経産省が見た日本のモノ作り(30)/福島県・岡部縫製/高い品質、生産性を実現

2017年02月17日(金曜日)

 メード・イン・ジャパン製品の品質を支えるのが、日本の高い縫製技術である。全国各地にある縫製企業の中には、その高い技術によって、国内生産を志向するアパレルメーカーからの信頼の厚い企業が存在する。今回訪問した岡部縫製(岡部英一社長)もそうした縫製企業の一つ。そのメンズシャツ製造の技術は、メーカーズシャツ鎌倉をはじめとしたメンズドレスシャツの高い品質を担っている。

 岡部縫製が工場を構える福島県古殿町は、いわき市の西側に位置し、阿武隈山系に囲まれた山間の町である。JR新白河駅から車で1時間ほど。緑に囲まれた斜面に、岡部縫製の工場が見えてくる。以前は少し離れた土地に工場を有していたが、東日本大震災の後に廃校となった小学校の建屋を再利用し、現在の地に工場を移設した。

 元々校舎であったため、窓が多く開けた空間や広い通路、木張りの床など、一般的な工場のイメージとは異なり、奇麗で明るい雰囲気。工場内では常に有線放送で音楽が流されており、一日中集中して作業を行わなければならない従業員の労働環境に、大変配慮した工場と感じた。

 労働面に関しては、数年前より労務管理の努力によって、年間を通じて残業時間を削減したとのこと。労務費削減の観点だけではなく、今後は人材確保と生産性向上の面からも、強みになると考えられる。

 同社の特長には、経験豊富な人材が多く、熟練者から若年者への自主的な技術指導の文化もあり、シャツ製造のどの工程でも高い技術が保たれているということがある。加えて、縫製技術の核となるミシンについても、メーカー仕様のままで使うのではなく、品質・効率をより向上させるような改良を社内で行う。特に繊細な立体縫製などは熟練の技術と機械の改良が不可欠であり、常に高い品質と生産性を追求している。

 生産性の向上では、CAD/CAMの導入によりパターン裁断の効率化を図っている。ここでも独自の裁断パターンを追求することで、85%を超える収率を実現。この裁断パターンについては、実際にパターン図を拝見したところ、隙間なく各部品が配置されていることに加え、導入している自動裁断機が生地の目に沿って補正しながら裁断作業を行うことで、シャツの仕上がり柄まで考慮された高いレベルのものになっていた。

 こうした高い品質と生産性を同時に実現できる背景には、人材育成と設備技術の両方に投資をすることで、モノ作りのレベルを常に向上していこうとする姿勢がある。工場の立地から考えれば、物流面や人材確保の面で決して優位とは言えないにもかかわらず、多くのブランドから引き合いを受けるのは、こうした真摯なモノ作りに対する姿勢が評価されているからだろう。とかく黒子に徹することの多い縫製企業の中で、縫製業界全体を底上げしていくような高みを目指すモノ作りには、学ぶべきところが多いと感じた。

 経済産業省生活製品課

 (毎月第3金曜日掲載予定)