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「ミラノ・ウニカ2018秋冬」/活発な商談目立つ2日目/日本勢 変化のある素材好評

2017年07月14日(Fri曜日) 午前11時20分

 【ミラノ=桃井直人】「ミラノ・ウニカ(MU)2018秋冬」の2日目となる12日の日本コーナー「ザ・ジャパン・オブザーバトリー」(JOB)は、午前中から客足が伸びた。「昨日よりも多くの商談ができた」とする企業が多く、各社のブースではカットジャカードなど表面に変化を持たせた素材に手を伸ばす買い付け担当者らの姿が目立った。

 午前中の早い段階からブースへの訪問があったと話すのがスタイレム。「商談は昨日と比べて1・5倍の数になり、例年の数字よりも多かった」と言う。デザインハウス風も商談の数が増えたとし、「(販路開拓へ)一歩一歩着実に前へ進んでいきたい」と語る。

 山梨県絹人繊織物工業組合内の前田源商店は、実際に注文が入るなど「今日の商談は中身が充実していた」とし、八木通商のブースにはリピーターを含めて、「商売に結び付く“来てほしい”顧客」が訪れた。各ブースで熱心な商談風景を見ることができた。

 初日と2日目は、カットジャカードをはじめとする生地の表情にこだわった素材が注目された。山梨県絹人繊織物工業組合内の宮下織物が提案したのは糸がフリンジ状に飛び出しているカットジャカードで、メンズとレディースの両方で好評を博したという。

 宇仁繊維は、綿を使った先染めのカットジャカードやレースにカレンダー加工を施して光沢感を付与した素材などが好評を博した。小林当織物も杢使いのカットジャカードがレディースとメンズを問わず人気を集めたが、表面感に加えて、「軽さや肉感が受け入れられたのでは」と分析している。

 生地の表情や質感にこだわったものでは、古橋織布が80番単糸の高級綿を使った高密度織物をシャツ地として提案した。緯糸に特殊な糸(ウールを芯に綿でカバリング)を使用し、収縮率の差から生まれる独特の凹凸感を表現した。そのほか、緯糸に30番単糸のモップ糸を用いたタイプも並べた。

 会期が従来の9月から7月に変更され、集客などが懸念されていた今回のMUだが、2日目の動きは商談の数と内容ともに比較的良好だったようだ。畑岡は「開催時期が変わっても魅力のある素材を提案すれば顧客は足を運んでくれるはず。来場者数の多い少ないを論じても仕方がない」と言う。

〈福田織物/新しいコーデュロイ披露/多彩なデザイン表現〉

 【ミラノ=桃井直人】静岡県掛川市の福田織物は「ミラノ・ウニカ(MU)2018秋冬」で、遠州織物を代表する生地であるコーデュロイの“進化系”を提案した。「BECCO(ベコ)」と名付けられたその生地は、経畝が並ぶ従来のコーデュロイとは異なり、多彩なデザイン表現が可能。

 “ベコ”はベルベットとコーデュロイの頭文字を合わせたもの。福田靖代表は「30年前は産地で普通に使われていた言葉だが、今では聞く機会が少なくなってきた」とし、「遠州産コーデュロイを守りたいとの思いからBECCOをアピールしている。MUでも継続提案しており、徐々に浸透してきた」と話す。

 一般的なコーデュロイはストライプだが、ドビーやジャカードの応用によって表面に多様な変化をつける。現在はコーヒー豆や花壇、木の幹、小人の足跡などの柄をそろえるが、「長年にわたって培ってきた技術力とテキスタイルデザイナーの発想力の融合から生まれた」(福田代表)としている。

 今回のMUでは杢調のストレッチタイプや抜染プリントなどを新たに打ち出した。メンズだけでは広がりに限りがあることからレディースにも訴求する考えで、目付の30~40%軽量化と柔らかさを加味しながら、パイル保持率の維持にも成功している。

 国内では販売実績も出ているが、海外はこれから本格開拓を図る。ファッション衣料用途はもちろん、バッグ類やシューズ、インテリアなど用途の拡大にも取り組む。

〈齋栄織物/海外への生地販売順調/MU通じ欧州市場開拓〉

 【ミラノ=桃井直人】齋栄織物(福島県川俣町)は、海外市場への生地販売の拡大を図っている。これまで輸出は全体の約30%で推移してきたが、2017年に入って米国からの大口発注を獲得するなど順調な推移を見せる。欧州にも攻勢をかけたいとしており、「ミラノ・ウニカ」(MU)などの展示会への出展を軸に開拓を進める。

 同社の輸出比率は、米国から大きな注文を得たことで一気に向上する見通しになっているが、齋藤栄太常務は「一過性のものであり、比率はすぐに戻る」と冷静に受け止める。このため、輸出比率を35~40%に高めるという目標は維持する方針で、今後は米国だけでなく欧州市場への提案にも力を入れる。

 欧州では18春夏でフランスのトップブランド向けの素材(薄手のシルク)販売が決定したが、今回の「MU2018秋冬」でも早々にイタリアのレディースアパレルから着分依頼を得た。引き合いがあったのはシルクに塩縮加工を施した素材で、立体的な生地表面などが評価された。

 そのほかMUでは、薄手のシルク生地にカッティング加工とプリントを施して意匠性や付加価値を付与したものなどを打ち出した。メンズが中心のMUだが、同社ブースにはレディースアパレルの姿も目立ち、ファッション小物なども含めて幅広い用途への訴求に重点を置いた。

 齋藤常務は「日本と欧州連合との経済連携協定は輸出拡大を後押しする可能性がある」とし、「うまく利用すれば好機になる。早い段階で輸出比率の目標を達成したい」と強調する。