メーカー別 繊維ニュース

宇仁繊維の強みはメーカー機能にあり!!/18期連続増収/支えるメード・イン・ジャパン戦略/メーカーとして生きる!!

2017年06月06日(Tue曜日) 午後4時6分

〈社長 宇仁 龍一 氏/“工業的発想”を追求〉

 「機械を守るために提案し、販売する」。この考え方が当社の基本的な理念です。機械を効率的に動かすためには一定の数量が必要です。例えば織機では経糸を頻繁に架け替えていては手間と労力がかかるばかりで、当社が追求する「国産でも安い」を実現することもできません。機械を効率的に動かし、作ったものを売る。これが、私が重視する“工業的発想”であり、それを実現するのがメーカー機能です。

 お客さまのニーズに応えるための“工業的発想”を大事にしています。同時に、売れるものを作るという観点も重要です。作ったものが売れ残るようでは工場の機械はいずれ止まってしまいます。アパレルなどの顧客が何を求めているのか、消費者はどんな服を探しているのかを察知して一緒になって考え、それを作ることが大事です。

 例えば、石川県の織布工場、泰生で単品量産体制を敷いて効率化を追求し、それを同県の染色加工場、トーカイケミカルで染色したり、京都府の美研繊維でプリントしたりすることで表情を多彩に変化させます。これが、当社の生地が「国産でも安い」という評価につながっている理由であり、多品種体制を支えるメーカー機能です。その生地を京都府の中央倉庫を通してカット見本から即納できるシステムを構築したことで、小ロット、短納期というサービス機能が可能になりました。これらに加えて、一昨年秋から取り組みを開始した兵庫県の藤井福織布の綿織物や、今年になって子会社化したオザキプリーツが多品種化に寄与します。

 また、当社グループは歴史のある京都の生地商社、丸増とウインザーを迎え入れました。両社の強みである企画力や意匠力に、宇仁繊維の販売力や生産背景を融合できればもっと面白いことができるのではないかと期待しています。

 当社は現在、「深掘り36ブランド推進委員会」と題したプロジェクトチームを立ち上げるなどアパレルブランドとの取引深耕戦略を掲げ、業績拡大を目指しています。これまで当社はカット見本から生地を即納するなど、展示会などで出会う不特定多数の幅広い顧客に対応することで業績を拡大してきました。この戦略は今後も変わりませんが、大手ブランドとの取引を拡大することを加えます。

 大手ブランドのメイン生地として採用されれば納入ロットも大きくなります。その際、交渉によって生地単価が下がることもありますが、ロットが大きくなっているため生産効率は逆に良くなり、コストダウンにつながります。

 単品量産体制を敷いて効率的にベースクロスを絞り込み、後加工やプリントで多品種化を実現するという当社のメーカー機能が発揮されることになります。

 当社のサービス機能の全ては、メーカー機能を持つからこそ実現するものです。これからもこの姿勢を貫き、その結果として日本の繊維・ファッション業界が少しでも活気づいてくれればうれしいですね。

〈常務 宇仁 麻美子 氏/生地で業界元気にしたい〉

 最近特に重視しているのは、自家工場や協力工場にできるだけ足を運ぶようにしていることです。

 社員と一緒に行くこともあれば、販売先であるデザイナーさんと行くこともあります。私も含めて社員がモノ作りの現場を見て、職人さんたちと話すことで知ること、見えてくることは本当に貴重です。また、デザイナーさんにモノ作りの現場を知ってもらうことで新たな発想が生まれる可能性がありますし、取引を継続的、かつスムーズに行うためにも大切なことだと感じています。

 百貨店を中心に、日本のファッション業界は今、元気がありません。アパレルの多くも、何を作っていいのか、迷いがあるように思います。それを解消する立場にいるのが当社であり、アパレルや業界の迷いを振り払うような提案をこれまで以上にしなくてはいけないと感じています。

 製品OEMビジネスが主流になったことで、生地を見てから製品を作るという文化が薄れてしまっていることが残念です。生地には本来、ファッション産業を引っ張る力があるはず。当社の規模であまり大きなことは言えませんが、川中・生地業界が軸になって日本のファッション産業全体を盛り上げることができれば、それは本当に素晴らしいことだと思います。

〈88台の高速ドビー織機がフル稼働/泰生/石川県羽咋市千里浜町ハ136-1〉

 石川県の合繊織布工場、泰生は昨年3月、本社工場を中能登町から羽咋市に移転した。旧工場の中能登町からウオータージェット(WJ)織機55台を移設した上で22台を新たに敷設、その後も増設を実施し、現有織機体制は88台にまで拡大した。織機は全て津田駒工業製。そのうち5台は宇仁繊維が購入して同社に敷設したもので、100%宇仁繊維向け。他の織機も宇仁繊維向けが多く、宇仁繊維のメード・イン・ジャパン戦略の根幹を成す織布工場として操業を続けている。

 移転と同時に、これまでは外注だった撚糸機やドローイング機も新規導入した。

 泰生と宇仁繊維との関係は長く深い。宇仁繊維が誇る小ロット、短納期機能は、泰生の織機が安定稼働を続け、高品質を維持しているからこそ実現するものであり、泰生で織るベースクロスを幾つかに絞り込んで量産体制を敷き、そこに後加工やプリントを施すことで多品種化や低価格を実現する。「当社はメーカー」と言い切る宇仁龍一社長の考えにいち早く呼応し、それを形にした織布工場が、泰生だ。

〈西脇に最新ジャカード織機/藤井福織布/兵庫県西脇市西脇82〉

 播州織産地の織布工場、藤井福織布は、現有設備である津田駒工業製エアジェット(AJ)織機4台、津田駒工業製レピア織機3台、イテマウィービング製レピア織機2台のうち、AJ織機2台とレピア織機2台を宇仁繊維専用機として動かしている。この4台は一昨年9月に導入した織機で、その購入費用を宇仁繊維が受け持った。織機は全てジャカード搭載。

 宇仁繊維の主力素材は圧倒的に合繊織物。業容拡大、取引先の増加、輸出拡大などを背景に多品種化、素材のバリエーション拡大という戦略が打ち出され、国産綿織物の生産場として、創業70年を超える藤井福織布に白羽の矢が立った。

 現状は宇仁繊維の主要販路であるレディース向けの生地企画が先行しているが、宇仁繊維は近年、人員増なども実施しながらメンズ向け拡大にトライしており、同戦略をモノ作りの面でサポートするのが藤井福織布だ。

 現在は後染めが企画の軸になっているが、産地の特色でもある先染め糸使いの企画も増強していく方向性で、その実現に向けて宇仁繊維と密な打ち合わせを続けている。

〈プリーツで生地変える/オザキプリーツ/福岡市中央区桜坂2-9-17〉

 宇仁繊維は今年になって、以前から取引関係のあった九州・福岡県のプリーツ加工業、オザキプリーツを完全子会社化した。伴って、生地にプリーツ加工を施した「プリーツテキスタイル」の拡販に本腰を入れる。

 オザキプリーツは天然繊維へのプリーツ加工手法などで特許も取得する老舗プリーツ加工業。技術力が高く評価され、国内大手アパレルのほとんどと取引実績があるほか、自社ブランド展開にも力を入れてきた。

 通常、プリーツ加工は最終製品を縫製する前後の工程で行われることが多く、生地に加工を施し、それをそのまま販売するケースは少ない。宇仁繊維が目を付けたのはこの部分で、同社の豊富な備蓄生地にさまざまなプリーツ加工で表情を与え、それを少量から販売するというビジネスモデルの構築に着手した。

 宇仁繊維の基本戦略である「国産でも安く」という点も追求、市場ニーズと合わせ「ヒットするはず」と宇仁龍一社長も自信を示す。袖や襟回りなどの部分使いを軸に「買いやすさ」をアピールしながら「プリーツテキスタイル」として拡販に臨む。

〈きめ細やかな管理で即出荷/中央倉庫/京都市伏見区横大路朱雀1(城南営業所)〉

 京都を本拠に近畿、北陸、中国地方などに倉庫を展開する中央倉庫。以前から生地など繊維品の取り扱いが多かったが、生産地の海外シフトや産地の縮小などによりその規模は徐々に縮小していた。そこに突如現れたのが、宇仁繊維だった。

 宇仁繊維の生地を数多く保管する同社城南営業所は「宇仁繊維の多品種、小ロット、短納期の考え方には驚かされた」と出会いを振り返る。以前は周辺の染色加工場で加工された生地などを保管し、オーダーがあると出荷していたが、その量は宇仁繊維とは全く違った。多品種を少量から即納するという宇仁繊維の考え方を実現するために工夫を重ね、倉庫業としてそれを実現してきた。

 備蓄する生地のデータを双方向で逐次共有するなど効率的な出荷体制を構築。オーダー件数は1日当たり2000件を超え、多いときは2500件に達するが、両社が知恵を出し合って構築してきたシステムがその対応を可能にした。

 城南営業所の繊維品比率は現在約半分で、そのうち8~9割を宇仁繊維が占める。今後も即納機能やロス低減をさらに追求していく。

〈「Kyo Print」の捺染工場/美研繊維/京都市南区上鳥羽塔ノ森下河原22〉

 オートスクリーン捺染機、ロール捺染機、インクジェット捺染機を保有する美研繊維の加工数量の35~40%は宇仁繊維が占める。資本関係や設備の貸与はないものの、両社の関係性は深い。

 美研繊維のモットーは、独自性の追求にある。他社にはできない、開発途上国がまねできない染色方法の開発に余念がなく、設備の独自改良やのり剤メーカーと一体となった前処理工程からの差別化研究などを長年続けている。

 オートスクリーン捺染機は「どこにでもある機械」であることから差別化は難しいが、ロール捺染機は今や日本でも希少な設備で、同社、および宇仁繊維の独自性発揮を下支えする存在となっている。宇仁繊維が得意とする小紋柄や水玉柄、ストライプ柄も同機で加工している。

 加えて2014年に2台導入したインクジェットプリンターによるデジタルプリント事業も軌道に乗る。ここでも宇仁繊維向けを数多く染めているが、のり剤の工夫によって生地裏面にまでインクが浸透したデジタルプリントが活躍中。好調を受け、近い将来の増設も計画しており、専属デザイナーらのソフト面を含め、「宇仁繊維と一緒に」同事業の拡大に力を注いでいく。

〈世界一の染色スピード/トーカイケミカル/石川県白山市湊町丙16-1〉

 北陸産地の染色加工場、トーカイケミカルはベースクロスを絞り込み、後加工で生地の表情を変えるという宇仁繊維の基本戦略の一端を担っている。

 同社が染めた生地の出荷先の80%以上を宇仁繊維が占め、保有株式の約20%も宇仁繊維という密接な関係がある。さらに一昨年には染色機などの設備を宇仁繊維が購入し、同社へ敷設した。

 現在の設備は液流染色機10台、乾燥機1台、テンター1台、スカッチャー1台、開反機3台、検反機5台。このうち液流染色機2台と開反機1台は一昨年秋に増設したもので、液流染色機のうち1台を宇仁繊維が購入した。同じタイミングで乾燥機1台とテンター1台を従来比約2倍の能力のものに入れ替えたが、この購入費用も宇仁繊維が負担した。

 同社と宇仁繊維との取引は宇仁繊維が創業したときからで年々その関係は深まっている。同社の強みは4メートルからの染めが可能という小ロット対応と短納期。顧客からの細かな要望や納期要求、色合わせに対しても、国産ならではのスピード感と品質力で対応している。