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トーブ地輸出が減少/メーカーはどう対応する

2017年08月04日(Fri曜日) 午前11時38分

 中東の男性民族衣装であるトーブ用生地の日本からの輸出は、2016年度まで好調だったが、今年度に入り減少している。原油価格の低位安定などによる中東の景気低迷の影響が、表面化したためだとみられる。この逆風下で、トーブ地メーカーはどう動こうとしているのか。高級ゾーンを得意とするメーカーに聞いた。

〈東洋紡STC/独自生地の提案強める/品質堅持しコスト削減も〉

 東洋紡STCは、「東洋紡品質を維持しつつコストダウンに努める」(祝勝弘取締役)とともに、同社にしか作れない生地の提案に一段と力を入れる。

 同社のトーブ地売上高は2015年度に過去最高を記録し、16年度もその規模を維持した。しかし今年度上半期(4~9月)は、減収を余儀なくされる見込み。ただ、紡織段階を中心とするコストダウンにより、利益は維持する方針だという。

 下半期は、ソフトでシワになりにくいことに加え、安さを求める傾向が一段と強まると予想する。価格競争の主戦場になるボリュームゾーンの生地に力を入れるつもりはないとしながらも、それを同社に求める顧客の要望に対応するために、可能な範囲でコストダウンに努める。

 ただ、「東洋紡品質」を堅持するため、コストダウンにはおのずと限界がある。このため、「ロイヤルミックス」に代表される同社ならではのトーブ地の提案に一段と力を入れる。

 ロイヤルミックスは、長繊維と短繊維を複合する同社独自の技術である「マナード」で作った糸を用いたトーブ地。サウジアラビアやドバイを中心とする中東でトップブランドとして認知されているという。

 サウジアラビアではポリエステルの長繊維と短繊維の複合糸を用いたロイヤルミックスが好評。ドバイでは、ポリエステルとレーヨン短繊維にポリエステル長繊維を絡めた「スーパーロザンナ」が人気だったが、同国でのトレンドの変化に対応し、それよりも柔らかいドバイ用ロイヤルミックスを投入。こちらも好評を得ているという。

〈シキボウ/知名度生かし周辺商材/アクセサリー素材強化〉

 シキボウは、トーブ地の販売で築いた中東での認知度の高さを生かし、アクセサリー素材や肌着の中東向け販売を強化する。

 同社のトーブ地輸出は2015年までの3年間拡大し続け、16年度も前年並みの実績を残した。しかし今年度に入って減少。上半期(4~9月)は減収を余儀なくされる見込み。逆風を受けて、トーブ地の主力ブランドであるポリエステル・モダール混の「セルグリーン」のブラッシュアップなどを図ると同時に、周辺商品の提案にも注力する。

 同社トーブ地は、特にカタールやクウェートで人気があり、両国では「トップブランドとして認知されている」(井口勝雄輸出衣料課長)。この知名度を生かし、周辺商品を展開する。

 既に2年前から、タルブッシュと呼ばれるひも状のアクセサリー素材として、連続シルケット加工綿糸「フィスコ」を提案。昨年、20フィートコンテナ二つ分の同糸を中東へ輸出した。光沢の良さが受けている。糸への連続シルケット加工を行っているのは、同社子会社のシキボウ江南(愛知県江南市)。日本で同加工を行っているのはこの工場だけだという。

 加えて、消臭加工の「スーパーアニエール9」を施した肌着も「シキボウ」ブランドで1昨年から中東で展開し始めた。「消臭肌着が中東でどの程度受け入れられるか見極めている段階」(井口課長)だと語る。