開発最前線 (4) 旭化成・繊維先端技術センター (後)

2017年02月15日(水曜日)

研究開発者の横の連携進む

 旭化成の繊維先端技術センター(滋賀県守山市)にはロイカ事業部の技術開発室、不織布事業部の不織布技術開発部、レオナ事業部のレオナ繊維生産業務グループ、技術開発総部の商品科学研究所、ロボ電事業推進室、ライニング研究所が入り、一つの建物内で研究開発を進めている。設立されて約10年が過ぎたが、研究者の横の連携が進んだことが効果の一つに挙げられる。

 例えば「紙おむつ」という共通するテーマに対し、不織布とスパンデックス「ロイカ」が一緒になって次世代の商品を創り上げていく。不織布とスパンデックスの技術に、商品科学研究所のコンピューター解析技術も組み合わせ、紙おむつの動きやすさを視点にした開発なども進んでいる。事業部間だけでなく旭化成アドバンスとの連携で、糸から縫製までの各段階を工夫して最終製品としての快適性を高める開発なども進展。繊維先端技術センターの設立により、研究開発拠点に顧客が訪れ一緒に価値を創り上げていく事例も増えており、「技術の人が顧客と交流できる場になった」(池永秀雄商品科学研究所調)。

 さらに今後は「本当の意味での融合を進めていく」(加藤哲雄技術開発総部長)ことを重視する。特に旭化成グループ内の連携による新事業創出が大きなテーマとなる。

 旭化成は昨年4月に中期計画「シーズ・フォー・トゥモロー2018」をスタートし、事業ポートフォリオを「マテリアル」「住宅」「ヘルスケア」の3領域に再編するとともに事業持株会社制に移行した。中計では領域間の融合による新しい付加価値の創造を重点方針の一つに掲げており、繊維も融合によるヘルスケアや環境エネルギーなどでの開発を加速していく。

 例えばヘルスケアではゾールのライフベストに繊維の技術を応用するなどさまざまな可能性がある。自動車でもセルロースナノファイバー(CNB)による軽量化などがあり、繊維の技術が活躍する場がますます広がっていく。

 今後の開発について加藤哲雄技術開発総部長は「基礎開発においてもスピードが重要。事業性やマーケットの動きを考えながら研究開発を加速する」という。人材育成では「マーケティングができる技術者を育てる」ことを重視。技術開発者の育成は研究・開発本部のプログラムがあるが、さらに現場レベルでも①若手の発表会などの場を作り議論の機会を創出②ベテランの技術の継承――などを進めて人材を育てていく。現在、研究者の約4分1が若手であり、若手中心の勉強会などコミュニケーションも活発になっている。

(この項おわり)