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開発最前線(3)/東洋紡・快適性工学センター(前)/快適性を目に見える形に

2017年01月18日(水曜日) 午前10時53分

 東洋紡・総合研究所(滋賀県大津市)内にあるコーポレート研究所の快適性工学センターでは「快適性」の研究や評価を行っている。目に見えにくく主観に左右されがちだった「快適性」や「感性」を具体的に数値化することで、繊維やテキスタイルの開発にも生かされている。石丸園子快適性工学センター部長は「快適性の評価方法を確立することにより開発の方向性が定まり、設計などにも生かすことができる」と説明する。

 快適性工学センターでは1970年代から快適性の研究を行ってきた。それまでエキスパートの判断に頼っていた風合いの計測から始まり、82年には同社の快適素材群「衣服内気候」の展開が始まった。90年には蒸れ感の評価法を確立するために発汗マネキンを自作し、そこから濡れ感、肌離れ性など評価法が増えていった。

 快適性の主要因となるのは大きく分けて「熱・水分特性」「肌触り」「圧力特性」がある。例えば蒸れ感、べたつき感、濡れ感、暑い/寒いなどの感覚は熱・水分特性から評価する。しっとり感、サラサラ感などの感覚は肌触りで、締め付け感やフィット感、クッション感などは圧力特性を調べて数値化される。

 快適性を評価するには、何をどのように計測するかを定める必要がある。新しい評価法を作る際にはまず主観評価から入り、アンケート調査を実施して人がどう感じるかを探る。この段階では感覚が羅列される。化粧品を例に挙げると「さらさら」「べとつく」「しっとり」などの感じた通りの言葉が並べられる。そして調査結果を因子分析し、「さらさら」「べとつく」「しっとり」の差には摩擦係数や温度、水分などが関与していると突き止め、それを数値化していく。快適性工学センターの分析やシミュレーションを行う部署とも連携し、発汗マネキンやスキンモデル、サーモラボ、KES、接触圧測定器、圧力分布測定システム、衣服圧シミュレーションなどによる機器評価、心電図や脳波、血流量、筋電図などによる生理評価などを活用して、快適性が具体的に見える形となる。