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安定操業事例が目立つ/加工品種の見直しなどで/綿紡績会社の染色加工場

2017年08月02日(Wed曜日) 午後4時2分

 操業をいかに安定させるか。染色加工場を持つ綿紡績会社にとってそれが、近年の最大の課題だった。その課題に一定の方向性を見出した会社が目立ち始めた。(伊窪稔幸)

 クラボウが、大阪府枚方市にあった染色加工場を徳島県阿南市に新設・移転する計画を立案したのはバブル景気真っただ中だった。バブル崩壊を受けて計画を見直しはしたものの、新設を実行。現時点でも日本最新の連続式染色加工場、徳島工場が1996年に竣工(しゅんこう)した。

 もちろん、同工場への転勤を敬遠する作業員も少なくなかった。結果、ベテランが減り、新規採用の作業員が増える。これによる生産性の低下を補うために加工受託料金を上げたこともあり、操業開始後3年間は受注減に苦しんだ。

 液体アンモニア加工機を導入し、形態安定を売りにしたパンツの加工を開始したことで、4年目からようやく注文が増え始めた。以来現在まで、「黒字を確保し続けている」(平田政弘執行役員)。月産能力は230万メートルで、この4、5年はフル稼働が続いている。かつては7~9月に操業度が落ちる傾向があったが、今はそれもない。計画生産型の顧客と引き付け発注型の顧客の注文が良いバランスで入るためだという。現在、能力の60%をカジュアル衣料素材、30%をワーキングウエア素材の加工に割いているという。

 東洋紡は99年に、紡績設備の大幅削減を行った。この削減策の一環で、それまで紡織加工一貫工場だった庄川工場(富山県射水市)は、紡績部門を休止。紡織工場だった入善工場(同県入善町)の織布部門が庄川工場へ統合され、庄川工場は、織布・染色工場となった。

 庄川工場の染色加工部門の月産能力は120万メートル。現在、フル稼働が続いている。それまで減少傾向で推移していた人員も、「2014年以降減っていない」(吉川雅敏富山事業所長)。以前は、中東の民族衣装であるトーブ、ユニフォーム、シャツ、カジュアルなどの衣料素材のみを加工していたが、衛生材料など非衣料用途の織物の加工が増えたからだ。00年から徐々に、非衣料用途向けを増やしてきたという。

 シキボウの染色加工などを担う子会社、シキボウ江南(愛知県江南市)にも苦しい時期があった。得意としていたシャツ地の生産拠点が海外に移り、その加工が減少。補うためにカジュアル衣料素材の染色加工を強化するが、その取り扱いに不慣れだったことに加え、流行の変化にも翻弄され、操業が不安定化した。このため10年以降、ユニフォームとトーブ素材を中心に加工する方針に転換する。この転換が奏功する。同社の連続染色加工能力は月間150万メートル。「4、5年前からフル稼働状態になった」(尾﨑友寿社長)

 ここまでの3工場は自社および自社グループの染色加工拠点として操業を安定させたが、フジボウテキスタイルの和歌山工場(和歌山市)は、グループ外からの受託でそれを果たしている。同工場が染色加工している生地の80%は、フジボウグループ外からの受託による。同工場は、織物のプリントも受託していたが、2007年にプリント工場を休止。丸編み地の無地染めに特化した。7~9月が同工場の閑散期となるが、それ以外の月はフル稼働を続けてきた。