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特集 2017夏季総合(10)/新市場開拓に挑む検査機関

2017年07月25日(Tue曜日) 午後1時49分

 繊維系検査機関は、新たな市場開拓に挑んでいる。試験対象は衣料向けだけでなく、産業資材や生活用品などに拡大する。また、国内だけでなく、顧客の海外市場への動きにも対応して、新たな拠点を設ける。

〈カケン/「CTC+」を開発/吸放湿性を高精度に測定〉

 カケンテストセンター(カケン)は、物質の吸放湿特性を高精度で簡便に測定できる装置「CTC+」を開発した。衣料素材の吸放湿のスピードを精密に測定するだけでなく、寝装寝具材料、壁紙などの建築材料、フィルム類にも適用できる。

 「少子高齢化、人口減などで国内消費市場は縮小する。今後は海外市場への挑戦が加速し、日本が得意とする各種機能性繊維を訴求する動きが一層高まる」と、カケン。こうした方向を支援すべくカケンは、機能性繊維の特性を評価測定する試験方法や装置を開発する。その一つがCTC+。

 人体から出る汗や湿気は、蒸れやべとつきなど不快感の原因となる。衣服内の湿気を吸収し、放散する機能は、着用時の快適性につながる。生地がどれだけ湿気を吸収しやすいか、吸収した湿気をどれだけ放散しやすいかを評価する吸放湿性試験は既にある。

 CTC+の特徴は「吸放湿の量ではなく、吸放湿のスピードを精密に測定可能なこと」。衣服内の温湿度環境は刻々と変化する。これに素早く応答して吸放湿する素材が、究極の快適性につながるという考え方に基づいて、新たに開発した装置だ。

 さまざまな温湿度環境下で、電子天秤(てんびん)で水分含有量を経時測定する。石英スプリングや磁気吊下天秤を用いた大掛かり、高額な装置を使う従来の重量法測定方式や、環境試験機と秤量瓶を用いる含水率測定方法と比べ、構成や測定手順がシンプルで、精度よく測定が可能。

 設定できる温度範囲はマイナス10℃から80℃まで、湿度は0%RH~95%RHまでで、温湿度領域は従来比3倍ほど拡大した。30分刻みといった短期間の応答性も得られる。天秤分解能は0・1ミリグラムと、微小な重量変化も測定できる。

〈QTEC/羽毛で主導的役割担う/グローバルな支援体制も〉

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)は羽毛原料のトレーサビリティー(追跡可能性)に関する「ダウンパス」のシステムに参画し、日本でのトレーサビリティー監査機関として主導的役割を担う。

 このダウンパス規格2017年版では、従来の生体からの羽毛採取禁止に加え、強制給餌も禁止され、飼育環境までトレーサビリティー開始点をさかのぼることが必須となった。ダウンパスラベルのデザインも刷新された。海外羽毛産地での監査業務の拡大と充実を目的に、世界を代表する羽毛試験監査機関であるIDFLとも業務提携した。

 グローバル化も推進する。中国では上海総合試験センターが一般試験のほか抗菌性試験なども行う。青島、無錫、深¥文字(U+5733)にも試験センターを設け、南通では南通浩達紡織品検測と提携して試験を実施し、近々子会社化する予定。海外試験センターには日本国内営業担当を置き、現地と日本とで相互にフォローする体制を組んでいる。

 チャイナ・プラス・ワンではダッカ試験センターとベトナム試験センターを有する。昨年11月にはインド繊維省傘下の繊維委員会と「日本市場向け繊維製品の適合性評価に対応するためのインド製品の品質向上に関するMOU」を結んだ。

 この覚書に基づき、この5月にはインド9都市のラボを訪問し、日本市場向け繊維製品に関するコンプライアンスなどについてセミナーを行い、日本向け品質基準を指導する。パキスタンではJICA(国際協力機構)の要請で縫製から輸出販売まで、現地職業訓練校の教師指導も実施する。

 QTEC認証工場(縫製工場、検品工場)制度も世界的に展開。東南アジアでの出張検品にも対応し、試験を含めトータル支援サービスを行う。

〈ニッセンケン/9月にベトナム拠点稼働/インドは4拠点体制〉

 ニッセンケン品質評価センター(ニッセンケン)は9月にベトナムでホーチミン事業所を稼働させる。市内にホーチミン営業所を置き、試験センターは市内から車で40分ほどの所に設置。面積は1000平方メートルで、日本人2人を含め20人体制でスタートする。一般試験から始め、随時試験内容を増やしていく。

 「ベトナムは日本企業の進出が多く、現地での素材調達も増えている。輸出時の税制優遇もあり、最近ではシンガポールや台湾企業も進出する。日本企業が要求する試験に対応し、欧米規格にも応じられる事業所にしていく」。

 インドでは2014年にジャイプル事業所を開設し、デリー支所、チェンナイ支所も設けて、日本企業のインド進出をサポートする。新たにパニーパット支所も開設し、4拠点となった。インドで唯一の日系繊維検査機関として、試験業務だけでなく、インドの産地情報など各種情報を発信する。

 インド関連の展示会にも出展する。7月中旬には香港で開かれた「香港ファッションウィーク」に出展し、インドの拠点やバングラデシュのダッカ事業所試験センターなどを紹介。国内でも大阪で7月中旬に開催された「第38回インド衣料品展・第28回インド家庭用品展」に、ジャイプル事業所として出展した。会場では試験業務だけでなく、インドの信頼できる縫製工場や染色工場の紹介などトータルな生産の相談も受けた。

 国内の立石ラボは蛍光測色、CADによる面積測定から再帰性反射性能測定まで、JIS T 8127の試験に全て対応できる体制を整えており、高視認性安全服のデザインのアドバイスなどの相談にも応じる。エコテックス事業で培った化学分析技術を生かし、ニッセンケンは食品や化粧品分野の試験も視野に入れる。