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生地商社/苛烈なシェア争いの時代/「成長戦略は海外」で一致

2017年04月25日(Tue曜日) 午前10時53分

 「国内市場に伸びる要素はない」と生地商社トップは口をそろえる。成長戦略は完全に海外になる。ただ、国内市場に明るい要素が見当たらない中でもシェアアップを図ることは不可能ではない。日本は、国として初めて明確な縮小局面を迎えた。そして、国内市場向け生地販売は、苛烈なシェア争いの時代に突入する。

 「輸出拡大」「外需の取り込み」が生地商社の基本的な戦略だ。隣国中国ではアパレル製品の供給過剰が続いて流通在庫も増大、市場に一時期ほどの勢いはないものの、「中国はまだ伸ばせる」(スタイレムの酒向正之社長)というように、その奥行きに期待する声は依然多い。生地商社の多くが現地法人を構え、「インターテキスタイル上海」など展示会にも積極出展する現状、日本市場の停滞、縮小も相まって、同国市場への熱量は今後も増していくことが確実だ。

 欧米も同様で、「市場に元気さはない」との見解でほぼ一致するものの、欧州では実商売狙いと日本や中国市場への“シャワー効果”を狙った提案が繰り広げられており、米国向けも「数量が期待できる」(複数の生地商社トップ)ことから提案が加速していくものとみられる。

 問題は日本国内市場。少子高齢化に衣料消費不振の顕在化が重なり、閉塞感がかつてないほど強まっている。「展示会の集客も今がピークで今後は下り坂になっていく」との指摘もある。ただ、シェアの観点で見れば個別企業の拡大は可能だ。

 双日ファッションの長田峯雄社長は「手駒にないなら手駒を増やす」という営業スタイルへのシフトを進めるなどでシェア拡大に臨む考えを示す。スタイレムの酒向社長は「企画力と人の力が全ての基本」としながら、「二極化への対応」を磨くことで難局を乗り切る。4月に就任したばかりの柴屋の奥野雅明社長は「変えるべきところは変えていく」と社内体制や意識の変革を示唆しながら、「生き残るためには一定の規模感も必要」とし、現状の売上高20億円を当面30億円に引き上げることを目指す。

 澤村の清水民生社長は「あくなき開発の追求」を掲げるとともに、「変革」をテーマに「縮小均衡から拡大均衡へ」とかじを切っていく。コッカの岡田洋幸社長も「変革」を重視し、創業70期目を迎える来期に向けて変革への準備を進めている。一村産業の藤原篤社長は日本、中国、インドネシア、ベトナムの4極を有機的につなぐグローバルコンバーティングの推進でリードタイムを短縮し、国内外で生地販売拡大を狙う。

 市況悪化でも国内、海外ともに業績を拡大し続ける宇仁繊維の宇仁龍一社長は、大手アパレルブランドとの取引拡大戦略を掲げることで、伸び率が鈍化しつつある国内向け生地販売事業を再び活性化することを期す。

 戦略や意識に若干の違いはあるものの、国内市場向け生地販売が今後激しいシェア争いの時代に突入していくことは間違いなく、その勝敗が決する日もそう遠い未来ではないだろう。