AAP/現地情報や課題発信/アジア生産でシンポジウム

2017年07月14日(金曜日) 午前11時14分

 アジア・アパレルものづくりネットワーク(AAP)は12日、東京都港区のメルパルク東京で、設立7周年を記念し「アジアのアパレル生産新時代を担う」をテーマに、シンポジウムを開いた。AAP会員のアジアに広がった生産の現状を紹介するとともに、各国の課題や展望を発表。縫製工場の情報交換会から外部への発信を試みるAAPの第1弾イベントとなった。

 第1部では、日本貿易振興機構(ジェトロ)の小林恵介海外調査部アジア太平洋課課長代理が「チャイナ・プラスワンの現状とこれから」と題して基調講演した。アセアン経済共同体(AEC)が2015年末に発足して「域内の関税はほぼなくなった」と報告。しかし、域内貿易量はほぼ変わらず、域内輸入はむしろ低下した。中国からの輸出・輸入が増大し、中国依存度が鮮明になった。

 チャイナ・プラス・ワンでは、ベトナムへの関心が高い。ベトナムの繊維産業は、繊維原料を中国中心に東アジアから輸入し、衣類は米国(14年で約98億ドル)を中心に日本(約24億ドル)、韓国(約20億ドル)などに輸出する。繊維原料が現地生産化され、輸出も増加している。

 欧州連合(EU)・ベトナム自由貿易協定(EVFTA)は合意され、各国で批准手続きが始まっている。「発効されれば、繊維製品は42%が即時撤廃、残りは7年で撤廃」となり、「ベトナムにとってメリットは大きい」とみる。

 諸手当や社会保障費、残業代を含めた年間実負担額はインドネシア5131ドル、フィリピン4056ドル、ベトナム4025ドル、インド3721ドル、カンボジア2376ドル、ラオス2325ドル、ミャンマー2167ドル、バングラデシュ2042ドルと紹介した。

 第2部では共通質問にAAP会員企業が答える形をとった。工場を取り巻く環境変化では「ベトナムの最低賃金は11年の月50ドルが今は114ドルに。周囲に工場ができ、託児所を設けるなど人集めに工夫を凝らす」(湯峰ソーイング)。

 「ラオスの最低賃金は11年の月70ドルから90ドルに上昇。人口が700万人なので人が集まらない。受注は郊外型専門店や量販店から切れ間なくある。生産性は中国の7割くらい」(サンテイ)。カンボジアは「月41ドルの最低賃金が153ドルになった。12年ごろは人が集まらなかったが、今は口コミで集まる。受注量も増加、中国の7~8割の生産性」(ロックス)なった。

 インドネシアは「13年の月額最低賃金90ドルが139ドルに上昇。人は募集すると多く集まりすぎて困るくらい。生産性は中国の7~8割」(サンエヌ)という。ミャンマーでは「ドル換算で一般業務に97ドル、幹部には202ドル支払う。労働力はあるがその質の低下を懸念。生産性は中国と比べ6割くらい」(小島衣料)だ。

 バングラデシュは「給与は月117ドル。定着率は高い。労働力も選べる環境が続く。当初は量販店向けが多かったが、婦人服OEMや専門店の受注が増えている。生産性は中国の8割くらい」(丸久)。課題として労働力が豊富でも、幹部人材不足が複数指摘され、各社とも閑散期対策に苦慮している。