メーカー別 繊維ニュース

特集 アジア戦略 4.0(22)/我が社のアジア戦略

2017年03月31日(Fri曜日) 午後5時10分

〈日清紡テキスタイル/“グローバル品質”実現へ〉

 日清紡テキスタイルはインドネシアでの紡績・織布・加工によって“グローバル品質”を実現し、内販や三国間販売など“外・外ビジネス”の拡大を目指す。また、中国での先染め織物整理加工も順調に立ち上がった。

 日清紡テキスタイルはインドネシアで日本向けに加えてシャツ地を中心に内販や欧米・アジア諸国へ販売拡大を目指している。ただ、馬場一訓社長は「外・外ビジネスが思うように伸びていない。特に欧米向けに火がついていない」と指摘する。

 このため17年度は紡織のニカワテキスタイル、織布・加工の日清紡インドネシアによる紡織加工一貫生産を生かし、外・外ビジネス拡大に向けて提案先とのパイプを強めると同時に「コスト・価格と品位・品質のバランスが取れた“グローバル品質”のモノ作りを実現する」ことでインドネシア事業の再構築を進める。

 インドネシアではナイガイシャツインドネシアによるシャツ縫製も行っているが、インドネシアでの人件費は上昇が続いている。このため海外でのシャツ縫製の今後に関しても最適化の可能性も検討する方向にある。

 一方、中国の先染め織物整理加工子会社の日清紡績〈常州〉は計画からの遅れが目立っていたが、ここに来てようやく順調な立ち上がりとなった。今後の収益拡大に向けて期待が高まる。

〈宇仁繊維/アジア全方位で拡大ねらう〉

 宇仁繊維は上海と北京に現地法人を展開するほか、同国市場拡大に向けテキスタイル見本市への出展を続けている。両現地法人の前期(2016年12月期)売上高は前の期比微減収の2億8000万円だったが、今後の業績拡大に向け、人材の登用や育成に力を入れる。中国以外の国・地域向けはまだ規模こそ小さいものの、徐々に伸びている。

 このほど出展した「インターテキスタイル上海」の同社ブースはいつもながら盛況だった。着分見本依頼も毎回、「ものすごい数」が集まる。ただ、この勢いがそのまま同国市場向け生地販売の実績につながっているとは言い難い。宇仁龍一社長は、多品種・小ロット・短納期サービスで顧客窓口を広げておいて、別注につなげるという基本方針に変化はないものの、「過剰サービスかもしれず、今後は相手を見極めた営業提案が必要になる」と多少の軌道修正を図る考えを示す。

 並行して、「拡大のために必要なのは人の力」として、モノ作りに精通した商品知識とコミュニケーション能力を重視しながら人材の登用、育成に力を注ぐ。

 中国以外の国・地域向けも拡大対象で、香港、インドネシア、シンガポール、タイ、ベトナム、韓国、台湾向けなどがそれぞれ徐々に伸長しており、今後も伸ばす。ドバイ市場向けにも期待が持てるという。

〈一村産業/4軸を有機的に結ぶ〉

 一村産業は「グローバルコンバーティングの推進とその機能向上」を方針に掲げる一環として、日本(北陸)、中国、インドネシア、ベトナムの4軸を有機的に結ぶ動きを加速する。中でも2016年から本格化したベトナムオペレーションの進展が顕著だ。

 ベトナムは14年から調査を開始し、工場の選定などを進めてきた。そのうちの1軒と16年から実際の取り組みがスタート。紡績糸と織物を主にユニフォーム用途に納める事業で、その後、横展開が進み、今では5軒と生産チームを結成するに至った。上海やインドネシアで培ってきた素材オペレーションを応用した形だ。

 例えば、ベトナムの紡績糸をインドネシアで製織し、日本で染色加工を施し、中東向けに納めるというビジネスモデル既にスタートしている。加えて、日本の生機をベトナムで染色加工し、同国の縫製工場に納めるといった四つの軸を有機的に結び付ける「適地生産・適地販売」を今後も加速する。テーマは「品質とコストのいいとこ取り」だ。

 鎌田政光繊維事業部門長によると、グローバルコンバーティングは「品質管理が肝」。社内に設置する技術室の5人を海外協力工場に長期派遣し、対等の関係で技術指導を徹底する。この取り組みの発展系として、技術指導費をもらうケースも増えているという。

〈トーア紡コーポレーション/ベトナム生産 量的拡大〉

 トーア紡コーポレーションは衣料事業子会社の東亜紡織が紳士服地のベトナム生産を拡大させている。2016年度は年産1万2000反の規模にまで拡大し、生産品種の拡充も進んだ。

 現在、紳士服地の市況が思わしくない。このため東亜紡織は17年度の戦略の一つとしてベトナム生産活用による販売の量的拡大を狙う。ベトナム合弁であるドンナム・ウールン・テキスタイルでの生産を年間1万5000反まで拡大する計画である。

 一方、中国での生産は再構築を進める。紳士服地はベトナム生産へシフトさせた上で、中国合弁での生産は糸染め加工の常熟青亜紡織、紡織の常熟東博紡織と無錫東洲紡織に集約する。現地統括機能を持つ無錫東亜紡織は梳毛糸販売のほか、新規事業の開拓に取り組む。

 新規事業として期待されるのが新たに参入した浄水機器・防災保存用飲料水事業だ。逆浸透膜による浄水機器と保存用飲料水を中国やベトナムにも販売することを目指す。新規事業分野でも、繊維事業で構築した海外拠点を積極的に活用する戦略をとる。

〈ブラザー工業/販売・サービス網拡充〉

 東南アジア、さらには南西アジアに縫製拠点を設ける動きが日本のアパレル業界でも活発になっている。ブラザー工業は、この動きを支援するための体制を強化してきた。

 同社は2014年4月、ブラザー・マシナリー・アジア(BMA)を香港に設立した。このBMAが、インドネシア、ベトナム、バングラデシュ、シンガポール、インドにあるブラザー工業の工業用ミシンの販売・サービス拠点を一元管理している。

 BMAを司令塔とする販売・サービス網に、ミャンマーが加わった。BMAの全額出資で設立され、今年1月に営業を開始したブラザー〈アジア〉ミャンマーマシナリーサービスセンターがそれだ。これまではBMAが同国におけるアフターサービスも行っていたが、今後は新会社がそれを担う。「これから日本人も送り込み、さらに強化する」(ブラザー工業の北村達也工業ミシン営業部長)方針だ。

 さらに、ベトナム中部のダナンにも工業用ミシンの販売・サービス拠点を設立し、今年2月から営業を開始した。ベトナムでは昨年10月、ハノイとホーチミンの工業用ミシンの駐在員事務所を販売会社化していた。ダナンにも拠点を設立することで、ベトナムの北部、中部、南部それぞれにきめ細かな販売・サービスを行う体制も整った。

〈山東鐵工所/サポート体制を強化〉

 染色関連機器をはじめ、産業資材用機器、フィルム加工機器などを開発、販売する山東鐵工所(和歌山市)は、アジア地域でのアフターサービスやユーザーサポート体制を強化する。既に、担当の人員も確保した。拠点としてはタイを中心に検討を進めている。

 さらに、IoTを活用したサービス体制の構築も模索。外部とも連携し、消耗品の交換時期が事前に分かるなどの機能の可能性を探る。同社は日本企業への販売を第一とし、次に海外の日系企業、その次に同社の機器を指名買いする海外企業にも対応している。

 同社は新商品の開発にも力を入れている。特に、省エネや節水といった切り口を重視。その中で、注目されているのがモデルチェンジしたばかりのガス毛焼機「サンジェット」だ。同機は従来機に比べ、ガス使用量をおよそ7%減少させることに成功。完全燃焼炎が均一かつ完全に毛羽を除去するなど、燃焼効率が高く、仕上がりも良好だ。同機にはニット仕様も用意している。テスト加工依頼も多く、「反応がいい」と手応えを得ている。

 また、新機種の販売だけでなく、既存導入機器の改良・改善提案にも積極的だ。販売先のニーズに合わせ、改良から新機種まで幅広く提案する。こうした決め細やかな対応を人員の4割をも占めるという技術陣が支える。

 同社はここ数年、二桁%増で業績を伸ばしてきたが、2017年4月期は少し落ち着いている。しかし、現在は再び受注が増えはじめており、来期は以前の増収ペースに戻りそうだ。

〈ニッセンケン/中国現地アパレルも開拓〉

 ニッセンケン品質評価センター(ニッセンケン)の駒田展大理事長は「中国アパレルはASEANシフトと国内強化の両方の戦略を進める。品質にも重点を置く企業が増えており、現地の中国アパレル開拓を進めていく」と語る。営業も内販チームと日本向けチームとに分けている。

 南通には3事業所(南通、崇川、南通人民路)を設けるが、「日本のアパレルの指定工場として業務は満杯の状況」にある。煙台の山東ニッセンケンは2月に移転先の開発区の工事に着手。内販と中国アパレルの北方シフトに対応する。上海事業所も順調だ。青島、大連、上海マート、紹興、張家港に支所を設け、如東検品センターもある。

 インドでは2014年にジャイプル事業所を開設し、デリー支所、チェンナイ支所も設けて、日本企業のインド進出をサポートする。「インドでも中国企業の進出が多くなってきた。日本向けに小ロット対応する企業もある」ようだ。試験ラインはJISとISO規格とで別にした。インド国内の展示会に出展するとともに、インドの産地情報を提供している。

 このほか、バングラデシュのダッカ事業所試験センター、ミャンマーではヤンゴン事業所が試験と検品を行う。カンボジアにはプノンペン検品センター、インドネシアにはソロ検品センターを置いて対応する。