インド/GST導入1カ月 混乱続く/中小への浸透にはさらに時間

2017年08月04日(Fri曜日) 午前11時48分

 インドの統一税制、物品・サービス税(GST)が7月1日に導入されてから1カ月が経過した。中小企業を中心にGSTの税率や手続きへの理解が遅れており、小売りなどの現場で混乱が続いている。浸透にはさらに2~3カ月ほどを要する見込み。こうした混乱から、短期的には消費が落ち込み、経済成長が鈍化する可能性も指摘されている。

 地元紙「ビジネス・スタンダード(電子版)」によると、財務省のハスムク・アディア歳入局長は先週、短文投稿サイト「ツイッター」で「これまでに800万社近くがGST登録を完了した。導入は非常に円滑に進んでいる」とコメントした。しかし、政府の見解とは裏腹に、企業からは混乱を指摘する声が相次いでいる。

 GSTでは、全ての物品およびサービスの基本税率を5%、12%、18%、28%の4段階に設定したが、いずれの基本税率に区別すべきか、判断が難しいものがあるという。例えば、航空券では、エコノミークラスとビジネスクラスで、それぞれ5%と12%に設定しているが、プレミアム・エコノミーの扱いは不透明なままだ。

 デスクトップパソコンやノートパソコンの基本税率は18%、多機能プリンターやモニターは28%に設定されている。米ヒューレット・パッカード(HP)の税務担当者は、「パソコンのモニターやCPU(中央演算処理装置)、その他の部品は一体の製品として輸入されている。部品ごとに異なるGSTの基本税率をどのように処理すべきか混乱している」と説明する。

 こうした事情は、自動車の修理などでも見られ、首都ニューデリーで修理店を営業するスリンデル・パウル氏は、「客はほぼ間違いなく過大または過小に請求されている」と話す。

 税務ソフトウエアを供給するタリー・ソリューションズによると、零細企業の4割以上はGSTの社内作業が追い付いていない。3分の2は必要なソフトウエアの導入が完了していないという。首都ニューデリーでは、中小企業などへのGSTの理解を促進するため、税務担当者による出張説明会を実施しているが、浸透にはまだ時間がかかるとみられている。

 インドPHD商工会議所(PHD―CCI)のチーフ・エコノミスト、シャルマ氏はNNAに対し、「中小企業を含む全ての企業、全産業にGSTが浸透するには、あと2~3カ月はかかる」との見通しを示した。

 2016~17年度第4四半期(17年1~3月)の国内総生産(GDP)の成長率は、昨年11月に始まった高額紙幣刷新の影響から、過去2年で最低の前年同期比6・1%増に鈍化した。GST導入による市場の混乱が続けば、さらに経済成長を下押しする可能性もある。〔NNA〕