1)伸縮性に優れる(2)薄い(3)導電性が高い(4)熱圧着で生地に簡単に貼り付けられる――などの特徴がある。その特徴を生かし、ウエアラブル端末の一つとして、生体情報計測ウエアなど向けの販売を目指している。

 発表後にウエアラブル、プリント配線基板、スポーツ、テキスタイルなどさまざまな展示会に出展し、認知度の向上に取り組んできた。ドイツ・ミュンヘンで2月に開催される世界最大のスポーツ展「ISPO」にも引き続き出品する。

 各種展示会に出展する中で、実販売にも結び付けた。それがアニコール(横浜市鶴見区)の販売する競走馬専用心拍・速度・加速度測定システム「ホースコール」。同システムの心拍数測定用腹帯(はらおび)カバーにココミが採用されている。

 実販売はこの腹帯カバーだけだが、スポーツウエアやワーキングウエア、介護、医療、自動車などさまざまな分野で、国内外から関心が寄せられているという。

 ただ、「心電を取るだけで進展はない。用途に合わせた具体的な使い方の提案ができなければ本格拡大にはつながらない。そのためにも異業種も含めた協業が重要」と繊維生産技術総括部の作田光浩主幹は言う。

 このため、得意とする総合研究所(滋賀県大津市)による快適性評価技術と組み合わせた使い方の提案も検討する。同時に各用途に応じた耐久性の向上なども図る方針だ。

 未来を担う繊維として大きな期待がかかる「スマートテキスタイル」。現在はスタートを切ったばかりで、開発段階のものも少なくない。しかし、心電など生体情報を計測できるのは微量な電気が流れるということ。もし高電圧、高電流が流れるようになれば、電力を伝える電線の代わりになる。手法は異なるが、繊維技術を生かした伸縮電線「ロボ電」(旭化成)なども開発されている。「繊維が電線を置き換える」。そんな時代が来ることを将来に期待したい。(おわり)