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開発最前線(3)/東洋紡・快適性工学センター(後)/快適性の研究対象が拡大

2017年01月19日(木曜日) 午前11時19分

 東洋紡の快適性工学センターは1970年代から快適性の研究を行ってきた。実際の商品展開に結び付いたのが82年の「衣服内気候」で、その第1弾が衣服内の蒸れの評価を生かして開発した「アルザス」だった。その後、濡れ感の評価法が「アルティマ」に、肌離れ性の評価法が「フィラシス」につながるなど機能素材の広がりに貢献してきた。

 快適性の研究は、はっきりと捉えづらい人の感覚を計測できる形にする。そこから商品開発に使えそうなキーワードを拾い出し、マップを作って方向性を定める。他のグループと連携しながら開発・改良を進めていく中で共通言語にもなる。

 2006年にはリラックスや眠気など心理状態を生理データで評価する技術を生かした「メンタルバランス」の展開が始まった。ここでの開発を見ると、例えば脳波から活性状態か眠気か、心電図から緊張かリラックスかを計測し、縦軸に脳波、横軸に心電図を取ったマップを作る。そこから「優しく包まれることでリラックスできる素材」を開発する際には、「リラックスで活性」の状態を目指すなどの方向性が定まってくる。

 当初は衣服の着心地や寝具の寝心地の研究を重ねてきたが、約10年前からは自動車関連の仕事も増えてきた。車内空間の快適性が重視されるようになったことが背景で、合成皮革やフィルムの触感などの研究も進んだ。近年は化粧品などにも広がるほか、スマートウエアにも力を入れている。

 スマートウエアの研究は計測できるものを作るところから始まった。例えば心電図を取るために、動いても体と衣服が常に密着している場所を探るなどだ。今後、計測できるバリエーションを増やし、スマートウエアの展開拡大に貢献していく。メンタルバランスで自動車運転時の眠気が分かるアルゴリズムを作ったこともスマートウエアの展開につながっている。

 スマートウエアの研究に取り組む中で、研究対象は人間だけでなく動物に広がり、フィルム状導電素材「ココミ」は競走馬の心拍数測定用から展開が始まった。ユニ・チャームが昨年11月に発売したペット用介護システム「ユニ・チャームPro」では介護用マットの素材に「ブレスエア」が採用されたが、ここでは要介護犬にとっての快適性を分析して商品化につなげている。(この項おわり)