メーカー別 繊維ニュース

ジャパン・ヤーン・フェア/注目の企業とその企画(1)

2017年02月14日(火曜日) 午後3時43分

〈青山繊維加工/特殊モール糸にこだわる〉

 青山繊維加工は、モール糸を中心とする特殊な撚糸を、専属の4工場を活用して生産。200品番ほどを備蓄し、1キロ単位で販売している。

 特殊撚糸の開発にこだわってきた。備蓄品のうち70品番ほどをカタログに収録しているが、他社が生産し始めた糸はそこから外すというのが同社のスタイルだ。見本帳に収録されている「E1108」は、1本の糸の中に、ループとモールを交互に表現したもの。5年前に発売した。「世界的にも珍しい」と同社は自負する。花糸の密度が極端に粗いナイロン100%モール糸「1419」は、毛羽の長さがそろうようにナイロン繊維自体を加工して商品化した。

〈浅野撚糸/気化熱でクールダウン〉

 撚糸・タオル製造の浅野撚糸が開発した特殊撚糸「スーパーゼロ」に、気化熱で体をクールダウンする機能があることが分かった。このことをアピールし、同糸の用途の拡大を図る。製品用に、「キカネツ」の商標登録も申請中だ。

 スーパーゼロは、紡績糸を、それに掛かっている撚りとは逆方向に2倍撚ることで、空気をたっぷり含ませた糸。ユニチカガーメンテックが、スーパーゼロに加工する前の30単綿糸と加工した同糸を試料に、運動後の皮膚体温低下を調べたところ、スーパーゼロの方が0.7℃低かった。吸汗発散性が高く、気化熱が大きくなるためだとみられる。

〈伊高撚糸/細番モール糸も備蓄〉

 モール糸製造販売の伊高撚糸は、アクリル、ポリエステル、綿、レーヨン製を中心とする定番的なモール糸を約40種、生成り糸で備蓄し、1キロ単位で販売している。備蓄した糸の染色はもちろん、モール糸の別注にも対応する。

 備蓄しているモール糸は、3~6番手が中心。7.5番、10番手糸は別注で生産していた。しかし、婦人服地分野で秋冬素材も軽くしたいとのニーズが強まっているため、5、10番手も備蓄販売することにした。

 同社モール糸の40%はカーテンや椅子生地、40%は衣料に採用されている。最近、プレミアム電車のシート地素材としても採用されたという。

〈泉工業/“原点回帰”のラメ糸多彩〉

 泉工業は“原点回帰”を掲げ、ユニークなラメ糸を多彩に紹介する。新たに4000デシテックス(T)の太繊度ポリエステル100%ラメ糸「セルテックス丸撚3190E」を披露する。衣料用途だけでなくカーテンなどインテリア用途もターゲット。純銀蒸着のため光沢にも優れ、同社のラメ糸の特徴である減量加工や防炎加工にも対応した。難燃加工にも対応する。

 また、細繊度糸では300切(18T)のラメを使用し、糸繊度44Tの「SA300切」も用意。インナーなど肌に触れる用途への提案を進める。太繊度糸から細繊度糸までそろえるほか、難燃、導電、再帰反射、ストレッチなど機能ラメ糸も多彩に紹介する。

〈伊藤忠商事/羊毛から綿、合繊まで〉

 伊藤忠商事は、「メリノオプティモ」「ペルヴィアンピマ」「スムース」などを前面に出す。

 メリノオプティモは、豪州で生育する羊の0.3%とされる特殊種のウール。大きく深く整ったクリンプなどが特徴。トップとして供給しており、横編み分野で支持されている。丸編み、織物用途への拡大も同社は期待している。

 ペルヴィアンピマは、ペルー産超長綿「ピマ」を紡いだ糸。これに加え、ペルーの「タンギス綿」を使用した糸も展開する。

 スムースは、マイクロ抗ピルアクリルと、綿やウールなどとの混紡糸。昨年発売した。インナー、シャツ、デニムなどさまざまな用途に向く。

〈オーミケンシ/独自の機能レーヨン発信〉

 オーミケンシは、独自の機能レーヨンのバリエーションを幅広く提案する。他素材との複合で機能の相乗効果を発現する機能糸を発信する。

 遮熱レーヨン「クールクリスタルSE」は遮熱機能レーヨンと遮熱機能アクリルを組み合わせることで温度を4~5℃引き下げる。サマーセーターやカーテン向けに提案する。高吸水・高放湿レーヨン「サプレモSE」も開発。機能レーヨンとポリエステルの混紡で機能を高めた。渦流精紡機「ボルテックス」で紡績したタイプも用意。高い抗ピリング性も実現した。

 備長炭繊維・消臭・吸湿発熱レーヨンの複合糸、消臭や保温レーヨン・中空ポリエステル複合の保温素材「エアーホープ」を打ち出す。

〈大津毛織/“高級感”と“値頃感”〉

 大津毛織は市場ニーズの二極化に対応し、高級紡毛糸と値頃感を打ち出したウール・ポリエステル混紡毛糸を重点提案する。

 高級ゾーンに向けては繊度14マイクロメートル以下のヤングカシミヤを100%使用したカシミヤ紡毛糸や繊度15マイクロメートル以下のウールを厳選して使用したウール紡毛糸を打ち出す。

 同時に値頃感のある糸としてウール30%・常圧カチオン可染ポリエステル70%混紡毛糸やウール30%・常圧カチオン可染ポリエステル68%・ポリウレタン2%混ストレッチ紡毛糸も用意。

 そのほかにも軽量紡毛糸「エアヤーン」の単糸やネップ紡毛糸など紡績技術によって開発した差別化糸を生地見本などで多彩に紹介する。

〈近藤/ファー人気へ対応〉

 意匠撚糸製造卸の近藤は、毛足の長いフェザー調と、短いベロア調のモール糸を横編み素材として提案する。フェザー調はフェイクファー人気に対応したもので、生成り糸を在庫し、バイオーダーで染める。製品のミンク加工の要望があれば、加工場も紹介する。ベロア調は、備蓄色を8色から16色へ増やす。

 かすり染め糸では、主力品の色ぞろえを刷新し、きれい目の色を増やす。30年以上前から展開しているモヘア糸では、ストレートタイプを見せる。

 丸編み素材としては、リネン55%・ポリエステル45%混糸を綿番の30単で展開している。リネン高率の30単の紡績は難しいとされていた。

〈三幸毛糸紡績/篠かすり染め糸を訴求〉

 太番梳毛糸の生産を得意とする三幸毛糸紡績は、17春夏のトレンドはカラフルだと見て、「レインボウ」をテーマに、糸になる前の篠段階でかすり染めした糸をアピールする。

 同社は篠段階でかすり染めしたさまざまな糸を備蓄販売している。例えば20年以上前から販売しているロングセラーの「LPL」。モヘア64%・ナイロン36%混の9番タム糸で、20色を備蓄している。

 2年前には、アルパカ44%・ナイロン32%・アクリル24%混の9番タム糸「カメリド」を発売した。10色を備蓄しており、好評だという。同年に、アクリル100%の「グロッシー」も発売。12番を14色備蓄している。

〈カワボウテキスチャード/エステルを天然調に加工〉

 合繊長繊維輸入販売や同糸の加工などを行っているカワボウテキスチャードは、「超天然」をテーマに、天然繊維調に加工したポリエステル長繊維を見せる。

 同社は自社工場に、仮撚機18台、エア加工機14台、撚糸機8台を持つ。これらの設備と、蓄積した技術で、ポリエステル長繊維をウールライク、麻ライク、シルクライクに加工できることをアピールする。

 同社は、原着ポリエステル長繊維を、加工糸を含めると7種、多い品種だと113色備蓄し、ケース(24~30キロ)単位で販売している。これらと、レギュラー糸、カチオン可染糸を組み合せた染め分けの面白さも見せる。

〈AMIu/短いファーのリリヤーン〉

 リリヤーン製造の高田編物が、リリヤーンなどの販売会社として設立したAMIu(アミぅ)は、毛足の長さが普通の半分ほどのカットファー・リリヤーンを、横編み用に商品化した。芯糸を従来よりも細く編む技術の確立で、生産が可能になったという。1番手と2番手を提案する。手芸分野で腕編みがブームになっていることを受け、直径が1㌢以上もあるコアスルー・リリヤーンも商品化した。

 両糸を生産する高田編物は、リリヤーン編み機を7台、花糸をカットしてファー調にするカットファー・リリヤーン機を8台保有する。これらを改造し、さまざまな糸を開発してきた。

〈タオルヤーンクラブ/紡績10社がタオル糸〉

 タオルヤーンクラブは、新たなタオル糸の開発を目的に、旭紡績、綾部紡績、クラボウ、シキボウ、龍田紡績、東洋紡STC、ニットーボー新潟、ミマス、ユニチカトレーディングが信友の呼び掛けで結集し発足した。オーミケンシも加わり、参加紡績は現在10社になっている。

 開発品の初披露は、前回の「ジャパン・ヤーン・フェア」。同展後の販売量は、昨年11月までの累計で10トンに達した。今回は、20点の開発糸を、タオルに仕上げて見せる。開発した紡績会社名は開示せず、あくまでもタオルヤーンクラブの糸として提案する。製品用に「チーム紡ジャパン」の織ネームも用意した。

〈新内外綿/ボルテックスで杢糸〉

 新内外綿は、昨年に新規導入した村田機械の渦流精紡機「ボルテックス」を活用して開発した「NAS(ナイガイ・エアー・スピナー)」の杢糸やトップ染め杢糸を披露する。

 NASはボルテックスで紡績することで精製セルロース繊維「テンセル」でも独特のハリ・コシ感が生まれる。アウター用ニット生地にも使える粗挽き杢など独自性のある差別化杢糸を提案する。

 人気が高まる天然由来染料トップ染め杢糸「ボタニカルダイ」もNASタイプを用意。抗ピリング性の高さを生かし、綿35%・ポリエステル65%混も実現した。引き合いが増えているユニフォーム用途への提案を進める。

 そのほか、NASで糸長方向に色が変化するレインボーヤーンも開発した。

〈高田化成工業/合繊を10キロから試作〉

 合繊長繊維を極小ロットで生産する高田化成工業は、モノフィラメント紡糸機10台、マルチフィラメント紡糸機6台に加え、マルチフィラメントの小型防糸機を1台導入し、昨年9月に稼動させた。

 これにより、マルチフィラメントについては、10キロからの試作依頼に対応できるようになった。モノフィラメントについても、従来同様50キロからの試作依頼に対応する。いずれの場合も料金は10万円。

 同社は、酸性染料で染まるポリプロピレンや、フッ素繊維に近い摺動性を備え、かつ同繊維より安い繊維の開発にも成功している。現在、用途開拓中だ。

〈滝善/純綿擬麻加工糸を商品化〉

 意匠撚糸製造卸の滝善は、糸の擬麻加工を受託しているおおまえ(滋賀県東近江市)と組んで純綿擬麻加工糸「クリスピーコットン」を商品化した。毛番の13、8.5、17の3番手を、18春夏横編み素材として、1本単位で備蓄販売する。

 13番の糸は、綿番の30双糸を2本合わせて、レーヨン溶液でくっつけたもの。糸表面はレーヨンで覆われている。これを36色備蓄する。8.5番は、綿番の20双糸を2本合わせ、同様にレーヨン溶液でくっつけた。36色を備蓄する。17番は、綿番の30三子をレーヨン溶液に浸け、糸表面にレーヨンの皮膜を形成させたもの。生成りを備蓄する。

〈東洋紡糸工業/ウール紡毛糸が充実〉

 東洋紡糸工業はカシミヤ紡毛糸に加えてウール紡毛糸を拡充した。従来の30双糸「チェス」、40双糸「カプリ」、15双糸「ガイア」に加えて、新たにラインアップに加えた24双糸「アルゴ」、20双糸「コルキス」を披露する。いずれも24色でブック展開する。

 同社は昨年11月にミュール精紡機を更新した。生産背景が強化されたことを生かし、幅広い番手をそろえることで需要の掘り起こしを進める。いずれもカシミヤ紡績の技術によって可能になった“高級感・上質感”を前面に打ち出す。

 カシミヤ紡毛糸は、最高級糸に続くセカンドラインとして「アマンダ」も用意。さらにカシミヤ・ブルーフォックス混といったユニークな紡毛糸も紹介する。

〈東洋紡STC/グループ3社で“総合力”〉

 東洋紡STCは、東洋紡テクノウール、日本エクスラン工業と共同でブースを構え、綿、ウール、アクリルまで各種原料を使った複合紡績糸などを提案し、“東洋紡の総合力”を打ち出す。

 東洋紡テクノウールとの連携では、長短複合紡績糸「マナード」をベースにした差別化糸を紹介する。マナードは2020年に開発から50周年を迎えるため、プロモーションを強化。さまざまな短繊維と深化した長繊維を組み合わせることで“進化・深化した”マナードを打ち出す。

 日本エクスラン工業とのコラボレーションでは機能アクリルを使用した紡績糸を紹介。国内産地に向けて差別化アクリル紡績糸の需要掘り起しを進める。

〈茶久染色/撥水加工糸など提案〉

 チーズ染色の茶久染色は、撥水(はっすい)加工糸や、ソフトなチーズ染色糸を提案する。前者を「デラ撥水」後者を「デラソフト」の登録商標で展開する。同社が商品に登録商標を冠するのは今回が初めてだ。

 糸への撥水加工は難しいとされるが、それを可能にすることでデラ撥水を商品化した。ポリエステルの長繊維、短繊維に加え、綿糸にも耐久性の高い撥水性を付与できるという。

 チーズ染色すると糸の風合いが硬くなりがちだ。デラソフトは、ポリエステル長繊維や同短繊維、そして綿のソフトさを残しながらチーズ染色する技術で商品化した。綛染めに負けないソフトさを実現したという。

〈トスコ/ラミートップの幅広げて〉

 トスコはラミーのトップ糸を出品する。「リネンのトップ糸は多いが、ラミーのトップを提案。番手は60、80、160番で、色数も約15色用意」する。また、細番手のラミーも同社独自の技術で開発。水溶性ビニロンで160番の細番手となる「トスコラミーVS104トップ」は、薄いブラウスでも肌にまとわりつかない。2月の「プルミエール・ヴィジョン」でもアピールした。

 一方、リネンでは糸としての品質の優位性を訴求していく。25、40、60、80番のトップ糸を紹介する。ペーパーヤーンも展開し、好評だ。合繊やウールとの麻複合にも注力し、複合による差別化も図っている。

〈東和毛織/改造機でヤクを梳毛糸に〉

 梳毛糸製造の東和毛織は、牛の一種であるヤクの毛を使った梳毛糸を商品化した。また、表面をフェルト化させることでピリングの発生を抑えたウール100%ロービング糸も開発した。

 ヤクの毛は短いため、梳毛糸にはできないとされていた。しかし同社は、綿60%混糸も生産できるように改造した梳毛紡機を保有しており、同機でヤクの紡績を可能にした。

 表面をフェルト化させたロービング糸は、フェルト化しやすいように、同社が保有する英式と仏式の梳毛紡機の両方を使用して極甘撚りに仕上げたうえで、フェルト化させた。このような糸は衣料用途では珍しい。

〈豊島/多彩な備蓄販売糸訴求〉

 豊島は、「スプレンダー・ツイスト」「サンリット・メローズ」「ELS」、そして「コーデュラ」使いの糸などを出展する。いずれも、同社が備蓄販売している商品だ。

 スプレンダー・ツイストは、コンパクト精紡交撚純綿糸で、昨年発売した。丸編みに加え、織物用途での需要も拡大している。サンリット・メローズは、スペイン産の超長綿「ピマ」を紡績した糸。ELSは、オーガニック超長綿使いだ。

 コーデュラは、インビスタの高強力繊維。豊島は、同繊維使いの紡毛糸、梳毛糸、綿混糸、さらにはコーデュラの長短複合糸などを販売している。同紡毛糸は、日本では豊島のみが展開している。

〈豊島紡績/ラミー糸を41色展開〉

 豊島グループの豊島紡績(愛知県名古屋市)は、新色を加えたラミー100%の48番単糸「アラン」をアピールする。

 アランは春夏向けの素材として、2010年ごろに商品化したトップ染め品。丸編みや横編み、織物などを製造する全国の産地へ供給している。

 カラーは従来の26色から、新たにパステル調のオレンジ、パープル、カーキなど15色を加え計41色になった。多彩なカラーバリエーションを備蓄していることを今回展で訴求する。

 同社は梳毛紡機に加え、トライスピン機も保有しており、現在、トライスピン機でラミー使いの意匠撚糸も開発している。