メーカー別 繊維ニュース

PTJ2018春夏/有力各社のイチ押し素材と戦略

2017年05月08日(Mon曜日) 午前11時15分

〈宇仁繊維/「今回も全力投球で」〉

 宇仁繊維(大阪市中央区)は今回展でも「全力投球で臨む」(宇仁麻美子常務)とともに、「今の閉塞感を振り払うためにも生地を軸に業界が盛り上がっていってほしい」とPTJ全体の盛況を願う。

 18春夏のテーマを「ルーセント バルーン」に設定してほどよいハリ・コシ、軽量、透け感、微光沢、プリントなどの新作生地を披露するほか、「カラーも重要」として豊富なカラー生地の備蓄力も訴求する。

 モノ消費からコト消費への移行を意識しつつ、「衣料だけでなく衣料以外の顧客との出会いにも期待」する。

 子会社の丸増(京都市)も単独ブースを構えてプリントの意匠力を披露する。

〈コヤマインターナショナル/「日本の古布」がテーマ〉

 綿や麻など天然繊維使いを主力とするコヤマインターナショナル(大阪市中央区)は柱商品の一つで製品染めのような表情を持つ「パウダースノーウオッシュ加工」や生地染めのインディゴシリーズを訴求するほか、「日本の古布」をテーマにジャパンメードにこだわった逸品を出展する。

 新商品として投入する「備州炭染め」は、紀州備長炭を染料に加えた変わり種。10品番、グレー系2色で展開するほか、顔料を加えたカラーバージョンも用意する。古布シリーズとして岡山県で染めた「吉美の衣(きびのころも)」や、京都で染めた「都染め」なども取りそろえるとともに、備蓄力もアピールして新規顧客開拓を狙う。

〈カゲヤマ/輸出も視野に対応力アピール〉

 播州織産地の産元商社、カゲヤマ(兵庫県西脇市)は今回、平織りのラメ糸使いボーダー、切り替えパネル綿麻グレンチェックを前面に押し出す。ボーダーは裏が金、表が銀の特殊ラメ糸の撚りが生み出すランダムな光沢が特徴。綿麻グレンチェックではドビー組織でパネル調に切り替えた柄、緯糸に打ち込んだ麻のシャリ感をアピールする。

 同社は産地のほか中国など海外背景も持ち、備蓄、別注双方に対応する。前身のJC時代から継続出展し、約400品番を構える備蓄品、海外展積極参加で厚みを加えた企画力を武器に近年は輸出の伸びも目覚ましい。同展でも着分依頼への即応体制、別注対応力を改めて訴求。輸出拡大も狙う。

〈播/戦略素材はニット調織物〉

 播州織産地の産元商社、播(兵庫県西脇市)は9回目の出展となる。自社織布工場をバックに価格、小ロット、短納期対応力もアピールしてきた。

 今回の戦略素材はニット調織物「メッシュクロス」。変わり織りを縮ませたナチュラルストレッチに加え、イージーケア、通気・速乾性、形態安定性など機能性にも優れる同素材は、縫製上の取り回しもよく、布帛とニットの長所を兼備。太番手アウター素材から細番手高密度タイプまで約50品番がそろえ、婦人開拓にも取り組む。

 ラインアップ拡充中のシャトル織機による耳付き素材シリーズも出展。中でもロープインディゴ染めのビンテージ調セルビッチ素材では製品も提案する。

〈滋賀麻工業/麻軸に広く複合バリエーション〉

 湖東麻産地の機業、滋賀麻工業(滋賀県愛荘町)は洋装・和装から製品も手掛ける寝装まで広く麻素材を扱う。衣料向けは全てが自社企画生地で、綿麻のほか、経フィラメントの複合素材まで積極的な開発姿勢に定評がある。12年以来、春夏展に連続出展し、今回も多数の新作を披露する。今回の見どころは経キュプラに緯綿麻交織のカットジャカード。先染め、後染め双方で4柄を出展する。ほかにも、指定外繊維(竹)、キュプラ、ナイロン交織の平織り素材や、ランダムな縦シワ加工、シボ感あるちりめん調、経キュプラに緯和紙・リネン交織品など麻を軸に多様な独自素材がそろう。

〈大長/多彩な付加価値加工集める〉

 湖東麻産地の整理加工場、大長(滋賀県東近江市)は、着物向け加工以来の手仕事感を残す各種加工をベースに、綿や長繊維複合品まで加工品種拡張を続ける。4年前に東京で開き、独自加工を集めた自社展以来、生地商など既存先に加え、アパレルとの取り組みも増えた。初出展の今回も、絹羽二重への加工を麻楊柳素材に応用した「近江ちぢみ」のスレ防止加工、綿での採用も増える「近江晒」などオリジナル加工をパネルも交えて披露。ムーブ加工や細繊度レーヨン混対応も含めたアルカリ塩縮加工の多彩なバリエーションも展示。2月の「ミラノ・ウニカ」初出展以降、海外対応に加え国内小アパレル向けでも整備を始めた自販生地も紹介する。

〈麻絲商会/追随許さない麻素材の幅広さ〉

 湖東麻産地の産元商社、麻絲商会(滋賀県東近江市)は昨年、JC以来15年ぶりにPTJに出展した。この間も積極開発姿勢は変わらず、毎年素材マップを制作し提案。合繊複合品や独自開発糸も含む麻素材バリエーションは他になく、アパレルからのマップ貸出の要望も多い。前回展も100件超の見本依頼を得るなど反応は上々。2回目の今回も前回から人気の産地独自の水撚り加工糸で独特のシャリ感、落ち感を生むリネン100%品を新企画で披露する。国内紡績で糸を特注加工するビスコースストレッチ、ラミーストレッチ素材も引き続き訴求する。中白に先染めするルポワン染めや、産地加工場、大長とコラボした整理加工バリエーションも見どころだ。

〈古橋織布/シャトル織機の特徴訴求〉

 古橋織布(浜松市)は、所有するシャトル織機を生かした柔らかで膨らみ感のある生地を訴求する。

 同社はシャトル織機を20台所有。同織機は糸の断面をつぶさずに織れるため、糸と糸の間に空気を含みやすく、膨らみ感のある生地に仕上がる。より空気を取り込むため経糸開口部を改造して広げた。

 今展は、シャトル織機の特徴を生かしつつ、経糸に80単綿糸、緯糸に30単ネップ糸を使った綿100%の平織りや、同社で20年ほど前から織っている経・緯にスラブ糸を使った綿100%のローンを訴求。

 シャトル織機の風合いが残るように仕上げた。

〈山﨑テキスタイル/原料差別化やコラボ商品〉

 山﨑テキスタイル(浜松市)は、得意とする細番手、強撚糸、高密度を中心に、原料から差別化した生地や、加工場とのコラボレーション商品を訴求する。

 前回に続き東洋紡STCの「マスターシード」を使った商品を展示。海島綿とピマ綿の交配種でシルクのような光沢が特徴だ。生機で8品番をリスクして展開する。

 加工は浜松をはじめ、全国の6加工場とそれぞれコラボレーションした商品を提案。ビンテージ、洗い晒し風などを表現した、加工のバリエーションをアピールする。

 経糸に強撚綿糸を使い、緯糸にリネン、リヨセル、キュプラを使った異素材の交織生地も訴求する。

〈鈴木晒整理/新加工で着用ジワ軽減〉

 鈴木晒整理(浜松市)は、綿や麻製の衣料品着用時のシワを軽減する「クリーズケア加工」などの新加工技術を訴求する。

 綿、麻、レーヨンなどの織物を使った衣料品は着用時に動いたり、座ったりすることで発生するシワを防ぐことが難しかった。クリーズケア加工は特殊な加工技術によって、シワを軽減し目立ちにくくする。家庭洗濯を行っても、シワが付きにくく、回復しやすいW&W性や寸法安定性もある。

 綿100双ボイルにナチュラルストレッチ加工を加えた上で、表面を起毛し、裏面はボイルの涼感が特徴の「パフST加工」も展開する。

〈福田織物/細番手の高密度織物訴求〉

 福田織物(静岡県掛川市)は、細番手の糸を使った高密度織物などを生産し、他社ではまねできないようなモノ作りを追求する。

 140単という細番手綿糸を使ったブロードは圧倒的な軽さと薄さが特徴。世界一の織物を作ろうと、チャレンジし続けた、「究極の織物」という。約1年かけて開発したが、まだ試作品の段階で、今年はサイジングや織り方の工夫を加えるなどして、量産に向けた開発を行う。

 綿80単糸に撚り回数3000回という強撚を入れたローンも展示する。透明感がある上に、落ち感とシャリ感が特徴だ。

〈オフィスくに/感性とデザインを重視〉

 天然素材を中心に生地の企画・製造・販売をするオフィスくに(愛知県一宮市)は今回が初出展になる。感性とデザインを重視した独特な表情の素材を提案し、新規顧客の獲得を狙う。

 同社は2002年に設立。尾州産地を中心とした協力工場でメンズカジュアル地を製造する。こだわったモノ作りで、国内ではセレクトショップを中心に販売。ここ4年ほどは海外での取引も広がっている。

 今展では、経糸にリネン、緯糸にモヘアを使用したトロピカルや表がリネン、裏が綿のプレーティングニット、40単のラミー糸を使ったドビークロスなどを出品する。

〈ササキセルム/尾州のノウハウ生かす〉

 初出展のササキセルム(愛知県一宮市)は尾州産地で培ったモノ作りのノウハウを生かし、ボトム素材を中心とするストック販売に強みがある。今回展では化繊や合繊複合をメインに出品し、ストック販売に加えて、別注にも対応できる点をアピールする。

 イチ押し素材はポリエステル32%・綿27%・レーヨン20%・キュプラ繊維18%・スパンデックス3%から成るピンヘッド。

 2ウエーストレッチに加え、接触冷感性、防透け性なども付与する。もう一つはポリエステル90%・スパンデックス10%から成るトリコット。東レの機能糸を使いストレッチ性に加え防透け性、吸水速乾性もある。

〈久山染工/手捺染の技、加工ブランドめざす〉

 久山染工(京都市)は手友禅染めの伝統を受け継ぐ手捺染プリント工場だ。特殊加工を複雑な組み合わせる開発力と社内デザイナーも擁する企画力で、最新ファッション向けに独自性ある加工を毎回提案。JC時代から長く連続出展し、直接取引する各アパレルの信頼も厚い。今回は「標本植物」をテーマにボタニカル柄を中心に50~60点の新作を披露。その一つ「箔シュリンク4段スムース」は、ポリエステル100%のグランド生地を加工で縮め、同時にラメ調の植物柄を箔加工する高難度の加工。縮みによるグランドの凹凸感が柄に独特の立体感を与える。いずれも独自色の強い加工技術自体をブランド化し、世界への発信も今後の目標に据えている。

〈森菊/多重織りガーゼを展開〉

 森菊(愛知県蒲郡市)は、2重織りから6重織りまでの多彩な多重織りガーゼを提案する。「三河木綿」の代表的な織物としてアピールする。

 多重織りの中でも薄手の生地はパジャマやハンカチ、厚手の生地は寝装品やベビー衣料などとして展開。素材は綿100%が中心で、薬剤などを使わない後加工により肌に優しいことを訴求する。

 同社は10年ほど前から多重織りを製造しているが、認知度向上のため、昨年のPTJから多重織りをメインに出展した。今展でも同社のテキスタイル、インテリア、リビングなどの各部がそれぞれ多重織りを打ち出す。

〈ケイテー・テクシーノ/加工糸メインに提案〉

 ケイテー・テクシーノ(福井県勝山市)は今回展で、複合仮撚糸や撚糸など加工糸をメインに据えた提案を行う。テキスタイル展で糸に焦点を当てた展示は異例だが、同社は将来的に加工糸販売も検討しており、今回展を通じたプロモーションで出展者を含めて反応を探る。

 ブースではマイクロファイバーとストレッチ糸の組み合わせなど、これまでの蓄積技術から開発したさまざまな加工糸を先染めのチーズなどで出品し、この糸を使えばこうした生地になり、製品でも提供できる点を訴求する。

 同社はマザーブランド「カンティアン」で、糸加工から一貫開発のテキスタイルの自販も行う。

〈丸井織物/こだわり抜いた品質訴求〉

 丸井織物(石川県中能登町)は、使う人が“心地よい”と感じる織物を「NOTO QUALITY(ノト・クオリティー)の自社ブランドで提案する。ノト・クオリティーは約80年の歴史を持つ同社が重視する品質に、細部までこだわり抜いて作り上げたもの。「合繊の特徴を生かし、ちょっとした変化が体感できる素材」として打ち出す。さらにノト・クオリティーのコンセプトを基に、多層化した「かさねがさね」も提案する。

 IoTを実践する企業である同社は、来場者が目で分かる素材提案として動画を流すほか、出展する生地の卸販売サイト「テキスタイルモール」のPRも行う。

〈福井経編興業/アコーディオン形状で〉

 福井経編興業(福井市)は面ファスナー用のナイロン100%トリコット、ポリエステル100%使いのダブルラッセルで、アコーディオンのような形状を持つ特殊生地を打ち出す。

 面ファスナー用トリコットはメス用。全てのオスに対応できるもの。アコーディオン状のダブルラッセルはファッションショーなどのオブジェやアクセサリーにも採用されているという。

 今回展ではその他、アパレルなどに採用された婦人服や自社での試作品も展示する。

 同社は日本最大級のトリコット生産を誇る一方、今回出品するような特殊な開発力、高品質に定評がある。

〈第一織物/高密度でソフト、麻調も〉

 第一織物(福井県坂井市)はナイロン100%タフタ「DKT1300」(キューブテックス)、ポリエステル100%タフタ「DA2080V3」(ディクロス エアロ)などを出品する。また、同社生地による縫製品も展示し、縫製品対応が可能な点もアピールする。

 キューブテックスは超高密度織物ながら、柔らかく“シャカシャカ”音がしにくいのが特徴。ディクロス エアロは麻ライクで、見た目の肉感よりも軽さを感じるという。

 同社はダウンウエア向け高密度織物のイメージが強いが、春夏にも適した天然素材ライク、婦人服向けのソフトな生地をそろえることで、新規顧客の開拓を目指す。

〈八田経編/蜂巣や天然繊維調が押し〉

 八田経編(福井県鯖江市)は衣料から資材まで幅広い分野にトリコット、ダブルラッセルを製造販売する。

 今回展ではポリエステル100%使いダブルラッセルで、蜂の巣調組織を表現したものやセンターカットベロアなどを出品する。

 開発用試作機を生かした少量からのモノ作りも訴える。

 蜂の巣調は接結部分に機能糸を使用し、程よいストレッチ性、ソフトな風合いが特徴。センターカットベロアはダブルラッセルを半裁したもので、シック&シン糸を使用し、加工時の染ムラで天然繊維調に見せる。

 今回展では商談の中で開発ヒントや経編みの可能性を見出したい考え。

〈サンコロナ小田/「ミストロン」大々的に〉

 サンコロナ小田(大阪市中央区)は前身のJC時代から出展を続けるが、以前はブライダル、カラーフォーマル向けの提案を行っていた。ファッション向けに大きくかじを切ったのが3年前。今回のPTJを「勝負の回」(小田外喜夫社長)と位置付け、大口獲得を狙い提案に熱を込める。

 今回、出展の軸となるのは独自開発したポリエステル割繊糸「ミストロン」のバリエーションで、特別展示コーナーを設けて大々的に披露する。

 3回の出展を数えたパリ「プルミエール・ヴィジョン・ファブリック」でフォーラムや「PVアワード」にノミネートされた生地を展示し、“シャワー効果”も狙う。